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速水健朗

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JFCジャパニーズフィリピーノチルドレン~日本人の父親に捨てられた子供たち part2

2020/4/21 (火)21:00
2020年4月21日Slow News Report



なぜ日本国籍がほしいのか

速水:Slow News Report、今日もライター編集者の野口和恵さんにお話を伺います。JFC(ジャパニーズフィリピーノチルドレン)、1980年代から2000年代にかけてフィリピンから出稼ぎに来ていた女性と日本人の男性との間に生まれた子供達のお話を伺ってきました。大人になったJFCが日本に来たい、父親を探したいという 人たちがいるというお話でしたね。

野口:フィリピンはカトリック教徒が多いという影響もあるんですけれども、家族の繋がりをとても大切にする文化があるんですね。 その中で子供達は家でも学校でも自分の体の半分はお父さん、もう半分はお母さんからできているんだよということを教わって育ちます。そんな中で、父親を知らない子供は自分が半分何か欠けているような、自分が完成していないような気分に囚われていることが多いんです。子供がお父さんに会いたいという気持ちは、決して日本人のお父さんに何かをして欲しいとか、お金を送って欲しいとか、 そういったことではなく、自分に命を与えてくれた人はどんな人なのか、自分がどこから来たのか知りたいという気持ちから会いたいと願っているんです。

速水:彼ら、彼女たちは父親が日本人ですから、それが正式に認められれば日本国籍を取ることは非常に楽だと思うんですが、高いハードルもあるのでしょうか。

野口:なぜ日本国籍が欲しいかというと、JFCはいわゆる日本人らしい外見、 名前を持っているので、フィリピンの中では良くも悪くも日本人の子供として注目されて育っているんですね。 そうすると、 日本人の両親から生まれてきた人には想像つかないくらい、 自分は何人であるかということを常に意識して生活しているです。お母さんはフィリピン人だから自分はフィリピン人ではあると思うけど、お父さんは日本人だから自分は日本人でもあるはずだという思いを持っています 。私が取材した中で、まだ小学生だった女の子なんですけれども、自分から進んで日本語を勉強したり、 箸を使ってご飯を食べたりしているという子もいました。それだけ自分の内側に日本人というものを意識して生活しているので、彼らが国籍をもらう、日本という国から日本人として認められるということは、 自分が承認されてアイデンティティを築くためにはすごく大切なプロセスなのではないかと思います。
国籍を取るためにはお父さんから認知されている必要があるんですが、フィリピンに取り残された子供たちの場合、お父さんから認知をしてもらうということが難しい。お父さんが日本に家族がいるので拒否されてしまうということも多いので、支援団体の助けを借りて認知請求の裁判を起こして認知を求めていくんですけれども、日本で国籍を取るには、認知を得て、二十歳の誕生日になるまでに申請、届出をしないといけないんですね。JFC達は、まずお父さんを探したいというところから始まって、そういった日本の法律があるんだったら認知を何としても取りたいと思っても、そういうことに気づくのが18、19歳になってしまうと、もう時間的に厳しくなってしまうという現実があります。

速水:二十歳までという時間制限があるということすら知らないわけですからね。支援活動のお話も伺えますでしょうか。

野口:子供達が自分の親から認められるということとか、 養育のために必要な環境を用意してもらうということは子供の当然の権利なんですけれども、そういったことをフィリピンに住む親子が父親の側に求めていくということは難しく、 不可能に近いので、そういった子たちを支援するJFCネットワークというNGOがあります。母子の相談窓口になって、お父さんの手がかりになるものを探していって、お父さんが見つかったら子供達に代わって認知を求めたり、養育費の請求をしたりといったことを弁護士さんを通じて行なっています。

速水:その活動の中で、二十歳までに認知が得られて日本国籍が取れるケースはおおいのでしょうか。

野口:支援につながる証拠となる書類が揃っていた場合は割とそういったことは可能ではあります。証拠になるような書類が揃わなかったりですとか、そういった活動を始めた時に年齢が上だったりすると、タイムリミットで日本国籍取得までたどり着かないことが多いですね。


JFCが労働搾取の被害者に

速水:日本国籍が取得できた後でも困難が続くことがあるという話なんですが、どういうことでしょうか?

