防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は台東区です。
やはり台東区も、地震と水害の両方に警戒が必要ですが、
とくに水害について、区の危機・災害対策課長は、このように話しています。
台東区といえば浅草、浅草といえば隅田川をイメージする方が多いようで、
隅田川の氾濫が心配だという声がありますが、実は隅田川の氾濫よりもっと危険なところがあります。
隅田川の支流である神田川の氾濫、また、台東区内を流れてはいけれども荒川の氾濫が実はリスクがあります。
隅田川は、岩淵水門で荒川と別れて水が来なくなるので、基本的に隅田川の氾濫は想定されていません。
ただ、荒川の氾濫は、もし発生すれば、ほぼ区内全域が2週間水没するという大きな被害が考えられます。
神田川については、1日程度の浸水ではあるものの、
荒川より川幅が狭いため、発生頻度としては高いので注意しなければなりません。
高潮による被害も想定されます。高潮によって東京湾の水位が上昇し、隅田川の水位が上昇する場合、
(また)隅田川は溢れないとしても、神田川の水位の上昇とぶつかってしまった場合に、
神田川や石神井川の水位が上がって越水してくる可能性があります。
つまり台東区では、荒川、神田川、高潮そして内水氾濫という4つの水害について対策が必要で、
それぞれ、想定される被害も、避難の仕方も大きく違います。
現在、台東区では複数の
水害ハザードマップを作っていますが、
それぞれの水害での対策や避難行動を、どのように区民に伝えるかが、とても大きな課題だということです。
そこで台東区では、このような取組みを進めています。
全体的な区の災害対策の取組みを、防災アプリ「台東防災」として、iPhone版、Android版で提供しています。
現状は、地震に関する対策を掲載していて、
地震における避難所の開設状況や、防災行政無線の内容をアプリで見られるようになっています。
そこに加えて、アプリに水害モードを取り入れていきたいと思っています。
水害における避難場所の位置やハザードマップをアプリで見られるようにしたり、
避難指示などの避難情報がどこで出ているかが明確に分かるようにしたり。
荒川、神田川、内水(氾濫)といろいろな水害がある中で、それぞれどのような避難行動をとるべきかということを
アプリ上で、フローチャートで調べることができるといった仕組みを作りたいと思っています。
水害モードのアプリの開発は現在進行中ですが、ぜひ、今のうちからインストールして備えてください。
防災アプリは今からインストールしておけば、バージョンアップした時にアップデートされますので安心ですね。
また、アプリだけでなく、ケータイでもパソコンでも受信できる
メールサービスを行っているほか、
災害時のアクセス集中に備えて、区のホームページの負荷を軽減する仕組みにも取り組んでいます。
一方、地震については、やはり
火災発生の危険度が高いエリアがあります。
たとえば、谷中、根岸、また区の北東部・清川地区と呼ばれるエリアなどには、
戦争や関東大震災でも被害に遭わなかったところもあって、古い木造の建物が密集しています。
台東区内には6,000本以上の消火器が設置されていますが、こうした火災危険度の高いエリアには、
消火器に加え、可動式のポンプなどの消火装置を導入して、初期消火体制を強化しています。
台東区では、地震や水害、そして防犯についてまとめた
ハンドブックを作っています。
区のホームページでも見ることができますので、
日ごろの備えや、いざという時の行動について、ぜひ確認しておいてください。
≪関連リンク≫
・台東区防災HP
https://www.city.taito.lg.jp/bosai/index.html