TOKYO FMの新音声サービス「AuDee(オーディー)」にて配信中のコンテンツ「Monthly Artist File -THE VOICE-」。1ヵ月ごとに担当アーティストが替わり、楽曲の制作秘話や番組でしか聴けない特別なエピソードを語ります。7月はSUPER BEAVER・渋谷龍太が担当。7月11日(日)の放送・配信では、コピーライターの糸井重里さんがゲストに登場し、糸井さんが手がけた任天堂のゲーム「MOTHER2 ギーグの逆襲」について深掘りしていきました。
音声コンテンツは
こちらでチェック!
◆ずっと聞きたかった「MOTHER2」の疑問
1994年に発売されたスーパーファミコン用のRPG「MOTHER2 ギーグの逆襲」。渋谷はこの作品を何周もプレイするほどの大ファンで、今回の糸井さんとの対談に浮足立っている様子。渋谷はゲームをプレイしている中で、ずっと疑問に思っていたことを糸井さんに質問しました。
渋谷:(MOTHER2には)オレンジキッドとアップルキッドという発明家が登場しますが、ストーリー的には街に“デキる発明家”が1人いればいい気がします。“一見デキそうな奴”と“一見ダメな奴”の2人が登場した理由を伺いたいです。
糸井:いい質問ですね(笑)。たとえばバンドをやっていると「レコード会社の人間を紹介するよ」みたいな話が来るじゃないですか。そういう話は実現しないこともあるから、一見“らしい”ものがその通りになることも、ならないこともある。男女関係もそうですけれど、出会いのときにはなかなかわからないものだということを、子どもに味わわせたいんですよね。
渋谷:アップルキッドってダメな奴に見えて「信用していいのかな?」って思いながら接していましたけれど、最後の最後までちゃんとやってくれるっていう。最初にプレイしたときに、一番忘れられなかった2人組なんですよね。
◆人に嫉妬しているのではない?
糸井さんはとあるインタビューで「物を作った人間よりも、作品に嫉妬する」と発言していました。2人は“嫉妬”についてトークを交わすことに。
糸井:いいものを見たときって、嫉妬の前に1回落ち込みますよね。特に若いときは「自分にこんなのは作れない」と、(作り手が)遠くに見えるし、自分を打ちのめした人みたいに見えて、どんよりしてダメになっちゃいます。それでもまた作品を見たくなるし……と、繰り返していくうちに“人に嫉妬しているんじゃないな”って気づいたんです。
渋谷:きっかけはあったんですか?
糸井:僕らの時代は、音楽といえばビートルズですよね。ビートルズに嫉妬してもしょうがないですから(笑)。世界中が熱狂する人は(自分とは距離が)離れすぎているし、身近なライバルみたいな人に嫉妬しても、その人のことではなく、やっぱりできた“もの”に対して嫉妬しているんだと気づきました。