<番組のトーク・パートと選曲リスト>
今月は、「作詞家から見たヒットの裏側」と題して、作詞家の売野雅勇さんが、これまで手がけたきたヒット曲の時代背景、社会の動きなどとともに、歌謡曲、J-Popが生まれる裏側に迫ります。今回は、およそ1500曲の詞を手掛けてきた売野さんが、作詞家という仕事についてお話しします。
― 売野さんは「作詞の発注があってから仕事をする」そうで、日ごろから書き溜めたりはしないそうです。
ただ、自分から売り込みもしない代わりに、依頼は断らないそうで、「僕に書いてもらいたいって人に、100%の力を使って書くぞ」という方針で仕事をしているそうです。
また、シングル盤の場合は、いい作品であることも大事ですが、プロとして「売れる」作品にすることを心がけているそうです。
M1「LA VIE EN ROSE」/ 吉川晃司
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
実は、大澤誉志幸さん用に作った曲だったそうで、「この曲で大澤くんがデビューするのかな」と思っていたら、吉川晃司さんの曲だったということです。
― 次にお話しするのは、「曲のタイトル」についてです。タイトルは曲の顔になるので、一番大事という売野さん。
例えば曲先の場合は、曲にかっこよくないタイトルを付けたら、作曲家の方が傷つくだろうなと、いつも考えているそうです。
売野さんがタイトルの中で、「六本木」という言葉のリズムが好きだそうで、タイトルに「六本木」と入る歌をいくつか書いているそうです。
M2「六本木純情派」/ 荻野目洋子
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
80年代には、静かな大人の街から、大衆化してギラギラとした街に変わったという六本木。そんな「六本木」と、噛み合わない「純情」という言葉をくっつけた曲です。
この曲は、B面の候補曲だったそうですが、このマイナーのエイトビートは、売野さんの得意な曲で、「僕に書かせたらすごい大ヒット曲になりますよ。」と言うほど、自信があったそうです。その結果めでたくA面となり、ヒット曲になりました。
― さて、続いて紹介するのは、中谷美紀さんの「砂の果実」です。
この曲は坂本龍一 feat. Sister Mの「The Other Side of Love」の日本語ヴァージョンです。
M3「砂の果実」/ 中谷美紀
<Spotifyリンク>※ラジオでOAしたものとヴァージョンが異なる場合があります。
売野さんは、坂本さんから電話で「日本語詞を付けたいんだけど、すごい暗くてドキドキするような詞にしてくれないか。」というオーダーを受けたそうです。
そこで思いついたのが、太宰治の「生まれてきてすいません」という言葉で、それを中心に詞を構成したそうです。
進行:売野雅勇(作詞家)
1951年栃木県生まれ。上智大学卒業後、コピーライター、ファッション誌編集長を経て、1981年、ラッツ&スター「星屑のダンスホール」などを書き、作詞家として活動を開始。
1982年、中森明菜の「少女A」のヒットにより作詞活動に専念。以降チェッカーズを始め近藤真彦、河合奈保子、シブがき隊など数多くの作品により80年代アイドルブームの一翼を担う。
90年代からは坂本龍一、矢沢永吉からゲイシャガールズ、SMAP、森進一まで幅広く作品を提供。ヒット曲多数。
~売野雅勇さんの著書~
『砂の果実 80年代歌謡曲黄金時代疾走の日々(朝日新聞出版)』
こちらの書籍でも売野さんが手がけた楽曲の誕生秘話が書かれております。
気になった方は、是非ご連絡ください。
▽詳細はコチラ
【朝日新聞出版HPへ】