防災をより身近なものとしてとらえるために、東京とその周辺の各自治体の防災の取組みについてお伝えしています。
自治体ごとの防災対策は、それぞれの地域の特徴や注意すべき点などを踏まえて様々な独自の取り組みが行われています。
今回は八王子市です。
防災上どのようなところに注意が必要なのか、市の防災課長にお聞きしました。
八王子市は、高尾山や陣馬山などのいわゆる山間部をかかえている一方で、
多摩ニュータウン、八王子ニュータウンといった丘陵地の大規模造成された街並み、
さらに八王子市の中心を流れる浅川を中心とした市街地(もあります)。
そういった意味で、海以外のあらゆる特色を持っていると考えています。
その中で、防災上の観点で八王子市が一番気にしなければならないのが土砂災害警戒区域。
特別警戒区域の“レッド(ゾーン)”は3,200カ所以上、
(警戒区域の)“イエロー(ゾーン)”は3,600カ所以上が指定されていて、都内で一番多いという状況です。
都内最多という土砂災害警戒区域に加え、八王子市内は、
浅川と、その支流もあわせると非常に多くの川が流れていますので、大雨などによる浸水にも警戒が必要です。
市では
ハザードマップを含めた「
総合防災ガイドブック」を作って市内すべての家に配布しました。
市のホームページで閲覧することもできますので、まずはこれを見て、
自宅や周辺が、土砂災害警戒区域なのか、浸水予想区域なのか、ハザード状況を確認してください。
その上で、災害時にどのような避難行動をとるべきなのか、あらかじめ想定しておきましょう。
避難について、防災課長はこのように話しています。
たとえば、マンションの上層階とか、一軒家であっても2階があるようなお宅の場合は、
浸水予想区域であったとしても、台風の危ない時に外へ出る必要はありません。
屋内の中で2階へ動く、もしくは住まい自体が上層階であれば、そこに留まる。それがもう避難行動になっています。
(暴風雨などの)危ない(状況の)中、外へ出て避難所へ向かうというのは決して正しい選択ではありません。
避難所に行くという一方で、とれる行動があるということをご理解いただきたいと思います。
八王子市が全戸に配布した「総合防災ガイドブック」にこうしたことを細かく掲載していますので、ぜひご一読ください。
さらに八王子市では「出前講座」というものをやっています。
たとえば地域、地域でグループを作っていただいて、
そこへ市の職員が出向いて講座を行うということに取り組んでいますので、ぜひご活用いただきたいと思います。
また、地域の方々による
自主防災組織の活動に市が様々なサポートをしていますので、
こうした活動に積極的に関わることで、あなたやあなたの家族、そして地域を守ることに繋がります。
そして、八王子市が力を入れているのが「情報発信の複線化」です。
災害時に市民が必要な情報を、自分に身近なツールやメディアで集められるよう、
市のホームページや、
防災情報メールの配信サービス、
ツイッター・
フェイスブック・LINEといったSNS、
防災行政無線の放送内容を受信することのできるスマホ用のアプリ「
コスモキャスト」も導入しています。
さらに、八王子の地域のJ-COMやコミュニティFMの「
八王子エフエム」とも協定を結んでいて、
避難情報や地域の災害情報などを発信します。
災害時は、必要な情報をタイムリーに受け取ることが命を守るカギとなりますので、今から準備をしておいてください。
≪関連リンク≫
・
八王子市 防災情報HP