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速水健朗

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意外とすごい日本のチーズ

2020/8/10 (月)21:00
2020年8月10日Slow News Report



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速水:Slow News Report 今日スタジオにお越しいただいたのは日本農業新聞の立石寧彦さんです。前回は和牛の話をお伺いしましたが、今日は同じ牛でも乳製品の方、チーズのお話を伺います。テーマが「意外とすごい日本のチーズ」ということなんですが、日本のチーズの消費量が過去最高になっているということなんですね。昔に比べて日本人はよくチーズを食べるようになっているんですか。


30年の間にチーズの消費量は3倍近くに

立石:農水省の統計ですと、平成2年(1990年)の時には約15万トンだったものが2018年には35万トンになっています。平成の間にこれだけの量が食べられるようになったということだと思います。

速水:この30年でものすごく消費量が増えているということなんですが、なにか理由はあるんでしょうか。

立石:いろいろ説はあるんですけれども、多分皆さん実感されやすいのは、コロナの巣ごもりでもかなり人気があったと思うんですが、宅配ピザ屋さんが1985年に最初にできたと言われているんですね。

速水:なるほど。ピザはポピュラーな食べ物としては一番チーズがのっていますね。ピザの消費量が非常に増えたということが関係しているんでしょうか。

立石:そうですね。宅配ピザ屋さんも今いろんなお店があると思うんですけども、そういうところで競争が激しくなれば、皆さんもお手頃に手にとりやすくなるというところもあったのかなと思いますね。

速水:ワインの消費量も、ポリフェノールブームであるとか、非常にこの20~30年ですごい増えましたね。チーズとワイン、これも関係あるという説はどうでしょうか。

立石:元々日本人にチーズはそんなに馴染みがなかったものが、ワインとともにいろんな風味を楽しめるようになってきた。そういう意味では文化として広まっていったということもあると思いますね。


プロセスチーズ、ナチュラルチーズ

速水:ベビーチーズとか6 P チーズとか、粉チーズとか、いわゆるプロセスチーズは昔からお馴染みですが、今皆さんはもうちょっと高級なチーズを食べられていますよね。チーズって昔とちょっと違ってきているのかなとも思いますね。

立石: 粉チーズはちょっと違うんですが、6 P チーズだとかベビーチーズというものは、プロセスチーズといいまして、1回ナチュラルチーズを溶かして、もう一度固めたものなんですね。そうすると賞味期限がすごくもつようになり、クセが滑らかになって、お子さんでも食べやすくなりますね。

速水:そういう意味では、昔食べていたチーズというのはプロセスチーズの方が食材としても使いやすくポピュラーなものだったものが、今はクセがあるチーズの方がむしろ好まれているような傾向もあるのかなと思います。メッセージを紹介したいと思います。「チーズはもっぱらスライスチーズのトースト。あとはちーちく(ちくわチーズのことです)を思い出します。プロセスチーズがちょっと苦手で、とろけてたり、こんがりしているチーズが好き」 というメッセージ頂きました。皆さんどうでしょう、プロセスチーズとナチュラルチーズ、この違いわかりますでしょうか。

立石:溶けるのはほぼナチュラルチーズだと思っていただいていいと思います。カゼインという細かい物質があって、それがナチュラルチーズの場合はかなりバラバラなんですけれども、1回溶かして固めることによってその分子が整列するんですね。そうすると綺麗にまとまってなかなか崩れにくくなる。もう1回加熱しても溶けなくなるという、そこが一番の違いなのかなと思いますね。


日本でもチーズ工房が増えている

速水:非常に癖のあるチーズであるとか、スーパーで売っている種類なんかもいま本当に増えているんですが、チーズを作る専門の場所が増えているという話も今日は取り上げてみたいと思います。チーズ工房というとヨーロッパ、スイスとか、海外の話かなと思うんですけど、日本でも増えているんですか。

立石:そうですね。フランスなんかですと、農家さんが作る“フェルミエ”というところと、自分では牛は飼っていないんだけれども、牛乳を買ってきてチーズを作る“レティエ”というところがあります。あとは大手メーカーさんみたいな工場という三つの段階がありまして、最近ですと日本でも牛を飼いながらチーズを作るチーズ工房さんが増えています。大体この10年くらいで倍くらい、319箇所ほどあるといわれていますね。また、JAがやっているチーズ工房というのもあります。そこでは農家さんから牛乳を仕入れて作っています。

