“リチウムイオン電池”による「火災トラブル」が年々増加…発火の原因は? 事故を減らすためには?

杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

12月7日(日)の放送テーマは、「便利でも気をつけて! リチウムイオン電池との付き合い方」。環境省 廃棄物適正処理推進課の國分綾希子(こくぶ・あきこ)さんから、リチウムイオン電池の危険性や正しい使用法について伺いました。


(左から)杉浦太陽、國分綾希子さん、村上佳菜子



◆リチウムイオン電池が発火する原因は?

リチウムイオン電池は、スマートフォンやモバイルバッテリー、電動アシスト自転車など、私たちの身の回りの製品に多く使われています。小型でも十分な電力を確保でき、繰り返し充電して使える便利な電池ですが、取り扱いを誤ると発熱や発火などの事故につながる危険性もあります。

リチウムイオン電池が原因となる火災事故は年々増加しており、2023年度には「煙が出た」「火花が散った」といったものも含めると約2万1,800件の報告がありました。これは、毎日約60件ぺースで発生している計算になります。

こうした事故は、ごみ収集車やごみ処理施設で多く発生しています。その主な原因は、適切な分別が必要なリチウムイオン電池使用製品が、可燃ごみなどに混ぜて捨てられてしまうためです。

なぜそれが危険なのかというと、リチウムイオン電池の構造自体に秘密があります。電池の内部には「プラス極」と「マイナス極」を隔てる仕切りがあり、これによって電気の流れをコントロールしています。しかし、落下や強い圧力などで仕切りが破損し、プラスとマイナスが直接触れ合うと、電気が一気に流れて内部が急激に高温となり、発火してしまいます。

ごみ収集車やごみ処理施設で多く発生してしまうのは、ごみ処理時に押し潰したり、砕いたりする工程があるためです。なかには、ごみ処理施設で大規模な火災が起こり、施設が1年半ほど使用できなくなった事例もあったそうで、「修理費用が高額になっただけではなく、事故発生直後はごみ収集ができなくなり、他の市町村の施設での処理をお願いできるようになるまで住民の暮らしに大きな負担がかかりました」と國分さんは補足します。

さらに注意が必要なのが、充電のしすぎや高温環境での保管です。充電器の不具合や誤った使い方によって必要以上の電気が流れると、内部にガスがたまり、膨張や破裂、発火につながるおそれがあります。また、炎天下の車内や暖房器具の近くなど、高温になる場所に置くことも非常に危険です。

◆リチウムイオン電池の正しい処分方法を知ろう

リチウムイオン電池の処分方法は、全国で統一されているわけではなく、自治体ごとにルールが異なります。多くの地域では、市役所や区役所のロビー、公民館、図書館といった公共施設に回収ボックスが設置されており、「危険ごみ」「有害ごみ」「電池」「資源」などと分けて回収しています。家電量販店やスーパーの店頭に回収ボックスが置かれていることもあります。

そのなかには、一般社団法人JBRCが設置している回収ボックスもあり、リチウムイオン電池をはじめとする小型充電式電池のリサイクルがおこなわれています。國分さんは「リチウムイオン電池を処分する際には、分別方法なども含めて、各自治体の指示に従って捨てるようにしてください」と話します。

環境省では、リチウムイオン電池が原因となる火災が増加している現状を受け、昨年度に「ごみの分別基準の見直し」をおこないました。現在は、“燃やすごみ”“プラスチックごみ”のように「分けて出すごみ」の1つとして位置づけ、地域の実情に合わせた分別体制づくりを進めています。

◆リチウムイオン電池による火災事故を起こさないためには?

発火リスクを減らすためには、捨てるときだけでなく、日常で使用するときの注意も欠かせません。基本的なポイントは、「強い衝撃や圧力を加えない」「高温になる場所では使用・保管しない」「充電は安全な場所で、目の届くところ、起きているときにおこなう」です。

さらに重要なのが、製品情報やリコール情報の確認です。製品の欠陥が原因で、発熱や発火が起こるケースも報告されています。購入時は、製造・輸入事業者や販売事業者、型式や仕様を確認し、連絡先が明確な製品を選ぶようにしましょう。

モバイルバッテリーの場合は、電気用品安全法の基準を満たしていることを示す「PSEマーク」が表示されているかどうかも判断材料になります。ただし、性能によってはPSEマークの表示が不要な製品もあるため、あくまで目安の1つとして覚えておくことが大切です。購入後は、取り扱い説明書に沿って正しく使用し、充電器は純正品または推奨品を使うようにしましょう。

なお、製品の欠陥による事故や回収の情報は、消費者庁の「リコール情報サイト」や、製品評価技術基盤機構(NITE)のサイト、事業者の公式サイトなどで確認できます。欠陥に気づかないまま使い続けてしまうことのないよう、定期的に確認する意識が重要です。

◆“いつもと違う”と感じたら…

リチウムイオン電池を使用していて、「熱い」「膨らんでいる」「液漏れがある」「変な臭いや音がする」といった異常が見られた場合は、そのまま使い続けると発火するおそれがあります。また、「充電が遅くなった」「充電できなくなった」「充電時に以前より熱くなる」「突然電源が切れる」といった変化にも注意が必要です。

いつもと違うと感じたら、すぐに使用や充電を中止し、事業者の修理窓口などに相談してください。急激に熱くなってしまった場合の応急処置として、空き缶など燃えにくい物のなかに入れておくと、万が一、発火した際の被害を最小限に抑えられる可能性があります。

それでも発火してしまった場合は、まず製品から離れて身の安全を確保することが最優先です。大きな火災になり、対処が困難な場合は、ただちに119番に通報してください。

最後に、國分さんは、「9月~12月は、リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン期間です。環境省の特設サイトでは、リチウムイオン電池に関する情報を啓発動画などで紹介しています。今後も、関係省庁や市区町村、事業者などと連携して、リチウムイオン電池の正しい廃棄方法についての情報発信などをおこなってまいります。ぜひ、この機会にリチウムイオン電池との付き合い方を知ってください」と呼びかけました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「リチウムイオン電池との付き合い方」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は注目ポイントに“なくそう!! リチウムイオン電池の火災”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は“リチウムイオン電池の使い方・捨て方を理解しよう”を注目ポイントに挙げ、「リチウムイオン電池については、環境省の特設サイトをご覧ください」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm

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