これからの時代の主役となる「Z世代(10代~22歳)」と「ミレニアル世代(23歳~38歳)」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのか、さらにグローバルビジネスや海外進出企業も知りたいこれからの消費動向について、ミレニアル・Z世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していく。
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今回は実在した黒人の侍が主人公のアニメ「YASUKE」について
<本記事を要約すると…>
●ジョージフロイドが白人警官に殺害されてからちょうど一年が経過。各地で追悼イベントや抗議運動が展開された。
●NETFLIX上でヒットしているのが、実在した黒人の侍「弥助」が主人公のアニメ。超一流の豪華スタッフが集結して制作している。
●黒人の侍が信長に仕えていたということが、西洋人にとっては非常に衝撃的。これまで押し付けられてきた黒人のイメージをぶち破るキャラクターでもある。
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綿谷エリナ:綿谷エリナのOn The Planet 。この時間は「NY Future Labミレニアル・Z世代研究所」です。
ミクア: Hi I’m Mikua.
ヒカル :Hi I’m Hikaru.
メアリー:Hi I’m Mary.
ケンジュ:Hi I’m Kenju and welcome to NY Future Lab 2021.
綿谷エリナ:
今夜もニューヨーク在住のジャーナリストでミレニアル世代とZ世代評論家シェリーめぐみさんと電話が繋がっています。シェリーさん!
シェリー:
エリーさん! こんばんは~!
綿谷エリナ:
こんばんは!
シェリー:
昨日も番組でお伝えしたのですが、昨日25日はジョージフロイドが白人警官に殺害されてからちょうど一年だったんですよ。
綿谷エリナ:
はい。
シェリー:
全米各地で追悼や抗議集会があって、私もそのうちの一つに参加したのですが、まあ歴史的な社会運動になったわけですよ、Black Lives Matter運動がね。
でも、この一年で何が変わったのか?っていう話になるんですよね。そうすると、白人警官による暴力は続いてるし、本当に人種差別問題の根深さって計り知れないものがあるんだなって感じる訳ですよ。
だけどね、少しずつ前に向かっているんだなっていう希望もあって、それは皆と話していてすごく感じました。「自分の子供の代には良い世界を残せるように頑張っていきたい」という決意を新たにした一日だったのかな、と思います。
綿谷エリナ:
これから長い目で見ていけば、一歩一歩進んでいるはず!ね?
シェリー:
そう。もう一歩ずつ進んでいくしかないんですよね。
綿谷エリナ:
はい。そんなね、NYのミレニアル世代・Z世代が本音で座談会するNY Future Lab。今日はどんなトピックですか?
シェリー:
5月は「アジア系アメリカ人歴史月間」ということで、今週は日本が生んだ世界の文化、アニメの話をしています。
綿谷エリナ:
はい。
シェリー:
先週は日本らしさを世界に伝えているアニメの話として…
綿谷エリナ:
NARUTOでしたね!あとのんのんびより!
シェリー:
そう!面白いものが出たんですけど、今日はアメリカで大きな話題になっている、NETFLIXのアニメを紹介したいんですよ。
2020年、NETFLIXのアニメ視聴が1年間で2倍になったんですよ。
本当にストリーミングが世界に日本のアニメ人気を広げているという話をしました。
綿谷エリナ:
はい。
シェリー:
その中でも最新ヒット作が「Yasuke」っていうアニメなんです。
Yasukeっていうのは、戦国時代に実在した黒人の侍。
これもBlack Lives Matterの時代だからこそ生まれて話題になっていると言えそうなんですよね。
ということで、まずはどんなアニメなのか。
どうやらケンジュがハマっているそうなので聞いてみました。
綿谷エリナ:
そうなんですね!私もちょっとだけ見てみましたよ。
どんなところにハマったのか気になります!
シェリー:
おお!どんなアニメなのか教えてもらいましょう。
ケンジュ:ああ昨日の夜、ハマって見てた、Yasuke。
シェリー:Yasukeのことみんな知ってる?ケンジュ教えてあげて、Yasukeってどんなアニメか。
ケンジュ:Yasukeのアニメは、、、本当の人の名前。弥助っていう人がいたの、日本の昔に。
シェリー:弥助というのは、日本の戦国時代に実際に存在した黒人の侍の名前なんだよね。
ケンジュ:ヨーロッパが日本に来た時に、アフリカの奴隷を持っていて、その黒人の奴隷が信長の下に入って侍になった。だけどこのアニメやもっとロボットとかが出て来たり、魔法とか出て来たり、本当の話と本当じゃない…
シェリー:ファンタジーみたいな?
ケンジュ:ファンタジーのところがaddしている…
シェリー:そう戦国時代にいきなりトランスフォーマーみたいなロボットが出て来ちゃうんだよね。付け加えるとアニメのクリエーターのルショーン・トーマス、アメリカでは有名な黒人のアニメクリエーターだよね。
メアリー:One of his famous works I know of is Boomdocks and legend of Korra.
シェリー:ブーンドックスとレジェンド・オブ・コーラ。両方ともアメリカの大ヒット作品だけど、これも手がけている。
メアリー:He’s from NYC. He’s like our guy.
シェリー:ルショーン・トーマスはニューヨーク出身なのね。だから私たちの仲間ね、とメアリーは言ってます。じゃケンジュ、このアニメ作品としてはどこがすごいと思う?
メアリー:アニメーションがすごいし、アクションもすごいしもう全て。あと音楽もすごいし。音楽はサムライチャンプルーと似ている。それも有名な日本のアニメなんだけど、普通のアニメよりいいアニメ。
シェリー:
このね、音楽を手がけているのは、フライングロータスというアメリカではかなり有名な音楽プロデューサーなんですよ。ケンドリック・ラマーとかも手掛けているんですけど。
彼は日本のアニメファンらしいので、もしかするとサムライチャンプルーにも影響されたのかも。
綿谷エリナ:
そうかもしれませんね!
