イヌサフラン、スイセン、トリカブト…“山菜採り”シーズンに間違いやすい「有毒植物」の危険性と注意すべきポイントを紹介

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

4月27日(日)の放送テーマは「食べちゃダメ! 有毒植物にご用心」。厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課の犬飼真秀(いぬかい・まほ)さんから、有毒植物の危険性と注意すべきポイントを伺いました。


(左から)杉浦太陽、犬飼真秀さん、村上佳菜子



◆思い込みや勘違いに注意!

まもなくゴールデンウィークが始まります。連休中はハイキングや山菜採り、家庭菜園など、自然と触れ合う機会が増える人も多いですが、そんなときに特に注意したいのが「有毒植物」の存在です。

“毒を持つ食べ物”と聞くとキノコを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、キノコは生物学的には植物ではなく菌類に分類されます。植物は光合成によって自ら栄養をつくりますが、菌類は光合成をおこなわず、主に動植物の死骸を分解して栄養を得る生き物で、胞子によって繁殖するのも特徴です。キノコの毒性は広く知られているため、キノコ狩りをする際は注意深く選別し、食べられる物だけを持ち帰るようにしましょう。

一方、野山に生えている野生植物や、家庭で育てている園芸植物のなかにも、毒を持つものがあることはあまり知られていません。なかには山菜や野菜と見た目が非常によく似ている有毒植物もあり、思い込みや勘違いから誤って食べてしまい食中毒を起こすケースも多く見られます。特に春から夏にかけては山菜採りのシーズンでもあるため、有毒植物を採取しないように注意しなければなりません。

昨年は有毒植物「イヌサフラン」を食べたとみられる2名が亡くなっています。イヌサフランは、秋に可憐な花を咲かせるため、観賞用の植物として庭に植えられることもありますが、問題なのは、葉が山菜の「ギョウジャニンニク」と非常に良く似ている点です。「春のあいだは地中からギョウジャニンニクにそっくりな葉を出すだけなので、自分で植えた記憶がなくても、ギョウジャニンニクと勘違いして食べてしまうケースがあります」と犬飼さんは危険性を指摘します。

さらに、イヌサフランの球根はジャガイモやタマネギに似ているため、そちらも誤食のリスクが高くなっています。そして、イヌサフランの葉や球根を食べると、嘔吐や下痢の症状が表れ、重症になると臓器障害を引き起こします。なお、イヌサフランによる死亡者は過去10年間で14名にものぼり、有毒植物による死亡事例としては最多です。

◆ニラに似ている有毒植物「スイセン」

他にも、見分けが難しい有毒植物の1つとして犬飼さんは「スイセン」を挙げます。スイセンによる食中毒は春に多く、過去10年間で発生件数は73件、患者数は226名、死亡者も1名確認されています。近年は3月から5月頃に「ニラ」と間違えて食べてしまい食中毒になるケースがあります。

スイセンは観賞用の植物ですが、その葉はニラと酷似しています。スイセンには球根がありますが、球根自体は地上からは見えないため、葉だけを見てニラだと判断してしまう危険性があります。さらに、球根もタマネギと間違えてしまう事例もあり、取り扱いには十分な注意が必要です。犬飼さんは、「スイセンを食べると30分以内に吐き気や嘔吐、下痢、頭痛などの症状を起こします。しかも、植物の汁が皮膚に触れるだけで接触性皮膚炎を起こします」と解説します。

◆春の山菜とそっくり「トリカブト」

過去に数名、死亡者が出ている有毒植物「トリカブト」ですが、その葉が「ニリンソウ」の若葉に似ていることはあまり知られていません。ニリンソウは春の野山でよく見られるポピュラーな山菜で、おひたしや天ぷらにして食べる方が多くいるため、トリカブトをニリンソウと間違えて食べたことによる食中毒や死亡事件が発生しています。

トリカブトを誤って食べると、30分以内に唇や舌がしびれを感じ、次第に手足にも広がって、重症になると呼吸不全を起こしてしまいます。トリカブトもニリンソウも同じキンポウゲ科であり、同じ場所に生えていることもあるため、山菜採りの際は特に注意が必要です。

山菜採りでは「フキノトウ」を採るときも注意が必要です。見た目が似ている有毒植物「ハシリドコロ」の新芽と間違えてしまうことがあります。その他にも、「チョウセンアサガオ」や「キダチチョウセンアサガオ」の根をゴボウと間違えたり、「グロリオサ」という園芸植物の根をヤマイモと誤認してしまい、食中毒や死亡事故につながったなどのケースも報告されています。葉だけでなく、根の形状にも気を配って取り扱うことが大切です。

◆画像検索機能を鵜吞みにしない

犬飼さんは、有毒植物による誤食を防ぐために「間違いなく食用だと判断できない植物は“採らない・食べない・売らない・人にあげない”を徹底してください」と声を大にします。

庭や家庭菜園で植えた記憶のない植物を見かけたときは、絶対に食べてはいけません。観賞用の植物のなかには有毒なものもあるため、野菜などの食用植物と同じ場所で育てないようにしましょう。観賞用植物は畑や菜園から離して植え、何を育てているかが分かるように名前を書いた札を立てておくのがおすすめです。「庭や畑に植物を植えたら、家族にもその名前などを伝えておきましょう。家族が誤って食べることを防ぐために有効です」と補足します。

調理前にも確認を忘れずにおこないましょう。万が一、食中毒が発生した際に備えて植物の写真を撮っておくことも有効です。その写真が原因特定や治療の手がかりになる場合があります。

近年はデジタル技術の進化により、写真から植物の種類を判別できるツールも登場しています。しかし、過去には公園内のキノコを画像検索で調べたにも関わらず、誤食による食中毒が発生した事例もあります。画像検索や図鑑だけに頼るのは危険です。食べたときにいつもと香りが違っていたり、強い苦みやえぐみなど“味がおかしい”と感じたときは、すぐに食べるのをやめて、具合が悪くなったときは医師の診察を受けてください。

最後に犬飼さんは「春から夏にかけて、有毒植物による食中毒が特に多く発生する時期です。家庭菜園や山菜採りを楽しまれる方は、有毒植物を間違えて食べないよう十分に注意してください」と話していました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「有毒植物」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。今回は2人のスケッチブックを使って“間違いなく食用だと判断できない植物は「採らない・食べない・売らない・人にあげない」”を注目ポイントに書き、杉浦は「有毒植物について詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページをご覧ください」と呼びかけました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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4月27日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年5月5日(月・祝)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/

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