“戸籍”の氏名に「フリガナ」記載が新たに追加? 5月26日施行の「改正戸籍法」について専門家が解説

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

3月9日(日)の放送テーマは、「必ず確認しよう! 戸籍のフリガナ通知書」。法務省民事局の青山琢麿さんから、戸籍の氏名にフリガナが記載される、改正戸籍法について伺いました。


(左から)杉浦太陽、青山琢麿さん、村上佳菜子



◆法改正で戸籍にフリガナを記載

戸籍とは、その人が日本人であることを公的に証明する唯一のものです。これまでは戸籍の記載事項に氏名のフリガナがありませんでしたが、改正戸籍法の施行により、新たにフリガナが追加されます。子どもが生まれたとき、出生届に氏名とフリガナを書いて提出しますが、それが戸籍に反映されることはありません。つまり、これまでの氏名のフリガナは法律上の根拠がないものでした。

フリガナが追加される背景には、昨今の社会のデジタル化が関係しています。近年は行政機関をはじめ、銀行、カード会社、病院などでデジタル化が進み、情報がデータベース化されるようになりました。個人を検索するうえで、漢字とフリガナの両方を確認できたほうが検索の精度は上がります。

◆戸籍のフリガナに誤りがあったら?

改正戸籍法は2025年5月26日(月)より施行されます。5月26日以降、日本国内に住むすべての日本人を対象に、本籍地の市区町村から戸籍に記載する予定のフリガナが通知されます。

通知は郵便で届くので、受け取ったら通知書に書かれている氏名のフリガナに誤りがないかを確認し、誤りがあれば、2026年5月25日(月)までに正しいフリガナを市区町村へ届け出てください。誤りがなければ、何もしなくても2026年5月26日(火)から順次、通知で届いた戸籍の氏名にフリガナが記載されます。

届出が必要な場合は「マイナポータル」の利用が便利です。マイナポータルは、マイナンバーカードがあれば、さまざまな行政手続きをオンラインで完了できるWebサイトです。青山さんは「郵送や市区町村の窓口でも届出は可能です。市区町村の役所にある届書に必要事項を書いて提出するか、郵送の場合は、法務省のホームページから届書をプリントアウトして必要事項を記入して送ってください」と補足します。

基本的には、必要事項を記入した届書があれば届出は可能ですが、氏名の読み方が一般に認められていない読み方を用いている方は、例外として、読み方が記載されていることを示すパスポートや金融機関の通帳の写しなどをあわせて提出する必要があります。

◆誤りがあるのに届出を忘れた場合は?

戸籍の氏名にフリガナが記載されることは、日本の戸籍制度が始まって以来初です。そこで、戸籍のフリガナ記載に関する疑問を青山さんにお答えいただきました。

疑問その①【子どもの名前のフリガナに誤りがあった場合は誰が届け出る?】

名前のフリガナを届け出るのは基本的に本人ですが、子どもが未成年者の場合、親権者が届出をする必要があります。ただし、15歳以上なら子ども自身が届け出ることもできます。一方、名字のフリガナに誤りがある場合は、原則として戸籍の筆頭者が届出をすることになります。「筆頭者というのは、戸籍の最初に記載されている人のことです。そのため、届出をする場合は、戸籍に載っている家族と一緒にしっかり確認をしてください」と青山さん。

疑問その②【通知されたフリガナが間違っているのに届出を忘れた場合はどうすればいい?】

届出を忘れてしまって、誤ったフリガナが戸籍に記載された場合でも、1回に限り、市区町村への届出のみで訂正することができます。ただし、一度フリガナの届出をすると、その後の変更には家庭裁判所の許可が必要です。

また、届出をする場合は、パスポートや年金など他の行政手続などに使用している氏名のフリガナを確認してください。それらと戸籍の氏名のフリガナが間違っていると、他で使用しているフリガナの変更手続きが必要になるなど、不都合が生じる可能性があります。

◆名付けに関するルールが新たに追加

名前のなかには、一般的な読み方とは異なる漢字や、人名には合わない単語を使った名前の人もいます。現在、戸籍のある人は、使用している読み方が戸籍のフリガナとして認められますが、今回の改正により、新たに生まれる子どもについては「氏名として用いられる文字の読み方として、一般的に認められるものでなければならない」というルールが設けられます。

<氏名として認められない例>

・漢字の持つ意味と反対の意味による読み方(“高”の字で“ヒクシ”と読むなど)
・読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(“太郎”を“ジロウ”と読むなど)
・漢字の意味や読み方との関連性をおよそ(またはまったく)認めることができない読み方(“太郎”と書いて“ジョージ”と読むなど)

読み仮名として認められる例としては、漢字の読み方の一部を当てた「心愛(ココア)」などがあります。「市区町村の窓口で判断に迷うような読み方は、漢字との関連性がわかるように説明を書いていただく場合があります」と話します。

そして、最後に青山さんは「名前は自身のアイデンティティに関わるとても重要なものです。その一方で、新しい制度が始まるときは、制度を悪用した詐欺の発生が懸念されます。フリガナの届出にあたり、法務省や法務局、市区町村が金銭を支払うように要求することは一切ありません。不審に思ったら、必ずお住まいの市区町村の担当窓口や最寄りの警察署、または警察相談専用電話『#9110番』へご連絡をお願いします」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「戸籍のフリガナ通知書」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず村上は“フリガナの通知を必ず確認”をポイントを挙げ、「ちゃんと確認してもらいたいですね」と強調します。

続けて、杉浦は“令和7年5月26日から戸籍にフリガナが記載されます!”とスケッチブックに書き、「戸籍の氏名にフリガナが記載される件について詳しく知りたい方は、法務省のホームページをご覧ください」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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3月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月17日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/

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