シェリー:
でね、このYasukeの声の声優さん、日本語は副島淳さんがやってるんですけど、アメリカ版はね、ラキーシャ・スタンフィールドっていう、映画「ユダとブラックメシア」でユダ役でアカデミー賞にノミネートされたトップ俳優なんです。
綿谷エリナ:
すごい!豪華!
シェリー:
クリエイターのルショーン・トーマス始めアメリカの黒人のトップクリエイター俳優たちと、日本のトップアニメプロダクションMAPPA。進撃の巨人もやっている有名なプロダクションですよね。彼らが組んで作り上げた傑作アニメです。
さて、ルショーン・トーマスは日本に黒人の侍がいたことを知って、これは絶対アニメ化したい!と思ったそうなんです。
綿谷エリナ:
へ~!
シェリー:
さて、日本の歴史がこんなふうにアニメ化されたことに関して、みんなはどう感じているんでしょう?
綿谷エリナ:
そう!それが気になります!
シェリー:
そこを聞いてみました。
ケンジュ:信長が奴隷を最初に初めて見たところ。ヨーロッパの人が来て、その奴隷をすごい悪使いしていて。
シェリー:ヨーロッパ人が黒人奴隷をひどい扱い方してるんだよね。
ケンジュ:信長がきて、この奴隷にシャワーを浴びなさいとか、なんで肌がそんなに黒いのとか。
シェリーそれで信長が引き取って侍にするんだよね。
ケンジュ:それ多分本当にあったことじゃん。それをアニメで見れるからすごく面白い。
シェリー:こういう歴史をアニメにするのって意味があると思う?
ミクアYeah, it’s pretty cool. I didn’t know there’s black Samurai. And that’s the fact, true story, Is that something teaching in school?
シェリー:かっこいいと思う。ブラック侍が本当にいた話、私は知らなかったけれど、日本では学校で教えてくれるの?
ヒカル:t’s more like a trivia、if you are interested in history.
シェリー:そうじゃなくて歴史が興味がある人がちょっと知ってる豆知識って感じかな。
メアリー:It’s super strange in my opinion.
シェリー:すっごい変な感じ?歴史とファンタジーが混ざっちゃってるもんね。
メアリー:But I think it’s interesting that they put a story like that might not be super well known. And it mixed with robot, robotic fantasy type stuff to make it more interesting for younger people.
シェリー:でも面白いとはおもう。あまり知られていない歴史を取り上げて、それにロボットとかファンタシーを組み合わせることで、若者がすごく興味を持つと思うから。
綿谷エリナ:
うん!
シェリー:
こんな風にね、知られざる歴史をファンタジーもミックスして作品に…というのは意味があるんじゃないかってことなんだけど。
多分日本の皆さん、日本の歴史の中に黒人の侍がいたんだよって言われても、「ふ~ん」って感じだと思うんです。
だけどね、今私たち日本人以上に、若い黒人とかアメリカ人のアニメファンにとってはすごいインパクトなんです。
綿谷エリナ:
それはそうですよね!まさか登場するとは思ってないですからね。
シェリー:
そう。それにね、さっきも言ったようなBlack Lives Matterの時代もすごく関係あるんですよ。というのは、黒人はアフリカから奴隷として連れてこられ、文化も歴史も人としての権利も全て取り上げられてしまった。でね、もちろん奴隷制度が存在したことは教えるけど、具体的にどんなことをされていたのかは教えないわけですよ。アメリカの学校では。そして黒人を主役にした映画やアニメもとても少ないんです、
綿谷エリナ:
うん。
シェリー:
一方で侍といえば、アメリカ人から見ても、誇り高き品位の極みで憧れ。
綿谷エリナ:
かっこいい存在ですもんね。
シェリー:
アメリカ人から見ても、なんていうかな、リスペクトがあるんです。
だから奴隷制と同じ時代の日本で、弥助が信長のもとで侍として仕えていたというのは西洋人にとっては大きな驚きだし、これまで押し付けられてきた黒人のイメージをぶち破るキャラクターでもあるんです。
で、アニメの中では過去のトラウマに苦しみながらも弱いものを助けるんです。そういう中で、村人との暖かい交流も描かれている。そんなふうに弥助を受け入れた日本は、黒人クリエイターを受け入れた今の日本とも繋がってくるっていうことなんです。
綿谷エリナ:
なるほど。
シェリー:
だからこそ、いま実写映画化も計画されているんです。
綿谷エリナ:
そうなんですか!?Wow!
シェリー:
チャドウィック・ボーズマンが主役候補だったんですよ!ブラックパンサーの。残念ながら去年ガンで亡くなってしまいましたが…
綿谷エリナ:
えええ!すごい!!!素晴らしい企画ですね。
シェリー:
でね、なんでここまで盛り上がっているかというと、今世界が人種問題に目覚めているからなんです。
こういう黒人のイメージを大きく変える重要な作品が、日本で作られたということ。これ私すごいことだと思ってるの。私は日本人として誇りを感じずにいられないんです。
ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカではそういう風に見られているんです。
綿谷エリナ:
もしよかったら予告編だけでも見てみて頂きたいですね。
シェリーさん、今週もありがとうございました!
シェリー:
ありがとうございました!
綿谷エリナ:
そしてNY Future Lab、JFNアプリAuDee そしてSpotifyでもぜひチェックしてみてくださいね。次回もお楽しみに。