速水:日本人のチーズの消費量が増えているというだけではなくて、日本でチーズを生産しているところも非常に今増えているしレベルは高くなっているということですね。

立石:本当に海外でも大絶賛というところでして、かなり海外のコンクールでも上位に入賞するチーズが増えてますね。

速水:立石さんはチーズ作りの場所なんかも取材されたりしているんでしょうか。

立石:何度かお伺いしたことがあるんですが、10年ほど前にお伺いした時は、それこそ牛を飼いながら、もう早朝から牛の搾乳をして餌をやって掃除をして、その合間にチーズを作って、売り先も見つけて、さらにまた夜も餌をやって、というようにやっている方がいらっしゃって、もう本当に大変なんですよね。

速水:NHK の朝ドラ「なつぞら」を見て、広瀬すずさんが朝の4時とかに起きて、その朝の酪農の仕事を手伝った後に学校に行ってみたいな、すごい大変だったというのを覚えていますが、あれも実際チーズ作りをしていたようなところをモデルにした話ですよね。いくつかメッセージを読みます「ワイン、チーズ、イタ飯、トレンディドラマ。この関係性ってありそう」というメッセージ頂きました。 実は日本のイタリア料理屋って今すごく増えてますけど、これだけ増えたのも実は80年代後半以降。その辺もチーズの消費量と関係ありそうだななんていう風に思いました。もういくつかメッセージを読みます「スライスチーズも日本独特じゃないかな。チーかま、チーズかきもち、チーズおかき。プロセスチーズの応用品多いですよね」「 6 p チーズ神です」わかります。僕も夜中にお腹が空いたときに、炭水化物よりはということでチーズ食べる時あります。そのほかたくさんのチーズ話いただいています。先ほど日本でも本格的なチーズ作りをされている職人さんが増えているという話がありましたが、チーズ職人になるにはどういうプロセスが必要なのでしょうか。

立石:私がお伺いした北海道の共働学舎新得農場さんというところがかなり先駆けとして知られているところがあるんですが、そちらはフランスから職人の方が現地にいらっしゃって、ご指導をされたと伺っています。それが1990年頃です。チーズは熟成させる場合、その土地に合わせた作り方が必要になってくるんですが、それでその土地にあったチーズが作られるということがあるのかなと思いますね、

速水:なるほど。生産方法だけじゃなくて、販路とかもこれまでとは違うものを開拓したりしなければならないとなると、酪農家の方たちがちょっと片手間にやるというわけにはいかないですから、本格的なチーズ職人さん達が参入してくる余地があるということですね。新しい産業で、どんどん消費も伸びているという意味では、チャンスもあるということですよね。今、手元にいくつか立石さんに持って来て頂いたチーズがあります。僕もさっきからつまみながらやっているんですけれども(笑)、このチーズの説明をして頂いてもいいですか。

立石:まず一つ、このホタテの貝柱みたいなチーズがありますよね。これがモッツァレラチーズを引き伸ばして、さけるチーズってあると思うんですけど、あれを乾燥させたもので、北海道の JA 足寄のチーズ工房さんが作っている「熟モッツァレラ(ころ)」というチーズなんですね。オイリーというか、バターみたいなコクを感じませんか。

速水:オイリーという言葉はまさにその通りで、口の中でふわっと広がっていく感じがします。何か出汁というか、そういうものを感じるチーズですね。

立石:まさにこのチーズの工房の職人さんが四国にいらっしゃった時に、鰹節なんかをご覧になって、乾燥させてうまみを増すという日本らしい加工品なんじゃないかということで考えついたものだそうです。

速水:ちょっと甘めの冷酒なんかがあったら非常に合うなと思いました。確かに貝柱とかおつまみの感じで、お酒がすすみますね。

立石:モッツァレラなので全然クセがなくて、お子さんにもすごくいいのかなと思うんですよね。

速水:チーズって極端な味の物を好む人たちもいるんですけど、これはあっさりしているから子供も全然大丈夫かもしれないですね。

立石:次のチーズがですね、薄くスライスしてあるチーズがあると思うんですが、なんだかトムとジェリーに出てきそうな穴の空いたチーズです。こちらはクラッカーかなんかに合わせていただくといいかもしれないですね。これは先程ご紹介した新得農場さんのミンタルというチーズです。どうですか、香りは。

