井戸理恵子さんに、日本の風習、伝統に隠された魔法を教えてもらいましょう。
いまは、本格的な夏を乗り越えるための準備の季節。
5月19日は、旧暦の4月8日、旧灌仏会。
お釈迦様がお生まれになった日が灌仏会です。
これを祝い「はなまつり」が行われているお寺では、
甘茶がふるまわれます。
甘茶ヅル、天から甘露の雨が降ってきたという言い伝えから
この甘茶も薬効が高いと言われます。
さて、昔、一般の人は、この直前、山に入り、
サツキか、卯の花を取ってきました。
サツキは、稲の神様がよりつくお花、
卯の花は、大豆の神様がよりつくお花。
このお花をおまつりするのが、民間信仰の「はなまつり」でした。
山からとってきた花を庭に飾って、神様をよぶのです。
風景も華やかになります。
天道 (てんとう)祭、とも言いました。
太陽がうまく巡り巡りますようにというおまつりです。
太陽が出ない梅雨に、
太陽が顔をだし、農耕がうまくいくように祈りました。
カビやウイルスなども出やすく、病の元がつくられるころでもあり、
太陽の力を呼び戻すことが大切でした。
この神さまは、牛頭天王(ごずてんのう)。
天神さま(太陽の神)には、牛がいます。
稲を作るには牛が大事だからです。
そして、疫病祓いの神様です。
病の元を太陽の力で殺菌してもらうのです。
東北地方は、馬が大切にされたので馬頭観音がまつられています。
立夏から夏がはじまり、
じめじめしたこの時期を乗り越えることはとても大切で、
そのためのおまつりもいろいろ行われます。