音楽と言葉を電波に乗せて、東京の空へ。
それは、街の色や匂いとまざりあいながら、人々の胸に、降り注いでゆきます。
50年の間にいくつも結ばれてきた、ラジオと誰かの幸福な関係を、もう一度。
人気脚本家から直木賞作家へ、新たなスタートラインに立ったばかり。
おしゃれが好きで食いしん坊、猫を愛して、恋もした・・・。
今日は、東京の街を、お気に入りの5センチヒールで足早に歩き、風のように去っていってしまった作家・脚本家、向田邦子さんをめぐる物語です。
音楽と言葉を電波に乗せて、東京の空へ。
それは、街の色や匂いとまざりあいながら、人々の胸に、降り注いでゆきます。
50年の間にいくつも結ばれてきた、ラジオと誰かの幸福な関係を、もう一度。
人気脚本家から直木賞作家へ、新たなスタートラインに立ったばかり。
おしゃれが好きで食いしん坊、猫を愛して、恋もした・・・。
今日は、東京の街を、お気に入りの5センチヒールで足早に歩き、風のように去っていってしまった作家・脚本家、向田邦子さんをめぐる物語です。
女性の社会進出などまだこれから、という時代に雑誌の編集者として働き始め、ラジオ番組の構成や、数多くのドラマ脚本を手がけてきた向田邦子さん。
大病を患ったことを機に、エッセイや小説を書きはじめた向田さんは、『小説新潮』に連載中の短編小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で、直木賞の候補にノミネートされます。
単行本にもなっていない作品が選ばれるのは、きわめて稀なこと。
本人も、小説を書き始めたばかりで受賞するとは夢にも思わず、「励みになるかな」と、妹の和子さんに語っていたといいます。
果たして、向田邦子さんは見事、その三作品で第83回直木賞を受賞。
ところが、作家としての自負が芽生えはじめていた翌年の1981年、向田さんは、飛行機事故で帰らぬ人になってしまいました。
享年 51歳でした。
2021年は、そんな向田さんの没後40年のメモリアルイヤー。
向田さんが残した言葉や物語、自分らしさを貫いたライフスタイルは、時を超えて今もなお、多くの人々から共感を集めています。
今年、1月に開催された「向田邦子 没後40年特別イベント いま、風が吹いている」は、様々な分野で活躍する「今」の才能と、向田さんが遺したものたちとの、新たな掛け合わせ。
それは、過去のものを見たり聴いたりするという体験を超えて、観客の心にビビッドに届き、鮮烈な印象を与えたといいます。
今回は、このイベントの総合プロデューサーをつとめ、自らを「向田好きチルドレン」と呼ぶクリエイター、テレビマンユニオンの合津直江さんと、向田さんの色褪せぬ魅力をひもときます。
合津さんは、大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。
数々のテレビドラマやドキュメンタリー作品を手がけ、1995年には、是枝裕和監督のデビュー作となる映画『幻の光』をプロデュース。
2018年には、向田邦子さんの小説『家族熱』を舞台化し、義母と息子の激しく揺れる心情を描いて話題を集めました。
お話を伺ったのは、イベント会場だった「スパイラル」のすぐそばにある、テレビマンユニオンのオフィスにて行われました。
コロナ禍の今、向田さんの没後40年イベントをプロデュースし、実現することになったその理由や、鮮やかな印象を残した、向田邦子さんご本人との邂逅。
そして、2年半ほどの時間を費やし、向田邦子さんの仕事ぶりと向き合って、強く感じたこと・・・。
向田イズムを受け継ぐ表現者の志が、ここにあります。
さらに、向田邦子さんご本人の語りも、特別にお届けします。
こちらの音声は、直木賞作家となった翌年の2月、ある読書会に招かれたときのもの。
そのときの模様を収録したカセットテープが、2019年に新潮社で偶然、発見されました。
飛行機事故で亡くなる半年前、新聞社が開催した読書会に出席した向田さんが語った、小説家としての心もち、そして、読書の楽しみ方・・・。
向田邦子さんの貴重な肉声をお聴きください。
また、今回は、2020年の4月から1年間、『True Stories』のナビゲートを担当してきた鈴木杏さんが、一人の俳優として思うことを、ご自身の言葉で語ります。
「殺意 ストリップショウ」をはじめとする舞台作品での活躍が、昨年から今年にかけて注目を集めていた鈴木さん。
その結果、第55回 紀伊國屋演劇賞「個人賞」、第28回 読売演劇大賞「大賞・最優秀女優賞 」、
さらに、第71回 芸術選奨「文部科学大臣新人賞」などの賞を続けて受賞しました。
今、このときに俳優として舞台に立ち、肉体表現を通じて輝きを放つ鈴木さんが語る向田作品への想い、そして、これからの時代に求められるものとは・・・?
最終回にふさわしい、豪華な共演をお楽しみください。
この番組の思い出が、東京の街を歩くあなたに、新たな楽しみをもたらしますように。
※協力 新潮社
※参考 『少しぐらいの嘘は大目に 向田邦子の言葉』(新潮文庫)
書籍化されているすべての小説、エッセイ、脚本から、向田邦子さんが記した言葉をテーマごとに選んだもので、人間を見つめ続けた向田さんの「まなざし」が伝わる一冊です。