防災をより身近なものとしてとらえるために、東京の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて、
さまざまな独自の取り組みが行われています。
今回は江東区です。
まず、区の特徴について、防災課長にお話しいただきました。
江東区は、西に隅田川、東に荒川という大きな河川があり、南は東京湾に面しています。
加えて区内には、江戸時代の掘割が今でも内部河川や運河として残るなど、水辺環境に非常に恵まれた地域です。
近年では、区内の河川をカヌーで周遊される方が増え、
また護岸が整備されて、散歩コースとして親しまれる方も多いなど、水辺は区民の憩いの場ともなっています。
一方で、川の河口部で発展した地域であることから、もともと海抜が低い土地柄であり、
昭和40年代初めまでは大規模工場が点在する地域であったため、
工場の操業に必要な地下水のくみ上げによる地盤沈下もあるなど、水害のリスクが高くなってしまう状況となりました。
こうした土地柄のため、江東区では特に水害への対策に力を入れていて、
洪水と高潮の
ハザードマップを区内のすべての世帯に配布したほか、
災害時には情報を入手することが大切だという意味も込めて、防災用のラジオも全戸に配布しました。
ラジオは、停電していても情報を集められるということで、
乾電池だけでなく手回し充電の機能も付いたものを配布しました。
区の防災課長は、自分の身を守るためには、情報をいかに適切に入手して、適切な避難行動に移すか。
そのための日頃からの備えと心構えが最も重要だと話します。
江東区では、防災行政無線のほか、
ホームページや「
防災マップアプリ」、
携帯電話会社による緊急速報メールや、
区が配信するメールサービス、
ツイッター、
フェイスブックといった区の公式SNSアカウント、
さらに、ケーブルテレビやコミュニティFMなど、
さまざまな方法で、災害時に情報を発信できるようにしています。
とくに「防災マップアプリ」は、ハザードマップや避難所の開設状況、避難経路などのほか、
防災行政無線の内容も文字で確認できて、非常に使い勝手の良いアプリです。
また「こうとう安全安心メール」も、プッシュで情報が送られてきますので登録しておくと安心です。
そして、実際の避難行動について、防災課長はこのように話します。
江東区は、人口の8割以上がマンション等の共同住宅に居住していることから、
お住まいが浸水想定よりも高い位置にある場合など、自宅での安全確保が可能な場合は、
いわゆる「在宅避難」も避難の選択肢の一つとして考えられます。
理想としては、早いタイミングから、水害を逃れるために避難行動に移していただくというのが重要ですが、
半面、気象情報というのは、非常に変化しやすく予測しにくいため、
我々(自治体としても)避難行動に移していただけるような情報を、
どのタイミングでどういう形でご提供できるかは、正直なところ確定的なものではありません。
となると、とにかくご自分の身を守っていただくという上では、垂直避難も含めた避難行動を検討していただきたい。
垂直避難にあたっては、やはり備蓄(が必要です)。
特に、水害時、停電が起こった場合に電源を確保するため、例えばモバイルバッテリー等の備蓄や、
トイレが使えない場合のために携帯トイレの備蓄など、
これまでの水や食料に加えて、そうしたものも備蓄していただくということについて周知を図っています。
なお、水害時の避難場所については、避難指示の発令前や、避難所開設の前の段階で
避難を希望する区民を受け入れる
自主避難施設を増やすなど、区では避難場所の拡充にも努めています。
こうした避難場所についても防災マップアプリで確認できますので、今すぐにでもダウンロードしておきましょう。
≪関連リンク≫
・江東区 防災・安全HP
https://www.city.koto.lg.jp/bosai/index.html