#36『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルト」
(第1回:ボサノヴァの誕生)
パーソナリティ:宮沢和史


<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 今月は、「ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルト」と題して、2019年7月6日に他界した、ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルトの音楽の足跡を辿りながら、彼が後世に残したその音楽的遺産について、紹介していきます。
今回のテーマは、「ボサノヴァの誕生」です。

― ジョアン・ジルベルトと、アメリカ人サックス奏者のスタン・ゲッツが『ゲッツ/ジルベルト』というアルバムをリリースし、世界中にボサノヴァが認知されました。ボサノヴァの名曲をたくさん作ったアントニオ・カルロス・ジョビン(通称トン・ジョビン)や、ジョアンの最初の妻であるアストラッド・ジルベルトも参加しています。

M1「Pra Machucar Meu Coração」Stan Getz & João Gilberto」
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 『ゲッツ/ジルベルト』から1曲。この曲では、「君と別れて1年半が経つ。この部屋には、サビアという鳥と、ギターと、絶望が残された。人生というのは、苦しまないで生きていく方法を学ぶ、学校のようなものだ。」と歌っています。

― ここで、ジョアン・ジルベルトの簡単なプロフィールを紹介します。
 1931年バイーア州ジュアゼイロ生まれ。1958年に最初のボサノヴァ・ソングと言われている「シェガ・ヂ・サウダージ(想いあふれて)」を発表。1962年には当時の妻であったアストラッド・ジルベルトと「イパネマの娘」で共演し、世界で大ヒットしました。2019年7月6日に88歳で永眠。

M2「Sem Ilusão」Elton Medeiros
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 アルバム『Quatro Grandes Do Samba』からサンバを1曲。

― ブラジルというとサンバというイメージがありますが、北東部はヨーロッパからの影響を受けた2拍子の音楽、ジョアンが生まれ育ったバイーア州はアフリカからの労働者が多く、アフロ文化が強いのが特徴です。内陸地は農業が盛んで、セルタネージョというアメリカでいうカントリーミュージックが愛されています。ブラジル音楽は、すべてがボサノヴァかサンバに分類できるわけではありません。

― ボサノヴァというのは、「新しい潮流(New Wave)」という意味で、音楽のジャンルというよりは、ムーヴメントを指す言葉に近いと言えます。
 ジョアンが一人で、サンバのリズムで弾き語りをするスタイルが、リオの若者たちに受け入れられ、学生たちがみんなやるようになり、ボサノヴァが一気に広まりました。
ジョアンといえばボサノヴァというイメージですが、サンバを一人で演奏すると、ジョアンのスタイル(ボサノヴァ)なるという風に考えると、よりわかりやすくなります。

M3「Chega de Saudade(想いあふれて)」ジョアン・ジルベルト
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 ブラジル音楽でよく耳にする「サウダージ」というのは、日本語や英語に翻訳しにくい言葉ですが、強いて言うなら、「miss(失う・会えないことへの絶望感)」「nostalgia(郷愁)」という意味があります。

M4「Eu Sambo Mesmo」João Gilberto
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 1991年のアルバム『ジョアン』から1曲。ジョアンというと、ギターの弾き語りのイメージが強いですが、このアルバムでは、非常にゴージャスで、スケールの大きいアレンジがされています。曲名は「僕はサンバそのものだ」という意味です。