世界を魅了したbartender鈴木敦(THE BELLWOOD)がcocktailのSTORY、Recipeを紹介。
この番組は、カクテルにまつわるエピソード、レシピ、そしてカクテルを音で提供します。
#7は誕生秘話に矛盾を感じる謎のカクテル「 Manhattan」
Voice
美味しいカクテルが飲みたくなるようなストーリーと音世界が堪能頂けます。
是非!ヘッドホンでお楽しみください。
#007 Manhattan
Story
★#007 Manhattan★
Manhattanというカクテルは誕生にまつわる話しが様々ありますが、その中でも有名なのは、1874年11月に元英国首相のウィンストン・チャーチルの母であるジャネット・ジェロームがニューヨークにあるマンハッタンクラブで第19代目の大統領選挙の応援候補者のパーティーの時に考案して、その時会場にいたゲストに振る舞ったという説。
実はこの話しを掘り下げていくと少し矛盾が生じてきます。
息子であるウィンストンチャーチルの生年月日は1874年の11月30日。ブレナム宮殿で誕生となっています。そう考えると息子が生まれて来る月にニューヨークで開かれるパーティーで自分の考案したカクテルを振る舞っていたというのは個人的には少し考えずらいです。さらに掘り下げていくと、興味深い資料を見つけました。それは1923年に出版されたValentine’s Manual of New Yorkという本の中にありました。1880年代のニューヨークにあったホフマンハウスというところでバーテンダーをしていたWilliam F. Hulhallのこんな記述です。
”マンハッタンカクテルはブラックという名前のバーテンダーによって考案されました。彼は1860年代にマンハッタンのブロードウェイとハウストンストリートにあったバーで働いていてマンハッタンカクテルは当時、最も流行っていたカクテルの1つだった。”
この他にもまだいくつかの誕生にまつわる話しがあります。
現在スタンダードとされているレシピは、ウィスキーにスウィートベルモット、それにアンゴスチュラビターズを加えて作るのですがカクテルが誕生した19世紀のレシピは現在とは少し違い、ウィスキー(当時のアメリカはライウィスキーが主流だったのできっとライウィスキー)、ガムシロップ、アブサン、オレンジビターズそこにお好みでマラスキーノチェリーを加えるといったレシピがスタンダードだったようです。
マンハッタンは以前にご紹介したマティーニのように、様々なバリエーションで楽しまれているカクテルで、スイートベルモットをドライベルモットに変えたドライマンハッタンやスイートとドライを両方加えたパーフェクトマンハッタンなどがあります。
あなたもバーに行かれた際にはその時の気分によってマンハッタンを飲み分けるのもまたこのカクテルの楽しみ方の1つではないでしょうか。
Recipe
★ Manhattan Recipe★
ミキシンググラスに氷を入れて
ライウィスキーもしくはバーボンウィスキーを45ml
スウィートベルモットを15ml
アンゴスチュラビターズを2ダッシュ
材料を全てミキシンググラスに注いだら優しくステアをしてしっかり混ざったら
カクテルブラスに注いでマラスキーノチェリーを加えて完成です。