#59『I got rhythm 音楽が生まれる時』 概要と選曲リスト

今月のテーマ:「イマジネーション膨らむイージーリスニングの世界」 (第2回:リアレンジの魅力あれこれ) パーソナリティ:濱田 高志(音楽ライター、アンソロジスト)

<番組のトーク・パート(概要)と選曲リスト>

― 今月は、「イマジネーション膨らむイージーリスニングの世界」と題して、インストゥルメンタルを中心とした、イージーリスニング音楽の世界を紐解いていきます。今回は、「リアレンジの魅力あれこれ」と称して、オリジナル演奏とは異なる、ユニークなカヴァー演奏の数々をお届けします。

 イージーリスニングというと、インストゥルメンタルの演奏が多く、いわゆる言葉の壁がないので、世界中のリスナーが楽しめる音楽でもあります。
 ヒット曲の場合は、様々なアーティストが取り上げることで、膨大な数のカヴァー・ヴァージョンが存在しますが、それぞれ独自のアレンジが施され、どれを聴いても楽しめます。

M1「Moon River Cha Cha」/ Henry Mancini
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。

1961年公開、オードリー・ヘプバーン主演のパラマウント映画『ティファニーで朝食を』の劇中歌、『ムーン・リヴバー』。ヘンリー・マンシーニ作曲の楽曲で、劇中ではオードリーがギターをつま弾きながら歌いました。今回お届けするのは、映画のオリジナル・サウンド・トラックに収録されている、ムーン・リバーのチャチャ・ヴァージョンです。

M2「シェルブールの雨傘」/ Maurice Larcange
 昨年亡くなった、ミシェル・ルグランの代表曲を、アコーディオン奏者のモーリス・ラルカンジュが演奏したものです。バックを務めているのは、ロンドン・フェスティバル管弦楽団で、アレンジはロンドンレコードの名編曲者、ローランド・ショーです。

M3「男と女(Un Homme Et Une Femme)」/ Raymond Lefèvre
 一昨年亡くなった、フランシス・レイの代表作を、レイモン・ルフェーブルが演奏したもの。レイモン・ルフェーブルは『シバの女王』で知られており、ポール・モーリアやフランク・プゥルセル、カラベリといったオーケストラリーダーと共に、イージーリスニングの人気を牽引したアーティストの一人でもあります。
 フランシス・レイは晩年、YouTube等にアップされている自身の曲のカヴァーを聴いて、「このヴァージョンが好きだ」とか「この歌手が歌っているよ」と、よく仲間内に楽しそうに話していました。

―続いては、国産のイージーリスニングを2曲お届けします。

M4「波」/ 原信夫とシャープス・アンド・フラッツ
 アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲を、日本を代表するバンドともいえる、原信夫とシャープス・アンド・フラッツがカヴァーしたもの。

M5 「Bond Street」/ 田代 ユリ
 バート・バカラック書いた、映画『007 / カジノ・ロワイヤル』の挿入歌『ボンド・ストリート』。オルガン、ピアノ、エレクトーンの奏者として知られる、田代ユリが演奏したヴァージョンです。

― 60年代後半~70年代初頭にかけて、イージーリスニングブームが巻き起こりますが、その中で注目したいのが、作曲家バート・バカラックの存在です。
 当時、バカラックの楽曲は、”アルバムの中の1曲”として取り上げられることが多かったですが、そのうち彼の曲だけを集めたソングブックが企画されるようになり、世界中で発表されています。
 日本では、1969年の3月に、渡辺貞夫が『サダオ・プレイズ・ビートルズ・アンド・バカラック』というアルバムを制作したことを皮切りに、各社がこぞってバカラックの作品集を作ることになります。
 バカラックは1971年の4月に初来日を果たし、それ以降も何度かリバイバルを繰り返し、いまだに人気があります。

― バート・バカラックに影響を受けた作家として、元ピチカート・ファイヴの小西康陽が挙げられます。

M6「Tokyo's Coolest Mambo」/ Tokyo's Coolest Combo
 小西康陽がプロデュースするグループ、Tokyo's Coolest Mambo の、1992年リリースの3枚組アルバムから。彼らはこのアルバムの楽曲32曲を、たった6日間で録音しました。