今週も「東京JAZZ」を手掛けたことで知られる音楽プロデューサー、八島敦子さんが選曲、出演する「Jazz & Vocal Night」
今回は3月に生誕100年を迎えるアルゼンチン・タンゴに革命を起こしたアストル・ピアソラを特集しました。
ピアソラは、既成のタンゴの様式にクラシックやジャズの要素を取り入れ、まったく新しいタンゴTango Neuvoを生み出しました。
まずは、1974年の代表曲、リベラル(自由)とタンゴをあわせた造語
♪ LIBERTANGO / Astor Piazzolla
アストル・ピアソラは1921年、アルゼンチンうまれ。イタリア移民3世
4歳から15歳までニューヨークに暮らし、デューク・エリントンとバッハに影響をうけました。
1954年、フランスに渡り、翌55年にアルゼンチンに帰国し、ブエノスアイレス八重奏団を結成。
エレクレクトリック・ギター、ベース、パーカッションなど、ジャズやロック的な編成の八重奏団は、
前衛的すぎて保守的なタンゴファンから批判され、タンゴの破壊者ともいわれたそう。
♪ Neotango / ブエノスアイレス八重奏団
ピアソラは、ジャズのエッセンスを取り入れ新しいタンゴを創造しましたが、
逆にそのピアソラがつくったサウンドがジャズ・ミュージシャンにも影響をあたえます。
ここからは、ピアソラのジャズとの共演をご紹介
本題に入る前に、ピアソラが唯一の後継者と呼ぶバンドネオンプレイヤー、リシャール・ガリアーノ。
彼と寺井尚子さんの東京JAZZでの共演を。
2011年のライヴがレコーディングされましたが、2008年のリシャールの来日の際にトラブルが発生。
急遽、寺井尚子さんがバイオリニストの代打を務めたというエピソードを経てのジョイントでした。
♪ ESCUALO(鮫)/ 寺井尚子&リシャール・ガリアーノ
(ジャケット写真 UNIVERSAL MUSIC TOCJ-68096)
ピアソラに影響を与えたジャズ・ミュージシャンは、バリトンサックス奏者のジェリー・マリガン。
ブエノスアイレス八重奏団は、ジェリー・マリガンの八重奏団に触発されたと言われています。
イタリアで1974年にレコーディングしたアルバム"SUMMIT"より
♪ Years of Solitude / Gerry Mulligan and Astor Piazzolla
ピアソラと共演したもうひとりのジャズ・ミュージシャンは、ビブラフォン奏者のゲイリー・バートン。
ピアソラがゲイリー・バートンのために書き下ろし、1986年のモントルー・ジャズ・フェスティバルで
共演したナンバー。
♪ Vibraphonissimo / Astor Piazolla and Gary Burton
最後に日本を代表するバンドネオン奏者、小松亮太さんの演奏を。
1988年、ピアソラの「ブエノスアイレスの夏」をひっさげてデビューした小松さん、
デビュー20周年を記念してイタリアの世界的弦楽合奏団イ・ムジチとの共演です。
♪ ブエノスアイレスの夏 / 小松亮太
来週は、DISK UNION のジャズ・プロデューサー、坂本涼子さんが出演による月末恒例のリクエスト特集です、お楽しみ!