第279回  稲葉なおとさん①

今週のゲストは、 一級建築士・紀行作家の稲葉なおとさん。




稲葉さんは、東京都出身。
東京工業大学 工学部建築学科を卒業され、
これまで、名建築ホテルを題材にした旅行記や小説、
写真集を発表し続けています。

2019年作家デビュー20周年の小説「ホシノカケラ」がロングセラーとなり、
また、建築文化の発展に貢献したことが評価され、
日本建築学会文化賞を受賞されていらっしゃいます。


まずは、稲葉さんの最新著書「夢のホテルのつくりかた」のお話。
ホテルに行きたくなる!旅をしたくなる1冊です。

中には、稲葉さんが大学生時代から憧れ、
見学に何度も足を運んでいたホテルなどを集めた、
『クラシックホテル38軒の誕生の秘話』なども書かれています。

この著書を書く3年間で、
”建築家に依頼した人の思いの深さ” に、改めて気がついたそう。

表紙には、横浜にある ”ホテルニューグランド"。
1927年に開業した、ヨーロッパスタイルの正統派ホテルで、
歴史的建造物でもあります。
そんなホテルニューグランドは、
『震災復興から生まれた、日本の顔』と書かれています。

稲葉「明治大正昭和と時代は変わっても、ホテルを作ろうという
   気運が高まるのは、海外から人が来る事が多い時です。
   日本の第一印象、日本の顔を、
   ホテルで作らなきゃいけない、と使命感を持つんです。
   ホテルニューグランドの場合は、それにプラスして、
   関東大震災でそれまでのホテルが瓦礫の山となってしまう
   悲しい歴史があった中で。当時の市長さん含め、
   ”まずホテルを作って、横浜を元気に”という発想があり、
   完成したホテルなんです。」

関東大震災からわずか4年で完成した、”ホテルニューグランド"。
こうして、このようなホテルを作られた横浜は、
街が元気になり、復興のシンボルとなりました。

万平ホテル本館(軽井沢)や、金谷ホテル別館(日光)などを設計した、
建築家:久米権九郎も、
震災で洋画家の兄を亡くした事をきっかけに、建築を学んでいます。

稲葉「僕は、とにかく物書きで。
   関東大震災から振り返って、それをきっかけに、
   それまでとは違う人生を歩んだ人たちがいたというのを知ると、
   本当に人間って、自分の気付いていない、
   それだけ強いパワーというのが内側にあるんだな、と思います。」


来週も、稲葉さんにお話伺います。


M. Animals / Nickelback(稲葉さんの選曲)