防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は文京区です。
文京区は、どのような特徴があるのでしょうか。防災課長に伺いました。
文京区は、東京都の被害想定でいうと最大震度6強。
水害については、神田川沿いに位置していますが、
最大降雨量があったとしてもハザードマップ上では5メートル。
ほとんどのエリアが0~1メートル程度と、あまり水害も起きない自治体です。
面積は23区でも下から数えたほうが早いくらいのあまり大きくない街ですが、
区内に19の大学があり、保育園、幼稚園も数多くあります。
そして、文京区は山手線の中にすっぽり入っているのでJRの駅がありません。
イコール繁華街がない。
繁華街がないということは犯罪も少なく、刑法犯の認知件数は23区で最小です。
こうした条件が相まって、文京区はファミリー世帯に人気で、人口が毎年3000~4000人増えています。
文京区は、首都直下地震では最大で震度6強の揺れが予測されているものの、
東京都が公表した危険度の高い地域はあまり多くなく、
水害についても心配が少ないということで、住みやすいという評価が高いとのことです。
特に子育て世代が増えていて、区内の小学校では年々、学級数が増えているそうです。
そんな文京区で、力を入れて取り組んでいることについてお聞きしました。
防災の講座も充実させています。
保育園や幼稚園、小中学校で毎年60~80回、出前講座を実施。
起震車や煙ハウスによる体験や、防災課職員による講話などで、子どもたちに防災教育をしています。
また「防災フェスタ」という防災意識の向上と啓発を図るイベントを開催しています。
起震車、煙ハウス、はしご車、防災に関するスタンプラリーなど半日で3000~4000人の参加があり、
ファミリー世帯を中心に楽しんでもらえるイベントです。
今後はオンラインで防災意識や防災知識の向上を図ることができるイベントを実施。
ZoomやLINEを使った防災謎解きイベントなど、楽しみながら学べる取組みを行っています。
子どもたちへの防災教育に力を注ぐことで、
将来、家族を守ったり地域に貢献したりする意識を備えた区民が増えていくことを視野に入れているそう。
また文京区では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、
避難所の運営マニュアルのコロナ版を策定し、
新しいガイドラインに沿って各地域での訓練をしています。
感染症が流行している時には、避難所に人が集まりすぎないようにすることが重要なため、
各自治体では「在宅避難」を推奨するようになっています。
自宅で避難生活をできるようにするための対策として家具の転倒防止がありますが、
文京区では、
家具転倒防止器具の設置を助成しています。
住宅1戸につき2万円を上限に、
従来は高齢者や障がいのある方が中心でしたが、
2020年12月からは全区民に助成の対象を拡大しました。
このほかにも、備蓄や、
町会・マンション単位での訓練など、さまざまな助成や制度が用意されています。
区の
ホームページなどで確認してみてください。
★追加情報
文京区では災害情報を迅速に伝達するため、屋内にいても防災行政無線の放送内容や
区からの緊急のお知らせが受信できる「
防災情報一斉通知アプリ」を公開しました。
日頃からの備えとして、ぜひご利用ください。