速水:これも非常にあっさりしていて、口の中に広がる感じですね。ミルキーとかそういう感じがしますね。

立石:これは熟成に半年以上10ヶ月未満と言われているんですが、少しザラザラした舌触りがすると思います。先ほどナチュラルチーズは分子がバラバラだという話をしたと思うんですが、それを感じていただけるんじゃないかなと思いますね。

速水:舌触りも柔らかく、舌の上でとろける感じがありますね。もう一個いきましょうか。

立石:もう一つも新得農場さんなんですけども、カマンベール風のチーズ「笹ゆき」というものです。いわゆる皆さんが想像されるカマンベールのものですね。

速水:カマンベール、確かに名前は聞くんですが、どういうものなんでしょうか。

立石:だいぶマニアックな話から行くとですね、フランスノルマンディー地方のカマンベール村というところで作られたと言われていまして、正式にはカマンベールドノルマンディーといいます。ノルマンド牛という牛の乳を使ったものだけを今はそのように呼べるんですね。白カビのチーズなんです。

速水:カマンベールは白カビのチーズなんですね。

立石:なのでクセはあるんですけれども、先ほど食べて頂いたチーズよりもさらに濃厚な味です。

速水:そうですね、急に違うジャンルに来ましたね。僕はチーズを表現する言葉に疎いんですけれども、これはクセもあるけれども、子供が食べられないかというと全然そんなことはなく、カマンベール風の中ではあっさりめかもしれないですね。

立石:おそらく甘みがすごく強いと思うんです。

速水:トマトとかに合わせて食べたい感じがしますね。これは全部国産なわけですよね。こんなに国産でバリエーションがあるって、正直知りませんでした。買ってきてお酒と一緒に飲むとなるとどうしても輸入ものなのかなと思っちゃうんですけれども、国産のレベルが上がっているということですよね。タイムライン上でも「ワイン飲みたくなってきたな」「速水さん絶対飲みたくなってきているはず」 というメッセージきています。ワインとチーズってすぐイメージありますが、ウイスキーに合わせてみるのもいいかもしれないですね。他にもいろんな種類ありますけれども、目の前にものすごくつるんとしたものもあります。こぶし大ぐらいの大きさですかね。

立石:こちらは日比谷のミッドタウンなんかにお店がある「GOOD CHEESE GOOD PIZZA」さんというところのチーズなんですが、ブッラータ という生のチーズになります。切っていただいたら中からクリームが出てきたと思うんですけれども、これがフレッシュというものでして、国内の牧場さんからその日に届いた牛乳をお店で加工していて、新鮮さが売りです。


日本のチーズの可能性

速水:今日加工されたばっかりなんですね。こういったチーズは、国産の職人が増えて、関心も持たれていて、増えているわけですが、酪農全体の流れを見ると、日本の酪農は非常に大変だよという話もありますね。例えば牛の食べる草は輸入に頼っていたり、酪農の農家が減っている、高齢化しているようという話など、いろんな問題を抱えているわけですけれども、その辺とチーズの消費量が増えていること、これはどう一緒に考えればいいんでしょうか。

立石:牛乳ってチーズにもなれば、バターにもなるし、ヨーグルトにもなる。本当にいろんな食べ方ができるものだと思うんですね。その中でも保存のきくものとそうでないものとがあるんですが、チーズは保存がきくものの代表みたいなものなんですよ。そういう意味でいうと、量が足りないのでどんどん牛を増やしたり、農家さんも増えていって頂きたいんですけれども、じゃあ作りすぎちゃった時にどうしようかといことになるわけです。そういった時には、いろんな消費の行き先があって、みんな食べるから大丈夫だよ、というメッセージにもなるかなと思います。量の話だけで言うと、平成2年から28年の間に3倍近くになったという話をしたんですけれども、実は国産の量はそんなに増えていなくて、まだ全体の1割ちょっとくらいなんですよ。ですので、まだまだ国産のチーズが入っていく余地があるんです。

速水:市場が大きくなっているけど、そこを埋めているのは輸入ものであって、ここに参入していく国内の職人さんたちはチャンスが広がっている、参入する余地はまだまだあるよという事ですね。また、チーズの新しい効果みたいな話も出てきているということなんですが。


立石:実はカマンベールチーズが認知症に関連する物質を減らすんじゃないかという研究成果が今年発表になっています。そういう意味ではチーズの可能性ってまだまだあるなというところですね。

速水:今日は日本農業新聞の立石寧彦さんに日本のチーズの可能性、そして酪農業界のその先は?という話をお伺いしました。立石さんありがとうございました。

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