野口:JFCの子供達は元々日本に行ってみたいという願望を持っていましたから、日本国籍を取って、まず日本に来ようとするんですけれども、大抵の場合は日本に頼れる親族とか肉親がいないので、まず日本に来るためには仕事を斡旋するエージェントを頼って日本に来ます。その段階で日本語が十分にできていないことから、不当な労働条件で働かされてしまうケースがたくさんあります。例えば給料から仲介手数料として高額すぎるお金が天引きされているとか、悪質なケースではカフェで働く仕事と聞いていたのに、来てみたらナイトクラブで働けと言われたとか、 そういったケースがありますね。

速水:それが日本の今の外国人労働者の受け入れの状況なのでしょうが、 フィリピン特有の部分もありそうですね

野口:そうですね。JFCのケースの場合、日本国籍をもっているということが仇になっていることもあると思っています。例えば他の在留資格ですと、例えば調理の関係の在留資格だとその仕事しかできないわけですが、日本国籍を持っていたらそこの制限が全然ないわけですよね。なのでさっきお話ししたように、カフェでのお仕事と聞いていたのに、ナイトクラブに行けということが簡単にできてしまう。それは法律上は、 在留資格の上では制限がないということになってしまいます。
また、日本に来てからの普段の生活面でのことなんですけれども、日本国籍を取って自分は日本人だという思いを子供の時から抱いて、日本で生活していても、なかなか日本人として周りから受け入れてもらいにくいということはあると思います。例えば外見的なところでも、目鼻がはっきりしたJFCが歩いていると、警察官から在留カードを見せてと言われる場合があって、 日本語で自分の立場をうまく説明できなかったりすると、交番の中に連れて行かれて長時間話をしなければならないというようなことがあったりします。

速水:日本人だから日本語ができて当たり前ということではないわけですよね。 日本語で育ってない以上日本語を自由に話せるわけではないわけですよね。

野口:そうなんです。いろんな人がいろんなルーツを持っている方がいらっしゃるのが今の日本だと思うんですけれども。


男性中心社会の目線

速水:メディアの報道 みたいな部分もお伺いしたいんですが、メディアがこの問題をあまり取り上げない部分もあると思うんですが、いかがでしょうか?

野口:ジャーナリズムが男性中心の社会であったことも一つの理由なのかなと思っています。男性でも熱心にこの問題を追っている方もいらっしゃるのですが、やはりちょっと上の、メディアを牽引してきた世代の方とこの話をした時に、フィリピンの女性は綺麗だし男性だったら仕方ないよといった、父親側の目線に立った話で返されてしまうことがあったんですね。やっぱり男性側の物の見方というのが強かったのかなと思っています。

速水:実際に自分がフィリピンパブに行っていたりした場合に、おそらくサービスを受ける側の発想になってしまうというのは、世代の問題というか、日本の社会の問題として受け止めなければいけない部分はあると思います。一通メッセージを紹介します。これは昨日の番組の最後でも読んだのですが、 野口さんに質問したいので読みたいと思います。「そういえば私の実家の近所にもフィリピンパブがありましたが、 そこで働いている人たちが苦労しているということはよく噂になっていました。 でも最近、 フィリピンパブってあまり見ない気がするんですけど」というメッセージなんですが。

野口:フィリピンパブは現在でもありますけれども、女性たちがたくさん働きに来ていた1980年代から2005年以前に比べるとものすごく減っています。 ひとつには在留資格の基準が厳しくなったということがあるんですけれども、元々フィリピンパブといわれる所で働いていた方達は、最初の受け入れが始まった頃は、フィリピンでダンス、歌のかなり厳しいトレーニングを積んで、 フィリピンの伝統的なフォークダンスなどを披露できるような技能を持って日本に来た方がいたんですね。あまり知られていないんですけれども、 その方たちは興行という在留資格を得ていて、これは今でもある資格なんですけれども、この興行の在留資格ができる活動というのが、ダンスのパフォーマンスとか芸能活動だけだんですよね。そういった方たちにナイトクラブで男性客の接客をさせていたということは資格外活動、違法行為という問題があったんですね。また、労働環境もとてもひどくて、月に5~6万円ぐらいの安い給料で働かされていたりですとか、休みがなくて厳しいノルマがあったりとか、本当にひどいケースだと、 性暴力を受けている方もいたりという実態がありました。こういった実態は、日本よりも世界に先に知れ渡っていて、世界から人身売買だと批判をされていたという経緯があります。そういったことから、 2005年から在留資格の審査が厳しくなりまして、興業ビザでフィリピン人女性が日本に来ることがものすごく少なくなりました。

速水:2005年の法改正で良い方向に向かったのでしょうか?

