今月のテーマ:「拡張する現代ジャズシーン」
(第4回:現代ジャズシーンで注目の世界中のミュージシャンたち)
パーソナリティ:柳樂光隆
<番組のトーク・パートと選曲リスト>
今月は、「拡張する現代ジャズシーン」と題して、現代のジャズシーンに焦点をあててお送りします。今回のテーマは「現代ジャズシーンで注目の世界中のミュージシャンたち」です。
― まずは、南米の国・ベネズエラのジャズピアニスト、ガブリエル・チャカルヒを紹介します。
M1「Mina / San Millán」/ Gabriel Chakarji
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
ガブリエル・チャカルヒは、ニューヨークに拠点に活動しており、今のアメリカの最先端のジャズを演奏しているタイプのミュージシャンです。ただ、ベネズエラの中でも、特に黒人のアフロ・ベネズエラの音楽を取り入れたジャズも演奏しており、それと、ニューヨークのジャズを融合させている点が、彼の面白いポイントです。
― 続いては、カリブ海の島・マルティニークのピアニスト、グレゴリー・プリヴァを紹介します。
M2「Soley」/ Grégory Privat
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
グレゴリー・プリヴァの父は、マルティニークの伝統音楽をジャズと融合させて、80年代に人気を博したグループ”マラヴォワ”のメンバーです。また、マルティニークの近くにある島・グアドループのミュージシャンとも度々共演しており、カリブ海の文化に強いこだわりを持って活動しているミュージシャンです。
― 続いて紹介するのは、南アフリカのピアニスト、Siphephelo Ndlovu。
自身のイニシャルを冠した「The SN Project」で、南アフリカの伝統音楽と、新し感性を融合した、面白い音楽をやっています。
M3「Afrikanization」/ The SN Project
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
Siphephelo Ndlovuは、1993年生まれの若手ミュージシャン。彼は南アフリカの音楽とジャズを癒合している訳ですが、南アフリカは、アメリカとは少し違う独特のゴスペルがあったり、南アフリカのズールーの音楽を起源とした” ムバカンガ”という音楽があったりと、かなり特殊な音楽がある国です。
― 最後に、ギリシャ生まれ、南アフリカ育ち、ニューヨーク在住のヴァイオリニスト、Maria Manousakiを紹介します。
M4「Anoyianos (feat. Petros Klampanis, Shai Maestro & Ziv Ravitz)」/ Maria Manousaki
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
Maria Manousakiは、自分のルーツであるギリシャの、中でもクレタ島の伝統音楽を取り入れています。ギリシャ人のジャズベーシスト、ペトロス・クランパニスにプロデュースをさせつつ、他のミュージシャンはほとんどイスラエル人で、イスラエルっぽい雰囲気もあり、なかなか面白い音楽をやっています。
進行:柳樂光隆(音楽評論家)
島根・出雲生まれ。21世紀以降のジャズをまとめた、世界初のジャズ本「Jazz The New Chapter」シリーズ監修者。共著に鼎談集『100年のジャズを聴く』など。 Instagramで「24時間で消えるディスクレビュー」などを展開。現在のジャズ・シーンを俯瞰的に捉えて発信していく音楽評論家。