2025年5月10日

西村由紀江のSmile Wind

世界的なヴァイオリニストでありながら、

作曲家として名曲を数多く残しているフリッツ・クライスラー。

 

特に「3つの古いウィーンの舞曲」として知られる

「愛の喜び」、「愛の悲しみ」、「美しきロスマリン」は、3曲とも大ヒット。

 

現在もコンサートをはじめ結婚式やお祝いの席などで広く親しまれています。

ということで今朝は、フリッツ・クライスラーをご紹介します。

 

 

1875年、ウィーンに生まれたフリッツ・クライスラー。

今年は生誕150年というメモリアルイヤー。

 

フリッツ・クライスラーの作品の中で最も有名なのが「3つの古いウィーンの舞曲」

その3曲で私が特に好きなのが「美しきロスマリン」

 
初めてクライスラー自身の演奏を聴いたのは、ラジオでした。

始まりの音を、かなり長く伸ばして弾く演奏が心に残りました。

 

メロディの山が、1つ、2つと並び、3つ目の山が駆け降りてくるような疾走感

そしてBメロも素晴らしい。

 

続いて、おそらく1番有名な曲。愛の喜び。

ロマンティックに加え、メロディが躍動している。

この曲も、メロディの山が3つあります。

この曲もBメロも素晴らしい。

 

「美しきロスマリン」、「愛の喜び」とくれば、「愛の悲しみ」

悲しいけれど、うちひしがれる悲しさではなく優雅さや美しさは健在。

そしてBメロは少し明るくなります。


前半は、クライスラーの中でも特におなじみの3曲を取り上げました。

ここで、クライスラーのプロフィールを紹介しましょう。

 

1875年に開業医の息子として

オーストリアの首都ウィーンに生まれたクライスラー。

 

アマチュア弦楽器奏者でもあった父親の勧めで、3歳からヴァイオリンを始めます。

 

7歳でウィーン高等音楽院に特別入学。

演奏・作曲を学び、10歳にして首席で卒業するなど、

幼少期から驚異的な才能を発揮します。

 

その後に入学したパリ高等音楽院でも優れた成績を収め、

12歳の時に首席で卒業。

 

1888年、わずか13歳という年齢で華々しくデビュー。

アメリカ ボストンでの初公演で成功をおさめ、大きな名声を得ます。

 

天才伝説には事欠かないクライスラー。

生涯、コンサートツアーに楽譜を一切持っていかなかったと言われています。

 

メロディがすべて頭に入っていて、共演するピアノパート(フレーズ)も

楽譜を見ることなく弾けたそうです。

 

私が個人的に好きなクライスラーの隠れた名曲があります。

「中国の太鼓」です。

今まで紹介した曲とは一線を画す、オリエンタルなメロディです。

イントロのフレーズはピアノで太鼓、打楽器を叩いているイメージでしょうか。

この曲は、クライスラーが、

アメリカツアーでサンフランシスコのチャイナタウンを訪れた時に

インスピレーションがわいたと言われています。

 

中国の演劇を楽しみながら着想を得たとのことですが、

中国に寄せているだけでなく、ヨーロッパの香りもしっかり残っていて、

クライスラーらしいユーモアと愛にあふれた作品。

 

 

もう1曲、おなじみの曲を紹介します。

「ユーモレスク」。

実はクライスラーの曲ではありません。

作ったのは、「新世界より」で有名はドヴォルザークという作曲家です。

 

ヴァイオリンを習い始めたお子さんもよく弾く曲です。

ちなみに私も幼少の頃、少しだけヴァイオリンを習っていてユーモレスクを弾きました

 

この曲、クライスラーにとてもつながりがあります。

 

ドヴォルザークとクライスラーは長年、深い絆で結ばれていました。

ドヴォルザークが亡くなる前の年に、お見舞いしに行ったクライスラーが尋ねました。

 

「私が演奏するのにふさわしい曲はありませんか?」

 

するとドヴォルザークが答えます。

「そこに積み上げている楽譜の中に、あるかもしれない」

 

クライスラーが楽譜の山から探し当てた曲が「ユーモレスク」でした。

 

もともと、ドヴォルザークはピアノ曲としてユーモレスクを作っていましたが、

クライスラーがヴァイオリンで演奏して大ヒット。

 

翌年、ドヴォルザークがこの世を去ったので、

クライスラーが演奏しなければ楽譜の山に埋もれたままになっていたかもしれません

 

 

ヴァイオリニスト、作曲家として世界中に名を轟かせた天才音楽家、

フリッツ・クライスラー。

 

名曲と華やかなキャリアが目を引きますが、

もう一つの側面としてリスペクトする音楽家の曲を大切にアレンジする

懐の深さがありました。

 

まさに真の芸術家だったのだと改めて思います。

 

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