東大寺コンサート 狂言&音楽 第二夜 ~日本から世界に向けて~「三番叟(さんばそう)」

かつてシルクロードの東の起点でもあった奈良・東大寺から、全世界に向けて、日本の伝統芸能である狂言、西洋の音楽オーケストラ、そしてアジア大陸の風を感じさせる二胡による競演を発信。今回は4月11日(日)に行われた第二夜「三番叟(さんばそう)」の模様をお送りします。

「三番叟(さんばそう)」
能楽の儀礼曲「翁(おきな)」の中で、狂言方の勤める役が「三番叟」です。常の能とも狂言とも違う、古風な様式を多く留めた神聖な曲とされ、現在でも、正月の初会や舞台披き、特別な記念の催しなどで演じられます。
まず前段の「揉之段(もみのだん)」は、舞手自ら掛け声を発する力強い舞です。大鼓の勇壮かつ軽快な打ち出しとともに動き始め、場に「喜びありや」と陽気を与え、大地を踏みしめ、邪気を払い、畦道を作り、クライマックスの「烏跳び」という跳躍を頂点に躍動的に舞います。
その後、「黒式尉(こくしきじょう)」の面を着け、千歳(せんざい)との問答をはさんで後段の「鈴之段(すずのだん)」を荘重に舞い始めます。鈴を手に、始めはゆっくりとしたテンポで足拍子を踏み、種まきのような所作を交えて舞いますが、鈴の音と囃子の演奏の響き合いとともに徐々にテンポが速まって行き、やがて最高潮に達します。

三番叟:野村 裕基
千 歳:飯田 豪
後 見:野村 萬斎、深田 博治
 笛 :杉 信太朗
小 鼓:幸 正昭、後藤 嘉津幸、船戸 昭弘
大 鼓:亀井 広忠