「タイヤが黒い理由は?」「タイヤの原点は?」…自転車声優・野島裕史 “空気入りタイヤ”の原点「ダンロップ」の歴史を深掘り

声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。10月7日(木)〜10月12日(火)の放送は、サイクル・ヒストリー「空気入りタイヤの原点、ダンロップヒストリー」をお届けしました。



“タイヤ”といえば、このポーズ!? モデルでサイクリストの福田萌子さんの宣材写真にインスパイアされて、同じポーズを取る野島裕史



◆空気入りタイヤの原点を深掘り!
野島:このコーナーでは、自転車にまつわるさまざまなヒストリーを紐解きながら、サイクル知識を高めていきます。

過去にもテレビで特集が組まれるなどして、ご存知の方も多いかもしれませんが、あらためて、自転車・自動車で使われている空気入りタイヤの原点、ダンロップの歴史を振り返ってみたいと思います。

まず、地球上で最も古いタイヤの原点は、紀元前3000年頃、チグリス・ユーフラテスの河口付近で暮らしていたシュメール人が、ソリの下に車輪を付け、その車輪の外側に動物の皮を被せたことが始まりとされています。

その後、ローマ時代になり、ケルト人が木の車輪の外側に鉄の輪をはめた鉄のタイヤが出現。 以後、鉄のタイヤの時代が長く続きます。

タイヤにゴムが使われ始めたのは1860年代後半。当初は、ゴムの輪を車輪の外周に取り付けた、いわゆるソリッドタイヤでした。当時の車の最高速度は、時速30km/h程度、長く走ると熱でゴムが焼け、煙が出ていました。

そして、現在の空気入りタイヤが生まれたのは1888年。イギリスの獣医ダンロップ、息子の自転車タイヤに使ったのが初めてとされています。

当時流行していた三輪車レースにどハマりしていた10歳の息子・ジョニーから「ボクの3輪自転車をもっと楽に、もっと速く走れるようにして!」と頼まれ、発明心の旺盛なダンロップは、動物の診察で使っていたゴムチューブに着目。ゴムチューブと、ゴムを塗ったキャンバスで空気入りタイヤを作り、これを木の円盤のまわりに鋲(びょう)で固定。これに乗ったジョニーの評価は上々! 結果、ジョニーはレースで見事優勝できたのです。しかも、かなり悪い道を走っていたのに、タイヤはまったくの無傷だったそうです。

ちなみにこの年、空気入りタイヤの特許を取得したダンロップですが、実は同様の特許が1845年に同じスコットランド人のトムソンによって申請されていて、法廷闘争の結果、ダンロップの特許は1890年に失効してしまいました。しかし、ダンロップはさまざまな付属特許を取得しており、空気入りタイヤでその地位を確立することができました。

その後、ダンロップは自転車メーカーと協力して新型の空気入りタイヤを開発。 このタイヤを使用して、本格的な自転車レースに出場した無名の選手が、ソリッドタイヤを使った有名選手に圧勝し、性能を見せつけました。

一方、この空気入りタイヤを自動車に初めて使用したのは、フランスのミシュランで、1895年のパリとボルドーを往復する1179kmキロの耐久レースでした。

結果は数十回ものパンクを繰り返してリタイヤとなりましたが、途中、優勝者の平均速度の2倍以上にあたる時速61 km/hのスピードを出したため、翌年のパリ~マルセイユ間のレースでは多くの車が空気入りタイヤを装着したと言われています。

ちなみに、タイヤが飛躍的に丈夫になった要因はいくつかあります。その1つが「カーボンブラック」を使用したことです。(黒い炭素の粒が含まれる)カーボンブラックは、もともと印刷インク用に使われていましたが、1912年頃から自動車タイヤに使用され始め、その結果、タイヤの耐久性は3~4倍程度上がったと推定されています。カーボンブラックを混ぜることで黒いゴムができますが、混入する前のタイヤの色は、白色やアメ色だったそうです。

ということで、空気入りタイヤの最初は自転車だったんですね! そして、ダンロップさんは獣医だったんですね。いろいろと意外なことがわかりましたけど、ついでにタイヤが黒い理由もわかりましたね。

次回10月14日(木)〜10月19日(木)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、野島裕史のサイクルコラム「スマートウォッチ」をお届けします。どうぞお楽しみに!

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