防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は渋谷区です。
渋谷区では防災上どのようなろこに気を付けなければならないのか防災課長に伺いました。
渋谷区はその名前のとおり、谷という字がついていて、「谷地形」と言われていて、高低差がある起伏の激しい地形です。
地名にも千駄ヶ谷、富ヶ谷という地形があったり、初台、南平台などの台地のように、高いところと谷のくぼんでいるところ(があります)。
くぼんでいるところは昔、川が流れていたところで、今は暗渠といって川に蓋がされて下を下水が流れています。
渋谷川という(川があって)、渋谷駅の渋谷ストリームからは川の姿が見えますが、渋谷駅より北はすべて暗渠化されています。
渋谷に遊びに来る人は気づかないかもしれませんが、昔は川だった場所がたくさんあります。
そういう所は、下水の容量を超えるような大雨が降ると逆流して水があふれてきます。
「内水氾濫」といって水害の危険もある場所です。
渋谷区にもし首都直下地震が起きると、渋谷区全域が震度6強の揺れになるという予測です。
渋谷区の北側、京王線が走っているあたりは住宅地域です。
とくに甲州街道の北側、渋谷区の本町、幡ヶ谷、笹塚地区は木造住宅がかなり多いところで、
地震が起きた時に火災が発生すると燃え広がってしまうような危険があるエリアです。
渋谷特有の谷地形で心配される水害については「
洪水ハザードマップ」を作成し、情報提供と注意喚起をする一方で、
大地震に際しては、避難所が人でいっぱいになってしまわないよう在宅避難を推奨し、
備蓄品のあっせんや、家具転倒防止金具の助成制度などを整備しています。
また、首都直下地震への備えとして、渋谷というエリアならではの対策も進めています。
帰宅困難者対策に、この10年、渋谷区は力を入れてきました。
渋谷区周辺で民間企業を含め100団体が加盟する「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」を設置。
帰宅困難者の発生時に、帰宅困難者を誘導し、
渋谷駅周辺のあちこちに一時的な避難受け入れ場所を、協定を結んで民間の施設を開放してもらう取組みをしています。
東日本大震災のときのように、帰宅困難者が一斉に道路上を避難すると、
首都直下地震の場合は、建物が倒壊したり、窓ガラスが落ちてきたりなどの危険があるので、
できるだけ渋谷駅周辺の帰宅困難者受け入れ施設に一時的に留まってもらい、安全になるまで避難してもらうという考え方です。
外出先で首都直下地震に見舞われた際には、無理に家へ帰ろうとせず、
安全が確保されるまで、近くの施設に留まることが重要です。
渋谷区では、区外からきている人たちのために、そうした備えもしています。
一方、区民に対しては、災害時に正確な情報を確実に入手してもらうため、
「
渋谷区防災アプリ」というスマホ専用アプリや、災害専用の「
渋谷区防災ポータルサイト」も立ち上げています。
また、
メールで災害情報を配信するサービスも用意しているので、
渋谷区に在住・在勤・在学の方にはぜひ登録してほしいとのことです。
さらに、災害を経験した人や、被災地の救援活動をした人などから
貴重な体験談を聞く「
渋谷区防災キャラバン」という事業も定期的に行っています。
過去のアーカイブをYouTubeで配信していますので、こちらもぜひご覧になってください。
≪関連リンク≫
・渋谷区防災ポータル
https://bosai.city.shibuya.tokyo.jp/