野口: 少なくともそういう人身売買の被害に遭う方の数が減ったというのはいいことだったと思います。ただ、 人身売買が別の形で起こっているような気はしていて、それはさっきお話しした JFC の子達ですけれども、カフェに働きに行ったのにナイトクラブで働かされてしまったというケースは、やっぱり数は少なくなっても、 形を変えて起きているということだと思います。被害者がフィリピン人の女性だったのが、今はJFCが被害にあっているという実態があると思っています。

速水:国籍があるばかりに過酷な労働をさせられているような状況が生まれている。これは2005年以降の状況としてもまだたくさんの問題を抱えているということですね。
そして、新型コロナの影響出ていると言う話、 こちらは番組がJFC ネットワーク事務局長の伊藤里枝子さんにお話を伺いました。


新型コロナウィルスの影響も

伊藤:フィリピンは日本以上に厳しくて、マニラもダバオも外出禁止で都市が封鎖になっているんです。 なので、家から出られない。 出るには買い物一つするにしても、バランガイ(フィリピンの都市と町を構成する最小の地方自治単位。村、地区)の許可が必要で、なかなか思うように自由に外には出られないんですね。そうすると今現在進行中の、日本全国で裁判をしているケースというのが150件ぐらいあるんですけれども、 裁判を続けていくにもクライアントさんたちに資料を提出してもらったり、 インタビューをしたり、書類の提出をしたり、 必要な様々な手続きが一切ストップしてしまうんですね。フィリピンの場合は家庭が非常に貧しいので、 必ずしも全ての家庭にwi-fiの環境が整っているわけでも、パソコンがあるわけではないので、そういう手続きが全く進まないんですね。まして、今日本の裁判所でも、いろんな調停や期日が延期になってしまっているので、事実上ストップしちゃっているんですね。


速水:フィリピンの都市封鎖の状況、先ほどお伺いした通りなんですが、認知をめぐる裁判が止まった状況が起こっているということなんですね。

野口:そうですね。先認知の先には日本国籍を取得できたらと願っている子がたくさんいますし、国籍を取るためには二十歳になる前というリミットがありますので、そういったところで滞っているというのはちょっと心配です。 こういった事態ですので、大使館は何らかの猶予をしてくれるかもしれないと伊藤さんから聞いたことはあるんですけれども、 こういう状態ですと新しい相談の受付というのも厳しくなってしまいます。そうすると、動き出しが遅くなってしまうことで、認知を取るのが遅くなってしまって、 結果的に国籍に結びつかないということが出てくるのが心配ですね。あともう一つは、 お父さん達も高齢になっていますので、早く動き出さないとお父さんが先に亡くなってしまう場合もたくさんあります。そうすると子供はお父さんのことが一生何もわからないままになってしまうので、それは本当に悲しいなと思います。


日本で生まれ育った日本人男性とフィリピン人女性の間にできた子供たち

速水:一方で、 日本で生まれ育った、1980年代から2005年に日本にやってきたフィリピン人女性と日本人男性との間に産まれた子供たちもたくさんいますが、そちら側の取材されていますか?

野口:いくつか私も取材したことがあります。日本人男性とフィリピン人女性が結婚しているケースが非常に多いのですが、 残念ながら離婚に至っているというケースも目立ちます。 その背景には父親から母親へのDVがあったというケースが結構あるんですね。フィリピン人女性に限りませんが、外国人の女性というのは、やっぱり日本人の夫の方に色々と頼らざるを得ないことがありますので、 どうしても男性の方が優位な立場になってしまいます。そうした関係が何かのきっかけでDVに発展していくということがたくさんあります。そうした家庭では、離婚後もお母さんがPTSDに悩まされたり、安定した仕事に就くことが難しく貧困に陥りやすいなど、いくつもの問題を抱えている中で育つ子供が多いというのが現状です。

速水:外国人の労働者の問題全体の中でも、ちょっと特別な部分を抱えているし、日本社会そのものが男性社会であるところとか、 フィリピンパブは元々伝統のダンスなんかを踊るような場所だということすら知らずに来たことの恥ずかしさみたいなものを改めて知ることができました。今夜はライターで編集者の野口和恵さんにお話を伺いました。ありがとうございました。


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