声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。6月5日(土)〜6月8日(火)の放送は、フードカルチャー誌「RiCE」編集長の稲田浩さんがゲスト出演。「RiCE」18号の特集テーマ「家カレー」について、トークを交わしました。
野島裕史、稲田浩さん
◆“家カレー(スパイスカレー)”を楽しむ極意
野島:今回、(「RiCE」18号の)特集テーマは「家カレー革命」ということで。
稲田:家カレーと言えば、まず大半の人がルーカレーを思い浮かべると思いますが、2年前に(「RiCE」11号で)「スパイスカレーの深層」という特集を組んだ当時は、“スパイスカレー”という言葉自体が、ちょっと、とがっていたんですよ。“スパイスカレーってなんだろう?”みたいな人もけっこういました。
それが、この2年でスパイスカレーが完全に市民権を得て、家でスパイスからカレーを作る人がどんどん増えていて、“家カレー=スパイスカレー”と思う人も出てきています。
野島:そうなんですね!?
稲田:いまは(コロナ禍で)家でカレーを作る人が益々増えているようです。今回の特集は、せっかくなら家カレーを“革命的”に美味しくしたり、バリエーションを一気に増やしたりして“楽しんでみては?”という提案でもあります。
野島:これから暑い時期に向けて、スパイシーな食べ物はいいですよね~! “家カレー(スパイスカレー)に挑戦したい!”という人が、まず揃えるべき基本的な調理器具やスパイスはありますか?
稲田:(スパイスカレーなら)フライパンがあればできますし、ルーカレーなら鍋があればできると思います。
野島:「RiCE」18号を読んで、“焦がす”というところにすごく興味をそそられました。
稲田:非常にいいところに目をつけられましたね。カレーマスターの水野仁輔さんと一緒に作ったページで、7人の有名カレーシェフに“新しいカレーのテクニック”を披露してもらったコーナーがあります。そのなかに“焦がす”というテクニックがあります。
普通、焦がすと聞くと“失敗”をイメージすると思います。そうではなくて、“メイラード反応”と言って、焦げが美味しくなることが作用としてあるので、あえて強い火力でガッと(具材を)炒めて、鍋肌に焦げついたスパイスをこそぎ取りながら、炒めていくんです。焦げすぎまでいってしまうと失敗なので“寸止め”ですね。
野島:少し焦がす?
稲田:攻めて攻めて、“ここだ!”というポイントで(火を)止めるということです。
野島:へぇ~!
稲田:(その見極めは)プロじゃないとできないレベルの技なので、いきなり習得はできないとは思いますが、これぐらい攻めて(炒めて)もいいんだな、ということを頭にインプットしておくと、プロの味に近づくんじゃないかと。
野島:“焦げた味”ってパンチがありますもんね。カレーというきらびやかな世界に入ってくると、うまく馴染むんでしょうね。
稲田:そうですね。
野島:今回、「家カレー革命」というだけあって、“燃やす”“焦がす”“触らない”“脱・玉ねぎ”など、驚きのキーワードが並んでいますね。
稲田:“薫らせる”というのもありますね。フレーバーオイルと言って、オイルにスパイスのホールや葉っぱなどを漬け込んでおいて、オイル自体に(スパイスの)香りを移すという手法もありますが、あまり世の中に広まっていないですね。
野島:そうですよね。
稲田:カレーは“自由だ”ということを噛みしめながら作ってもらえれば、自分にとっての新しい正解、今日しか生まれないカレー作りが楽しくなると思います。
野島:確かに、カレーほど具材もスパイスもこんなに幅広いものってないかもしれないですよね。今回の特集を通じて、稲田さん自身が学んだ家カレーの楽しみ方、家カレーの極意とは?
稲田:(家カレーは)とにかく自由度が高いので、プロセスを楽しみながら、その自由な感覚を味わう。今日のカレーということで考えれば、“一期一カレー”というか(笑)。今日のカレーを自分なりに見つけることは、楽しいことだと思います。
野島:そういう意味では、自転車と通ずるものがあるかもしれませんね。
稲田:同じ風景はないということですね。
次回6月12日(土)〜6月15日(火)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、野島裕史のサイクルコラム「ユニサイクル!?」をお届けします。どうぞお楽しみに!