#37『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

是非これを見ながら聴いてください!


今月のテーマ:「ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルト」
(第2回:ジョアン交友録)
パーソナリティ:宮沢和史

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>


― 今月は、「ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルト」と題して、2019年7月6日に他界した、ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルトの音楽の足跡を辿りながら、彼が後世に残したその音楽的遺産について、紹介していきます。
今回のテーマは、「ジョアン交友録」です。

― さて、前回もお話しましたが、1958年のジョアン・ジルベルトのデビュー曲「Chega de Saudade(想いあふれて)」から、ボサノヴァの歴史が始まる訳ですが、60年代になると、ボサノヴァはアメリカに渡ります。 
1962年、ボサノヴァの主だった人たちがニューヨークに渡り、カーネギーホールでコンサートをし、アメリカ人がボサノヴァのシンガーを初めて見ることになりました。シンガーによって水準にバラつきがあり、大成功のライブとは言えなかったようですが、ジョアンの歌は別格で、みんなが耳をそばだてました。
 そして、1963年に、ボサノヴァの金字塔でもあり、お手本になったアルバム『ゲッツ/ジルベルト』が誕生します。

M1「Garota de Ipanema」Stan Getz & João Gilberto
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 アルバム『ゲッツ/ジルベルト』から世界で1番有名なボサノヴァ曲。イパネマにある『Garota de Ipanema』というレストランで、絶世の美女が歩いてきて、この曲を書いたヴィニシウス・ヂ・モライスは一瞬で心が奪われましたが、彼女が自分のものではないという思い知り、寂しさが込み上げてくるという歌です。いうなれば、美しい女性が目の前を通り過ぎるだけの歌ですが、歌詞には品があり、ウィットに富んでおり、メロディーとハーモニーが洗練され、ボサノヴァの神髄と言える1曲です。

― ジョアンの音楽はミニマルであり、彼のスタイルは、ボサノヴァというよりも、ジョアン流のサンバといえます。
サンバのリズムでガットギターを弾くわけですが、5弦・6弦を、右手の親指を使って、サンバのスルドの部分を弾き、上の方の弦を、人差し指、中指、薬指を使って、サンバのタンバリンやパンデイロのリズムを演出しています。

M2「Estate」ジョアン・ジルベルト
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 1976年のアルバム『Amoroso』から。ジョアンのささやくような歌い方と、ギターのリズムは、オーケストラと共存しても揺ぎないことがわかる1曲です。

― さて、話は遡りますが、アルバム『ゲッツ/ジルベルト』は、当時の妻であるアストラッド・ジルベルトとのデュエットになっています。彼女は英語で歌い、ジョアンはポルトガル語で歌っていますが、そののち、アスラッドが歌った英語の部分だけで編集した『Garota de Ipanema』がシングルとなり、大ヒットしました。
 アストラッド・ジルベルトは、凄い歌手だったわけではなく、ジョアンの収録についてきた時に、試しに歌ったわけですが、彼女の今にも壊れそうなで繊細な声が世界でヒットし、その歌い方は、ボサノヴァの一つの形として後の世代の人たちに真似されていきました。

M3「Só Tinha De Ser Com Você」Astrud Gilberto
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 アストラッド・ジルベルトがアントニオ・カルロス・ジョビンとともに作ったアルバム『The Astrud Gilberto Album with Antonio Carlos Jobim』から1曲。

― その後、ジョアン・ジルベルトはアストラッドと別れ、ミウシャという女性と結ばれます。

M4「Izaura」João Gilberto e MIUCHA
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとバージョンが異なる場合があります。

 アルバム『João Gilberto』から、ジョアン・ジルベルトとミウシャのデュエットを1曲。