#17『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「The World of Black and Blue」(第9回:クール・ジャズ)
パーソナリティ:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)


クールジャズのリズムが見える

若いミュージシャンが音楽で

表現の自由を叫ぶ声の中に

地下室から屋上まで

モダンジャズのクールな音が見える

都会の熱からのがれて

絵本『リズムがみえる I see the rhythm』(サウザンブックス社)より
(文:トヨミ・アイガス、絵:ミシェル・ウッド、翻訳:金原瑞人、監修:ピーター・バラカン)


<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 今月は、ブラック・ミュージックの歴史を描いた絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』を基に、ブラック・ミュージックの歴史を紐解いていきます。今回のテーマは「クール・ジャズ」です。

 「クール・ジャズ」というと、色々な音楽を想像する方がいらっしゃると思いますが、絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』の中で著者は、「マイルズのトランペットのなめらかな音」「マックス・ローチのドラムズのハード・バップ」「ジョン・コルトレーンのサックスの超越的な波」といった例を挙げています。

M1「Boplicity」Miles Davis
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 マイルス・デイヴィスは、ビバップの初期にデビューしました。当時彼は19歳くらいだったと思います。
彼は、どんどん進化していくミュージシャンで、生涯、何回も自分の音楽のスタイルを変えていき、ジャズの歴史の中でも珍しい人です。
 この曲は、彼はデビューした数年後に、早くもクール・ジャズに挑戦したアルバム『Birth Of The Cool』の中の1曲。

M2「Airegin」Miles Davis
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 マイルス・デイヴィスは、50年代半ばに、ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、レッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)と、新たな雰囲気のクインテットを組みます。『Workin'』『Relaxin'』 『Cookin'』『Steamin'』といったLPのアルバムが発売されましたが、すべて50年代の録音です。
 この曲は『Cookin' With the Miles Davis Quintet』の中から、ソニー・ロリンズが作曲した1曲。

―次に、同時期に話題になったトランペット奏者、クリフォード・ブラウンの曲をお届けします。

M3「The Blues Walk」Clifford Brown
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 クリフォード・ブラウンが1954年に、ドラマ―のマックス・ローチと一緒のクインテットで出したアルバムから1曲。このアルバムで彼は話題になり、新しいスターと言われていましたが、その少し後、彼が25歳の時に、自動車事故で亡くなってしまいます。クインテットの他のメンバーは、ハロルド・ランド(テナーサックス)、ジョージ・モロウ(ベース)、リッチー・パウエル(ピアノ)です。

―50年代半ばから、アメリカで公民権運動の動きが活発になり始めます。ジャズ・ミュージシャンたちは、そういった社会の動きに触発されて音楽に臨むこともあります。

M4「Fables of Faubus」Charles Mingus
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

絵本『リズムがみえる I See the Rhythm』の中に、「1957年、アーカンソー州リトルロックで、白人ばかりが通うセントラル高校に9人の黒人男女が転入しようとするが、オーヴァル・フォーバス州知事が州兵を使って入学を阻んだ。この事件をもとに、作曲家でジャスのベース奏者、チャールズ・ミンガスが、『フォーバス知事の寓話(Fables of Faubus)』という曲を書く。」という文章があります。
この曲は、その2年後の59年に『ミンガス・アー・アム』というアルバムで発表されました。このアルバムは、素晴らしいミュージシャンが集まったレコードで、ベースのチャールズ・ミンガスの他、ジョン・ハンディ(アルトサックス)、ブッカー・アーヴィン(テナーサックス)、シャフ・ハディ(テナーサックス)、ジミー・ネッパー(トロンボーン)、ホレス・パーラン(ピアノ)、ダニー・リッチモンド(ドラム)が演奏しています。