2021.3 .17 ~ ゲスト:脳科学者・中野信子さん①

第338 回 中野信子さんは、脳科学者、医学博士、認知科学者として、 またテレビのコメンテーターとしても活躍されています。 ビビットなピンク色の洋服でスタジオにいらした中野さん。 杏子のファッションチェックから始まり、初の自伝「ペルソナ」のお話しへ。

杏子「中野さんは女性が憧れる!コメントに愛があるというか、
   脳科学というところから切り込んでいくという鋭いところもあるんですけど、優しい救いがあって・・」
中野「優しくしようと思って、そうなっているというよりは言葉に傷ついてしまう人が沢山いるので、なるべく物事は両面あるということに重きを置いて話そうとはしているんですよね」
杏子「ペルソナ、初の自伝になるのですが、ド頭から、どの本を読んでも中野信子は見えてこないと言われることがある。それだから、これで赤裸々に言ってやるというわけでもなく、見えなくて当然だというところからスタートしているのが面白い!えっ?これって、煙に巻かれちゃうのって。」
中野「これ、説明の仕方が三通りあるんですよ」
松室「じゃあ、2個目でお願いします(笑)」
中野「武田鉄平さんという現代アーティストがいまして、この人の描く肖像画というのが人気なんですよね。この人の作品の描く顔というのがわりと塗りつぶされた感じの顔で、早いタッチで描かれる人なんですけど、すごく陰影のつけ方が上手く、必ず顔にちゃんと見えるんですよ。誰が見ても、誰かの顔に見える。けれども、ディティールがはっきりしない。ディティールがはっきりしないから、そこに自分の主観や歴史とかをのせることができるんですよね。そういう文章を書いてみたいと思ったんです。あまりディティール書いちゃうと、「中野信子のこと、そこまで知りたくねえヮ」っていう人も、多分多いかなって思って。ここまで本を書いて学習したことがあるんです。みんな自分の話を語りたいんです。聞いて欲しい。自分の心の闇とか、自分がネガティブに押し隠していたものを認めて欲しいという欲求が強いんだということもわかったので、そういうところをのせられるような書き方にしてみたいなと思ったんですよね。それであまり細部は出来事としては書かず、どちらかというと心の動きを細部まで書いた、というのがこの本です」
松室「まさに、自分の話に置き換えて読んでいた感じはしましたね」

杏子「そもそもペルソナという言葉・・」
中野「実は、そのひとの人格というのは一貫しているようだけど、相手によって変わってしまったり、使っている言葉によっても変わるというのがあって、、、。杏子さんだったら歌っている歌によっても変わる。そういうところがあってモザイク状にいくつものペルソナが重なっているものが自分だったりします。そのペルソナひとつひとつは嘘かっていったら本物なんですね。それは、それで、その時は。で、別の時は消えたりするんです。それが、一貫性がないといって、よく「記憶にございません」とか、いろいろ言い訳される人がいるんですけど、それ、記憶がございませんではなく、ペルソナが変わっているんですよね。そういう人間の複雑な感じを書いてみたかったというのもあるんですよね。だから自叙伝いうのを書いていると、後付けで一貫性を持たせちゃうところがあるので、そういう作られた自伝なんか書きたくねえヮというのがありまして、こんな形になりました」

・・「ペルソナ」を読み終えて、
ムロくんが共感したのは、「グランブルー」そこにある恐怖でした。
杏子が気になったのは、第五章「砂時計」砂時計は一定じゃない?!
是非、みなさんも読んでみてください!



中野信子 1975年東京都生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業。 
同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。
フランス国立研究所ニューロスピン勤務後帰国。
現在、東日本国際大学教授。 京都芸術大学客員教授

M1. PUZZLE / 松室政哉 
M2. Jump / The Bird & The Bee