今月のテーマ:「キング・オブ・ロックンロール“エルヴィス・プレスリー”」
(第2回:1960年代のエルヴィス〜映画スター・エルヴィス)
パーソナリティ:ビリー諸川(ロカビリーシンガー)、湯川れい子(音楽評論家)
<番組のトーク・パートと選曲リスト>
今月は“キング・オブ・ロックンロール”エルヴィス・プレスリーにフォーカスしてお届けします。今回は「1960年代のエルヴィス〜映画スター・エルヴィス」と題して、映画スターのエルヴィスに迫ります。
― 映画スターのイメージも強いエルヴィスは、生涯にわたり33本の主演映画を撮りましたが、そのうち26本を60年代に撮っています。加山雄三「若大将シリーズ」は、エルヴィスから始まったとも言われています。
― すごいマネージャーがいて初めてスターが生まれると言われるほど、ショービジネスの世界は厳しいもので、エルヴィスにもトム・パーカーというスーパーマネージャーがいましたが、エルヴィスはとことんトム・パーカーに縛られていくことになります。
エルヴィスは『やさしく愛して』という映画に出たときに、10年間の映画の契約を結ばれ、どんなにつまらない台本でも、またどんなに安っぽい映画でも、映画に出続けなければいけなくなります。
M1「G.I. Blues」/ Elvis Presley
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
エルヴィスの5本目の主演映画『G.I. ブルース』から。
M2「Blue Hawaii」/ Elvis Presley
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
エルヴィス主演映画『ブルーハワイ』から。この映画が撮られたハワイのカウアイ島は雨が多く、観光地には向いていませんが、今でも多く自然が残っており、病が重くなったエルヴィスが、亡くなる3週間前にも行くほど、大好きな島でした。
― 1950年代にロックンロールで社会現象を起こしたエルヴィスですが、50年代の終わりには、ロックンロールは下火になり、60年代、彼が映画に出ている間には、ビートルズやローリングストーンズ、アニマルズ等、色々なグループがイギリスからアメリカに渡ってきます。
― 1965年の8月27日に、エルヴィスは自宅で、ビートルズと会うことになります。エルヴィスはビートルズを評価していましたが、マネージャーのトム・パーカーは全く理解しておらず、「会わせてやるだけでもありがたいと思え」と、一緒に来ていた新聞社『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』に一切写真を撮らせませんでした。そのため、彼らは一緒にギターを弾いたり歌ったりしましたが、一枚も写真が残っていません。
― そして、マネージャーの言うことを一切聞かず、一切の内容を伝えずに作った、1968年の『カムバック・スペシャル』という番組では、キング牧師の「I Have a Dream…」のアンサーソングを歌います。それまではずっと映画ばかり出ていたエルヴィスですが、気持ちの中にはビートルズがあり、ボブディランを2曲歌ったことから、60年代のボブディランの動きも捉えていたことがわかります。エルヴィスは流行りのチャートをジュークボックスに入れており、その時代の流行曲を常に耳にしている”魂の歌”手でした。
M3「Suspicious Minds」/ Elvis Presley
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
1961年1月23日にレコーディングされました音源です。マーク・ジェイムズの『サスピシャス・マインド』びカバーですが、オリジナルを超えてしまうほどのオリジナリティがあります。