防災をより身近なものとしてとらえるために、
東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は江戸川区です。
どのような特徴がある区なのか、防災危機管理課の統括課長に話していただきました。
江戸川区は、西に荒川、中川、東に江戸川、旧江戸川、そして南に東京湾と、三方を水に囲まれています。
水辺の環境が良いというところで、自然豊かなまちであるというところが、まず挙げられます。
裏返すと、その自然が暴れてしまうと大きな災害に繋がってくるというところもあります。
先人の方々が、いろいろと、堤防の整備や下水の整備をしてくださったので、
70年ぐらい大規模な水害は発生していませんが、
台風などが巨大化してきていますので、
やはり大規模水害に備えていかなければいけないという土地柄になっています。
江戸川区は、緑と水に恵まれた暮らしやすいまちですが、
その反面、区のおよそ7割が海抜ゼロメートル地帯ため、
大規模な水害が発生すると、ほとんどの地域が水没してしまいます。
このため、ホテルなどの宿泊施設や、親戚、知人の家など
区外の安全な場所へ避難する「
広域避難」が必須となります。
江戸川区では、区民が広域避難を実践しやすいよう、宿泊施設を利用した場合の費用を、
1泊あたり3,000円、最大3泊まで補助する制度を独自の施策として設けています。
広域避難の必要性について、防災危機管理の統括課長はこのように話します。
江戸川区は最下流に位置しているということもあって、
いざ大規模な水害が発生してしまうと、水が1週間から2週間以上引かないと言われていて、
人工的に水を出さないと、自然には流れ出ないという地勢になっています。
(マンションの高層階など)高いところにお住まいの方は、
「籠城避難」(すなわち)在宅で避難するという考えの方もいるかもしれませんが、
1週間から2週間、水が引かないということを考えていただきたいと思っています。
ひとつは、ライフラインがすべて止まってしまって、
真夏の暑い時期に起こる災害ですから、エアコンも効かない暑い中で避難を続けなければならなくなります。
また、備蓄で食料は用意したとしても、排泄の処理が出来ないということになります。
ゴミや排泄によって感染症を起こすということもあり、それが二次災害になる可能性もあります。
そうした中、(住民が)孤立してしまうと、行政側はいろいろな手段で救出にあたることになりますが、
試算すると1日(に救出できるのは)約2万人、
これは消防、警察、自衛隊すべて動員したうえでの最大の人数と言われています。
テレビで、ボートやヘリコプターによる救出の場面を見たことがあると思いますが、
江戸川区だけでも70万人の方がいらっしゃいます。
仮に半分の方が避難しても、救出にどれくらいの時間がかかるかは、想像していただければ解るかと思います。
江戸川区の
水害ハザードマップは、冊子になっていて、解説つきの解りやすい内容となっています。
この中には、自分自身の避難行動を記入できる「
わが家の広域避難計画」というシートが挟まれていますので、
ぜひ家族で話し合って、広域避難の計画を作ってみましょう。
ハザードマップの見方や、広域避難計画の作り方などについては、
出張説明会なども可能だということですので、区の危機管理部へ相談してみてください。
このほか、「
わが家の防災」というリーフレットや、
マンション防災のコツを紹介するパンフレットなどもあって、区のホームページでも閲覧できます。
災害時に情報を配信する
メールサービスや区の
公式ツイッターアカウントの紹介もありますので、
ぜひ一度、確認してください。
≪関連リンク≫
・江戸川区 防災HP
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e007/bosaianzen/bosai/index.html