声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。5月29日(土)〜6月1日(火)の放送は、野島裕史のサイクルコラム「僕が考えた未来の自転車」を特集しました。
パーソナリティの野島裕史
◆野島考案、未来のロードバイクとは?
野島:未来のロードバイクは“こうなってほしいな”という妄想をよくしているんですけど、実際にあるものを“こう組み合わせてみたらいいんじゃないかな”という未来の自転車のお話をしていきたいと思います。
僕が妄想する未来の自転車なんですが、“進化してほしいな”と思う部分は、メカトラブルが多かったり、メンテナンスが難しかったりするところですね。やはり、最も多いトラブルはパンク。
ノーパンクタイヤでいろいろなものが発明されていますが、意外と重量もあって、耐久性やメンテナンス性などがなかなか良くなくて、主流にはなっていないですよね。そんななか、最新技術によって“未来はこうなるんじゃないか”と期待しているのが、NASA(アメリカ航空宇宙局)が開発した、火星探査機のタイヤの技術を応用した形状記憶合金を編み込んだエアレスタイヤ。
これはなにしろ、発明をしたのが天下のNASAということでね。調べてみたらまだ重量的な問題が若干あるようなんですけど、耐久性は絶対的信頼がありますし、それこそ宇宙の技術を活用していけばどんどん軽量化していくんじゃないかと思います。ゴム製タイヤに取って代わるのも、そう遠くない未来なのではないかと個人的には思っております。
そして、次に多いメカトラブルが、チェーンまわり。チェーンが外れたという話もよく聞きますし、僕も経験しましたけどチェーンが切れてしまったり、雨に濡れて錆びてしまったり……あと、汚れが付着しやすいのでこまめなメンテナンスも必要だったりして、若干面倒くさい部分でもあるので、ここも進化させたいですよね。
まず現状では、ベルトドライブというベルト製の駆動伝達システムがあります。一部ママチャリなどでも使われている車種があるので、見たことがある方も多いとは思います。ゆったり走るなら注油もいらないし、汚れにくいなどメリットがあるんですが、変速やパワーの伝達の問題などからやはりロードバイクには向いていないという欠点があります。
そこで期待しているのが、シャフトドライブというパワーの伝達システムですね。これは自動車で言うと、エンジン部分から車輪に向かって伸びている棒状のシャフトをくるくると回してギアを直接回すという機構のことなんですけど、そのまま力を伝えることができます。自動車と同じ機構なので信頼性もありますし、外れたり切れたりする心配もない。注油もほとんどいらなくて、汚れも付着しにくいというメリットがあります。しかし、チェーンよりも重量が重いという欠点があります。
最近、デンマークの自転車パーツメーカー、CERAMIC SPEED(セラミックスピード)社がリリースしたロードバイク向けシャフトドライブがありまして、それはシャフトをカーボンにして軽量化、機構的にも摩擦をとても抑えているんです。この技術ももちろん素晴らしいんですけど、僕が最も気に入ったのは、チェーンがない自転車って見た目的にもすごく未来的なインパクトがあることですね。
ですので、これと先ほどお話ししたエアレスタイヤを組み合わせるとかなり未来感のあるロードバイクになるんじゃないかなと思います。僕としては、ほかにもギアシステムも超軽量な内装ギアなども“開発されたらいいな”と期待しています。この3つが組み合わされば、メカトラブルの心配はほぼなし、メンテナンスもほぼなし、見た目もシンプル! 完全に未来なロードバイクになるんじゃないかなと妄想しています。
次回6月5日(土)〜6月8日(日)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、フードカルチャー誌「RiCE」編集長の稲田浩さんをゲストに迎え、「家カレー特集」をお届けします。どうぞお楽しみに!