FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:荻上チキさん

「この国はどこに向かうのか」ではなく「この国をどこに向かわせるのか」

荻上チキさんの最新刊「日本の大問題」

サブタイトルは「残酷な日本の未来を変える22の方法」。テーマとなっているのは「政治」「経済と福祉」「外交」「メディア」「治安」「教育」の6ジャンル。いずれも“大問題”を抱えるが、必ずしも解法がわからずに手をこまねいている、のではなく、ある程度の答えは見えているのに、例えばそこに充てる予算が調達できないから実現されない、などということが現実にあったりする。これがなにより“残酷”。その残酷な現実を変えるためには多くのマンパワーが求められる。しかし何をしたって世の中変わらないというあきらめモードがブレーキをかける。 

だが、と荻上さんは言う。そういってあきらめている人ほど、最初から何もしてないのだと。

アクションを起こせば何らかのリアクション、レスポンスが生まれる。その積み重ねの先に新たな段階が訪れる。われわれの先祖の膨大なチャレンジ、試行錯誤の果てに、今我々が享受しているこの文明、繁栄がある。現在直面している様々な問題は、人類がかつてぶつかり乗り越えてきた問題に比べて、けた違いに高く強大な難攻不落のものであるのか?決してそんなことはないであろう。また逆に、万一そうだとしたら、それを乗り越えた暁にに得られるものは莫大な人類の資産ともなるはずである。
つまりどちらにしてもチャレンジしない、という選択肢は不毛なのだ、ということだ。

諸問題には、複雑に色々な要素が絡まり合ってる。ブルドーザーで一気に地ならし、という力づくではなかなか立ち行かない可能性は大きい。丁寧に因数分解する必要はある。そのために求められるのは「精密な言葉」。

様々な問題に対して膨大なアプローチが存在する。その複雑さに途方に暮れることがあるかもしれない。だがゴールは、極めてシンプル。それは「世の中がより住みやすくなるようになること」。そこに立ち返れば糸口はきっと見つかるはずだ。

「無力感 やってないから こそ いずる
        やってみるべし 答えはそこに」

P.S.理路整然。「精密なことば」をソフトに駆使する切れ者、でした。