“海の事件・事故”は「118番」…海上保安庁が今年から開始したサービス「Live118」を解説

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

5月11日(日)の放送テーマは「一緒に覚えよう! 海の事件・事故は118番」。海上保安庁 海上保安報道官の上原卓(うえはら・たく)さんから、118番の重要性や新たなサービス「NET118」と「Live118」について伺いました。


(左から)杉浦太陽、上原卓さん、村上佳菜子



◆海上の「事件・事故」は118番

118番は、海上の事件・事故における緊急通報用電話番号です。海難・人身事故に遭遇した、不審船を発見した、密航・密輸事犯の情報を得たなどのときは118番通報が推奨されます。

海は、急ぎの助けが必要な事件・事故が発生しやすい場所です。2024年の船舶事故は1,838隻、人身事故は2,348人でした。上原さんは「マリンレジャー中の事故で多いのは、漂流などによって浜に戻れなくなってしまう事故や、海への転落、溺水(溺れてしまう事故)です」と説明します。

2023年には、プレジャーボートで沖に出た6人がダイビングを楽しんでいたところ、イカリをおろしていたボートが風の影響で漂流し、ボートに戻れなくなってしまった事故が発生。幸いにも、この事故では全員が救助されましたが、海のレジャーでは予測不可能なアクシデントが起こりえます。そんなときこそ118番が役に立ちます。

その一方で、いたずらや無言電話など緊急性がない通報が全国で相次いでいます。2024年は約39万件の118番通報がありましたが、そのうち、海の事件・事故に関わる電話はわずか5,000件ほどでした。無言電話は事件や事故に巻き込まれている可能性も考えられるため、通報を受けると対応を余儀なくされ、結果的に誤報だった場合、本当に緊急を要する通報があったときの初動が遅れてしまう可能性があります。

◆インターネットで通報できる「NET118」

118番は海での事故に対応するほか、悪質かつ巧妙化する密輸や密航といった犯罪に素早く対応するために2000年に導入されたもので、少しずつ進化を重ねていき、2019年の11月からは「NET118」、2025年1月からは「Live118」の運用がスタートしました。

NET118は、2017年に聴覚に障がいのある方のみが乗り込んだプレジャーボートの転覆事故をきっかけに始まった、聴覚に障がいがある方や話すことが困難な方を対象にした通報サービスです。

利用する際はスマートフォンなどから電話ではなくインターネットを使用するため、海上保安庁に素早く通報することができますが、NET118の利用には事前登録が必要です。海上保安庁のホームページ内にある『海の「事件・事故」は118番』に登録方法が紹介されています。

「スマートフォンなどの通信料は必要となりますが、それ以外は無料なので、海へ行かれる場合は事前に登録しておくことをおすすめします」と上原さん。登録しておけば、もしものときに入力操作だけで緊急通報が可能になり、GPSでの位置確認やチャット形式での会話もできます。

◆今年から運用スタート「Live118」

「Live118」は音声で伝えることが難しい現場の状況をスマートフォンで撮影し、映像で海上保安庁へ伝えることができる映像通報システムです。音声と映像で情報を送ることで状況を正確に伝達でき、海上保安庁が迅速かつ的確に対応することができます。事前登録は必要なく、118番の通報を受けた海上保安庁が必要と判断した際、通報者に撮影を依頼します。手順は以下となります。

1:118番に電話して海上保安庁に状況を音声で説明。

2:海上保安庁が映像による状況確認が必要だと判断した場合、スマホにLive118による撮影依頼がショートメッセージで届く。

3:ショートメッセージに記載されているURLにアクセスし、画面の案内に従い操作する。

通報者には、Live118利用による「通話料」「映像の著作権」「プライバシー」に関する留意事項が案内されます。これらに同意すると、画面中央に赤色のボタンが現れ、タップすると映像通報がスタートします。

このシステムが実際に役立ったケースがありました。「プレジャーボートの機関室に浸水が発生した」という118番通報を受けたところ、電話では「新潟県上越市 有間川のマリーナから出港した」という情報しか得られず、正確な場所を特定することができませんでした。そのため、Live118で今いる場所の景色を映してもらったところ、正確な場所を把握でき速やかに救助することができました。

Live118のメリットは状況把握だけではありません。例えば、急病人やけが人がいた場合、海上保安庁側から処置に関する動画を受けることができます。さらに、処置している様子を映して的確な指示をもらうことも可能です。

最後に、上原さんは「これからレジャーシーズンを迎え、海へ行かれる方も増えるかと思います。ぜひ“海の事件・事故は118番”を覚えておいてください」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「海の事件・事故は118番」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は注目ポイントに“海の事件・事故は118番”を挙げ、「意外と知られていないと思いました」と話します。続いて、杉浦は“海に行くなら「NET118」と「Live118」を覚えよう!”とスケッチブックに書き、「海の事故は怖いですからね。詳しく知りたい方は海上保安庁のホームページをご覧ください」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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5月11日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年5月19日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/

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