2025年6月21日

西村由紀江のSmile Wind

映画が好きになったのは小学生の頃。

見るのはもっぱら家のテレビでしたが、すっかり映画の世界に浸っていました。

世界中を旅した気分になったり、主人公の気持ちに感情移入したり。

ある意味、現実逃避だったかも?

 

映画といえば欠かせないのが音楽。

これまでもヘンリー=マンシーニやデイヴーグルーシンなど

映画音楽の作曲家も紹介しました。

 

映画ではクラシックの曲もよく使われているんです。

ということで今朝は、映画を彩るクラシックの名曲をご紹介しましょう。

 

 

クラシック曲が使われるのは美しく穏やかな映画かと思いきや、

意外と激しかったり社会派だったり、個性の強い作品が多いんです。

 

たとえば、「ゴッドファーザーPartⅢ」

マフィア映画のラスト、クライマックスシーンで流れるのは、美しいメロディ。

 

ピエトロ・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲オペラの曲です。

 
「ゴッドファーザーPartⅢ」は1990年公開のアメリカ映画で監督はフランシス・フォード・コッポラ。

 

アル・パチーノ扮するマイケル・コルレオーネの息子、アンソニーが、オペラ歌手としてデビュー。

その時の演目が、シチリアの風土を色濃く反映したオペラ
ピエトロ・マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」で、ラストの衝撃的なシーンでは、「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が流れていました。

 同じフランシス・フォード・コッポラ監督の作品として、これまた革新的な映画「地獄の黙示録」攻撃用ヘリコプターによる爆撃シーンで使われています。

 

ワーグナー作曲の「ワルキューレの騎行」。これもオペラの曲です。

「地獄の黙示録」は、1979年公開のアメリカ映画で戦争の狂気や人間の精神崩壊が描かれた衝撃作。

 

ベトナム戦争のさなか、主人公のウィラード大尉がカンボジアの奥地に潜んでいるカーツ大佐を暗殺しに行くというストーリー。

 

大編隊で飛行する攻撃用ヘリコプターが、「ワルキューレの騎行」を流しながら敵対する村を容赦なく襲撃するシーンでは、曲の旋律が、戦争の狂気を色濃くしていました。

 

そしてイタリアの巨匠、ルキノ=ヴィスコンティ監督の名作「ベニスに死す」この映画も、ストーリーが、ある意味斬新。

 

1971年に公開された「ベニスに死す」は、

50年以上前の作品ながら、老人が美少年に恋焦がれるという物語。

男性が同性に寄せる片思いをベニスの美しい海の風景と共にゆっくり描いている。今で言う多様性。

少年も、長髪で女性のようで中性的な美しさでした。

 

マーラーの交響曲第5番4楽章。「アダージェット」

この映画によって、これまであまり光が当たらなかったこの曲も一気に広まりました。

 

後に指揮者のカラヤンによるCD「アダージョ・カラヤン」が発売されています。

アダージョというのは音楽用語で、“ゆったりと”という意味。

ゆったりしたアダージョのクラシック曲を集めたCDのメイン曲は、

もちろんマーラーのアダージェット。

アダージョはシリーズとして全世界500万枚以上売り上げ、

クラシックでは異例の大ヒットとなっています。

 

 今、3曲紹介しました。この中から1曲お送りしましょう。

私はこの曲を聴くと活力がわいてきます。

 

映画「地獄の黙示録」で使われている、このクラシック曲。

ワーグナー作曲「ワルキューレの騎行」

 

次は実話を元にした映画、「戦場のピアニスト」です。

ショパンのノクターン20番、遺作です。

 

「戦場のピアニスト」は、

2002年公開の作品で、第二次世界大戦におけるワルシャワを舞台とした物語。

 

ナチス・ドイツ侵攻下のポーランドで生きた実在のユダヤ人ピアニスト、

ウワディスワフ・シュピルマンの自伝を映画化。

映画の冒頭、ラジオ局のスタジオで、

シュピルマンが「ノクターン20番」を演奏していると急な爆撃に見舞われます。

 

第二次世界大戦下、ナチス・ドイツ軍に占領されたワルシャワで、

迫害されながらも生き延びたシュピルマン。

 

そして終盤、ラジオ局のスタジオで、おだやかにピアノを弾くシュピルマンの姿。

演奏しているのは「ノクターン20番」でした。

 

 

続いて、宇宙に参りましょう。

2001年宇宙の旅」

 

リヒャルト=シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」という曲。

 

はじめて映画を見た時は、映画のために書かれた曲だと思っていました。

 

オープニングで、惑星の陰から太陽が昇る映像と音楽がマッチしすぎていて、

この曲を当てはめたキューブリック監督、すごいです。

 

 

最後は、ホラー。なんですが、ただ恐いというだけではなく心理的サスペンス、

「羊たちの沈黙」

使われているのは、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」。静謐な曲です。

この優美でゆっくりした曲が流れると、なんとも恐ろしさが増すのです。

 

アンソニー=ホプキンス扮する精神科医で猟奇殺人犯のハンニバル・レクター博士。

怖いけれど魅力的で何度も見たくなる映画。

 

レクター博士の持つ静と動という二面性が、曲によって、より強調されています。

 

クラシック曲が映画に使われている作品、他にもたくさんあると思います。

オススメの映画があったら教えてください。

 

 



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