藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」（毎週土曜 10:00～10:50）。4月26日（土）の放送は、元サッカー日本代表の井原正巳（いはら・まさみ）さんがゲストに登場。ここでは、井原さんも選手として出場していたFIFAワールドカップ（W杯）アメリカ大会のアジア最終予選を振り返りました。

（左から）藤木直人、井原正巳さん、高見侑里

井原さんは、1967年生まれ、滋賀県出身の57歳。高校時代までのポジションはフォワードでしたが、筑波大学進学後にディフェンダーに転向。大学2年生のときに日本代表チームに招集され、国際Aマッチは122試合に出場。2002年に現役引退後、2008年北京オリンピックでU-23日本代表チームのコーチを務め、Jリーグのアビスパ福岡や柏レイソルでは監督を歴任しました。

◆「ドーハの悲劇」を回顧

高見：1994年W杯アメリカ大会の出場権をかけたアジア最終予選、勝てばW杯出場が決まる試合で、2対1でリードしながらも、後半アディショナルタイムに同点ゴールを決められて惜しくもW杯出場を逃してしまった、いわゆる「ドーハの悲劇」の試合に井原さんは出場されていました。

藤木：“もう少しでW杯に手が届く”というところから……その衝撃は大きかったですか？

井原：大きいといいますか、本気でW杯を目指していましたし、この最後の相手はイラクだったんですが、イラクは勝敗関係なくW杯に行けなかったんです。だから我々も、試合に臨む前は勝ったも同然のような思いでいましたが、それが逆に甘さにつながってしまったのかもしれないです。

そういう状況のなかでのアディショナルタイム。掲示板に表示されている時間はゼロにはなっていたので……。

藤木：もう最後の最後のプレーでしたよね？

井原：はい。そこをしのげばレフェリーが終了の笛を吹いてくれるんじゃないか、という時間でしたし“もう早く終わってくれ”ぐらいの感じだったんですよね。

そこでコーナーキックから失点して同点に追いつかれてしまい、（同時刻におこなわれていた）韓国は試合に勝っていたので、日本のW杯出場はならなかったと……本当に天国から地獄に落とされた瞬間でした。

藤木：あの決まったシュートって、わりと山なりのヘディングでしたよね？

井原：そうですね。僕はディフェンスですので、僕のちょっと前ぐらいに（相手選手がいて）もう完全にフリーでヘディングされて。そこまですごいシュートじゃなくて“ふわん”としたボールの軌道だったんですけど、“これは入るな”っていうのはちょっと（軌道で）見えたんですよね。

藤木：ゆっくりゴールに吸い込まれるから余計にショックだったんじゃないですか？

井原：“外れてくれ！”と思ったんですが、“これは枠のなかにいっているな”という感じは自分のなかでも見えていましたし、まだ同点なんですけど、入れられた瞬間に“もうこれで駄目だ”と思ってしまったところはありました。

◆キャプテンとして“W杯初出場”

藤木：そして、1998年のフランス大会で（日本がW杯に）初出場したわけですが、そのときはどんな思いでピッチに立たれましたか？

井原：この日のためにいろんなものを犠牲にして努力してきたので、“これがW杯か！”という思いでピッチに立ちました。自分がキャプテンだったので、最初にピッチに足を踏み入れたときは本当に感慨深かったですし、鳥肌が立ちました。

藤木：試合は落ち着いてできましたか？

井原：はい、普段の試合と変わらない感じでした。フランスのピッチなんですけど、観客席は日本人サポーターがほぼ占めていて、本当にホームのような雰囲気で試合をさせてもらえたので、最初にボールを触ってからは緊張もなくなり、“とにかく日本のためにやろう！”という思いで戦いました。

＜番組概要＞
番組名：SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時：毎週土曜 10:00～10:50
パーソナリティ：藤木直人、高見侑里