新型コロナで「自転車ロードレース」中止…“苦渋の決断”を大会ディレクター・栗村修が語る

声優・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。5月1日(金)〜5月5日(火)の放送は、元プロロードレーサーでサイクルロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」大会ディレクターの栗村修さんをお迎えしました。



左から栗村修さんと野島(昨年の「ツアー・オブ・ジャパン」東京会場にて)

野島:今年1月にご登場いただいたときは、5月17日(日)に開催される予定だった「ツアー・オブ・ジャパン」や「東京2020オリンピック」についてなど、2020年の自転車業界の展望を伺いました。しかし、新型コロナウイルスが日本でも流行し始め、「東京オリンピック」は約1年の延期に、「ツアー・オブ・ジャパン」は中止になってしまいました。改めて、今の心境をお聞かせください。

栗村:開催中止が決定してから1ヵ月経ちましたので(※番組収録は4月15日(水))、だいぶ受け入れられている状態です。ただ正直、開催中止を決めるまでのプロセスというか感情が、毎日ジェットコースターのように上がり下がりしていました。

というのも、新型コロナウイルスの状況悪化の速度が、日単位というか、時間単位で変化していきましたので、僕は無意識にポジティブな情報を探して、“なんとか開催できるんじゃないかな?”、“今はこういう状況だけど、いずれ収束して5月は開催できるかな?”といった感じで、自分に言い聞かせているところがありました。

そのようななかで状況がどんどん悪化していき、新型コロナウイルスは今も収束していませんし、社会的には非常に辛い状況です。「ツアー・オブ・ジャパン」に関しては、中止に至るまでの激動の時間を過ごしましたね。

野島:本当にギリギリまで悩んだということですが、中止に至るまでの経緯と中止を決定づけたポイントはどこになりますか?

栗村:まず、「ツアー・オブ・ジャパン」は国際大会です。特に2020年の大会は、ヨーロッパのチームを中心に招待する予定でした。しかし、開催中止決定直前に、日本政府は欧州などからの入国者に、14日間の待機要請を出しました。そうなるとヨーロッパのチーム、そしてヨーロッパに滞在している日本人選手は、大会の2週間前に来日して安静にしていないといけない。ということで、(来日が)難しくなってしまいましたので、そこが大きなポイントになりました。

もう1つは、「ツアー・オブ・ジャパン」は地域貢献型の国際イベント・スポーツイベントということが挙げられます。開催地域の子どもたちやお年寄りが会場に来て、自転車レースをきっかけに盛り上がるという“お祭りレース”的な価値が根底にありますので、無観客試合というのは、現実的にあり得ません。また、お客さんを制限するということも現実的ではなく、大会の価値を棄損しますので、この2点で中止を決定しました。

野島:開催中止の決断をギリギリまで悩むというのは、本当に大変だったと思います。

栗村:特に私は大会ディレクターということで、現場寄りの人間です。「ツアー・オブ・ジャパン」のような巨大イベントは、各開催地の自治体さんや、大会運営各業務の業者さんも確定していて、連絡を密に取っていたので、開催中止の決断をするのが非常につらい立場でした。イベント関係の業者さんの仕事がなくなるわけですから……。

僕自身は“可能性が少しでもあれば開催したい”、“開催できるんだ……”という方向にマインドが傾いてしまいましたので、組織委員会の上の方から早い段階で助言をいただけたのは助かったというか。ただ、最後の最後のところで、“業者さんにどのようにお話をすれば……”というような、人情的なところのつらさがありましたよね。

野島:中止決定の連絡や、その後の対応などは、栗村さんご自身がされたのですか?

栗村:そうですね。各担当先のステークホルダーの方々への連絡は、分担しておこないましたが。例えば、今収録段階で「開催中止」となったとしても、おそらく誰しもが納得する状況だったと思います。しかし、3月下旬というのは、人によっては“まだできるんじゃないの?”という思いがあった時期ですので。

野島:僕も少し期待していましたね。

栗村:みなさん、いろんな思いがあったと思います。電話で直接お伝えしたときのリアクションを聞いたときは、ちょっとホッとしたというか、「そうだよね」という方もいらっしゃれば、本当に残念そうな返事をされた方もいました。

また、3月中に開催中止を決めた理由には、開催経費の問題があります。日本は年度が4月に変わりますので、4月になると余計に経費がかかってきてしまいます。なので、3月中に決定したということもあります。私たち主催者側、事務局は自転車普及協会ですが、入ってくるものがほぼ0になってしまったので、ここまで動いてきた分の損失補填となどを自己資金で補っているところです。

野島:金銭面でも被害が大きいと。

栗村:そうですね。そこは当然、主催者として責任を持って、既に動いてくださっていた分はお支払いしていかないといけないので……。そのあたりの各業者様との折衝などは、今も続いているところですね。

さて、5月9日(土)〜12日(火)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」では、引き続き栗村修さんをお迎えして、リスナーのメッセージにお答えいただきます。お楽しみに!

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