防災をより身近なものとしてとらえるために、東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は千代田区です。
まず、区の特徴について、災害対策・危機管理課長にお話しいただきました。
仕事や観光などで多くの人が訪れる東京駅や秋葉原、
国の中枢機関が集中する霞が関、国会議事堂、中心に位置する皇居など、
他の区にはない様々な顔を持っていて、全国の自治体でも他に類を見ない地区だと言えます。
人口は、夜間人口が約6万7千人。
これに対して、昼間、千代田区内に働く人や学ぶ人、そのほか来訪する人を含めた昼間人口は約85万人で、
夜間人口の約13倍といった状況です。
そのため、災害時にはたくさんの帰宅困難者が発生します。
また、多くの事業所や官公庁が集中していることから、木造建築物が少なく道路も整備されているため、
総合的に災害に対する危険度は低く、千代田区は全域が地区内残留地区となっています。
延焼火災の危険性が少ないため、発災時に建物の安全が確保されればその場にとどまるという地区です。
こうしたことから千代田区では、
帰宅困難者対策を進めてきていて、
区内に住む人はもちろん、事業所や、そこで働く人たちとの協力体制を大切にしています。
千代田区では50万人の帰宅困難者が発生すると言われ、
このうち行き場のない帰宅困難者が10万人発生すると予想されています。
そのため区内の各事業所などと協定などを結び、
一時受入施設約80施設、約4万3千人分の受け入れ場所を確保しています。
地震が発生した場合の行動は、まず身の安全を確保していただく、これが基本です。
地震が収まった場合でも建物が安全であればそこに留まり、周囲の状況を確認してください。
ただ、火災が発生したり、建物倒壊の危険があったりする場合は、最寄りの災害時退避場所へ避難してください。
各退避場所では、屋外スピーカーやWi-Fiなどを整備していて、避難者の誘導や情報収集などに対応しています。
災害発生直後、事業所などの一時受入施設が稼働する前に身を寄せるのが
災害時退避場所です。
千代田区を訪れる機会の多い方は、どこが退避場所になるのか普段からチェックしておきましょう。
一方、大地震への備えだけでなく、水害に対する備えも進めています。
風水害については、ハザードマップを冊子化してリニューアルしました。
これまで発行した浸水荒川版、浸水神田川・日本橋川版、土砂災害の3種類に加え、
新たに高潮に関するハザードマップをまとめたものもあります。
各災害時における浸水想定箇所や避難の方法、それから「タイムライン」といって、
災害が予想される際に、それぞれがどのような避難行動をとるべきか書き込めるページも、
家族で話し合っていただく時などにご活用ください。
千代田区に住んでいる方は、自宅の危険度と水害が起きた時の避難行動を確認しておきましょう。
そして、災害時は正確でタイムリーな情報収集が重要です。
屋外のスピーカーで防災行政無線の放送が流れますが、自宅やオフィスなどにいると聞き取れない場合があります。
電話で「
防災無線ダイヤル」にかけて内容を聞くこともできますし、
区が配信する「
安全・安心メール」は緊急時のお知らせがメールで届きますので、すぐにでも登録しておきましょう。
このほか、
千代田区のホームページや、
ツイッター、
フェイスブック、LINEといったSNSの区のアカウントをフォローしておくのも有効です。
そして、水や食料、携帯トイレなどの備蓄のほかにモバイルバッテリーも用意しておきましょう。
≪関連リンク≫
・千代田区 防災HP
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kurashi/bosai/index.html