FUTURES ラジオ版学問ノススメ 蒲田健の収録後記

ゲスト:真藤順丈(作家)

あきさみよう!

真藤順丈さんの最新刊「宝島」

戦後沖縄に実在した「戦果アギヤー」。アメリカの占領統治の状況下で、アメリカ軍の基地に忍び込み物資を奪ってくる“戦果を挙げる者”たち。文字通り命がけの行動で生活必需品を調達し、同時にレジスタンスの象徴的存在ともなる。

戦果アギヤーのリーダー、そして彼の親友・実弟・恋人が織りなす骨太な青春物語。要所要所が史実に基づいているので、断片的になりがちな戦後沖縄の様々な事件を線でつなげる歴史小説としても堪能できる。

完成まで7年の時間がかかったというのも大いにうなずける大作・力作。内容は重厚で濃密であるが、同時にページをめくる手を止めることができない純粋に読み物としての面白さも兼ね備えた抜群の作品。
個人的には、中盤まで読み進めたときにこんなに面白い物語がまだ同じぐらいのページ数残っている!という幸福感に包まれた。

英語表記のタイトルは”Hero’s Island”。その意味も読了して初めて氷解する。

お見事。

「懸命に 生きてく果てに 見えてくる
何がまことの 宝であるか」


P.S.  “沖縄のジミヘン”も出てくるという「宝島」のスピンオフ物語も書きたいと仰っていた真藤さん。直木賞受賞の喧騒がまだ持続中につき作品作りに中々時間を割くことができないという現状が一段落ついたら是非とも!