第306回 神田京子さん②

ゲストは先週に引き続き、講談師の神田京子さん。

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神田さんもコロナ禍で仕事のキャンセルが相次ぎ、
徐々に子育てを楽しむだけいいのか、と悩まれていたそう。
そん中、ある本を読んだことで、新しい講談が生まれました。

「目に入ったのが、金子みすゞさんの詩集だったんです。
 そしたら、”星とたんぽぽ”という詩の中に
 『見えぬけれどもあるんだよ』というフレーズが出てきて。
 あぁ、この人を今表現せねば...と思ったんです。」

東日本大震災の時も金子みすゞさんの
”こだまでしょうか、いいえ、誰でも”という詩が
メディアで流れていたことを思い出した神田さん。

早速、金子みすゞさんについて調べていくと、
26歳という若さで亡くなったことや、
人生を全うした美しい生き様を知り、
講談を作ってみることにしたのだとか。

「東日本大震災以降、福島県いわき市から始まり、
 宮城県山元町、気仙沼、岩手県石巻、山田町など、
 3〜4年通わせてもらいまして、
 皆さんの気持ちに寄り添うにはどうしたらいいか悩んで、
 当時は、現地の民話を講談の冒頭に入れてから、
 災害のあった江戸の話をしたりしてたんです。
 それで、いつか地方に住んで、その土ならではの空気を感じて
 講談を作ってみたい、というのがあったんです。」

今回、神田さんが作られた講談、『金子みすゞ 明るい方へ』を
スタジオで冒頭をお聞かせいただきました。

金子みすゞさんの詩から始まり、彼女に人生を追っていく講談。
晩年は寂しく過ごしたものの、人生が辛くても
詩はどんどん明るく、強く、輝いていくそうで、
そんな姿を多くの人に知ってほしい、とのこと。


神田さんは東日本大震災の直後から、
宮城県亘理町に何度も通われていました。
そこで、仮設住宅での講談をお願いされたことをきっかけに
数十箇所で講談を披露されていました。

「平日の昼間には、客席がおじいちゃんとおばあちゃんと
 犬とかもありましたね〜若い方は瓦礫処理に行ったりしてね。
 忙しいんですよ、皆さん。
 その土地に伝わる民話を、行った先で取材して、
 すぐ翌日3〜4分くらいの講談にしてました。
 書く時間もないので、デフォルメしていく、という形で
 本にもなって、現地で出版もしましたね。」

さらに、西日本豪雨や熊本地震でも
被災地支援・チャリティイベントなどを積極的にされている神田さん。
今でも ”心を寄せたい” と強く思っているそう。

「他人ごとと思わず、足を運べなくても
 今ある環境で何ができるか考えるように。
 金銭的なものなのか、もしくは今はネタつくりなのか。
 今の経験を無駄にしない、といつも思っています。」

最後に、神田さんの”元気の源”を伺うと、『直感力』と即答!
感動したことがあれば、すぐ行動に移すようにしつつ、
気持ちが落ちる時は落ちて自分を客観的に見ることもあるとか。
さらに、今年度は、
種田山頭火の講談作りを目標にしているそうです。

神田さんの最新情報は、公式webサイトでご確認ください。
2週にわたり、元気なトークありがとうございました!


M. 明るい方へ / ちひろ