2020年4月4日

西村由紀江のSmile wind

東北の被災地に、ピアノとピアノの音を届ける活動「スマイルピアノ500」
東日本大震災で失われたピアノの数は、およそ500台だと言われています。

「失われたピアノとピアノの音を届けたい」という気持ちから始めたのが、
「スマイルピアノ500」という活動です。

皆さんのご協力により、合計で62台のピアノを届けることができました。
ピアノをお譲り頂いた皆さん、ありがとうございます。



62台目のピアノは、2月22日に届けてきました。

お届け先は、陸前高田市の金野さんのお宅。
ご家族は、金野さん、奥さま、3人の娘さんの5人。





金野さんは音楽の先生で、
上の2人の娘さんもピアノを習っている音楽一家。

震災当時、金野さんは、一関の中学校に勤めていたため無事でしたが、
津波に家が流され、ご両親とお姉さんは亡くなってしまったそうです。

田野畑村には5年勤務したあと、
2019年4月から大船渡第一中学校での勤務が決まり、
2018年3月に完成した新居で暮らすことになりました。

その新居に、ピアノを届けてきました。

ピアノを届ける日の天気予報は荒れ模様だったんですが、
お届けの瞬間は雨が上がってくれました。

ピアノを運搬してくれたスタッフからは、
「お天気が心配でしたが、ホッとしました」と笑顔がこぼれます。

トラックから家の中へピアノが運ばれると、
お姉ちゃんが弾きぞめをしてくれる予定だったのに、
真ん中の女の子がピアノに向かってしまいます。
話し合いで、まずは、お姉ちゃんが「クラリネットをこわしちゃった」を演奏。
次に、真ん中の女の子が金野さんと「メリーさんのひつじ」を連弾しました。

演奏が終わり、金野さんはピアノを離れたのに、
真ん中の女の子がソロで「第九」を弾き続けます
本当に、ピアノの演奏を楽しんでいるのが伝わってきました。

今度は金野さんが、西村の「手紙」を演奏。
「手紙」には思い出があるそうで、一関の中学校に勤めている時に
吹奏楽部2年生の女子生徒さんが「好きな曲なんです」と言いながら、
「手紙」を上手に弾いてくれたそうです。

お返しに「手紙」を演奏。
最後に「微笑みの鐘」も演奏しました。

今回、ピアノを譲ってくださったのは、テレビ岩手の報道制作局長で、
アナウンサーの柴柳二郎さん。

「スマイルピアノ500」の活動を何度か取材をしてくださったご縁で、
お声を掛けていただきました。

そして、ピアノをお届けした金野さんは、
2015年11月に八神純子さんと一緒にグランドピアノをお届けした
大船渡中学校の当時の校長先生、金賢治さんのご紹介でした。

金さんには先日、4月11日に開館予定の陸前高田市民文化会館
「奇跡の一本松ホール」に置くピアノの件で、この番組でお話を伺いました。

62台目のピアにも、たくさんの思い出と、つながりがありました。

今回のピアノのお届けには続きがあります。
3月11日、テレビ岩手の中継で金野さんのお宅に再びおじゃましました。

3月11日、個人のお宅にお邪魔したのは初めて
追悼の想いを、直接的に感じることができた

金野さんのお宅にお邪魔したのは2月以来でしたが、
ピアノをお届けした日のことを思いだし、とても懐かしい感じがしました。

まずは、長女の真奈さんが「おもいで」を演奏。
途中から私が加わり連弾。

そのあと、私が「手紙」を演奏させてもらいました。

最後に真奈(まな)さんが、ピアノを譲って下さった柴柳アナウンサーに、
お礼の手紙を読み上げました。

娘さん二人はずっとピアノを弾き続け、ひとときも離れませんでした。

お届けしたピアノのことが、いつも気になっていました。
今回、お届けしたピアノが家族の中心にあったこと、
ピアノが大事にされていることが伝わってきました。


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番組では、あなたからのメッセージをお待ちしています。

メールの方は、番組ホームページから!
ハガキの方は、今お聞きの放送局『西村由紀江のSMILE WIND』 まで。


「家族や仲間の話」、「嬉しかったこと」「失敗をしちゃったこと」など、
どんな出来事でも構いません。「あなたの身近にあるエピソード」を教えてください。
ピアノの生演奏と共にご紹介をさせていただきます。
あなたの聞きたい曲もリクエストして下さい。エピソードと一緒にご紹介します。

被災地にピアノを届ける活動「スマイルピアノ500」では、震災でピアノを失った方からのご連絡をお待ちしています。
番組、または、私、西村由紀江のホームページまでご連絡ください。

お待ちしています!
http://www.nishimura-yukie.com

あなたにとって、笑顔の風が吹く1週間でありますように……。