第317回 井上奈奈さん①

今週からのゲストは、画家で作家の井上奈奈さん。



井上さんは、京都府舞鶴市のご出身。
武蔵野美術大学を卒業後、国内・海外のアートフェアで
作品の発表を続け、近年では絵本作品を多く出版されています。
絵本『くままでのおさらい 特装版』は、
ドイツで開催された『世界で最も美しい本コンクール 2018』で
銀賞を受賞されました。

最新著書『星に絵本を繋ぐ』は、
初の絵本以外の書き下ろしで、現在発売中です。

「もともとの企画では、絵本作りに特化したHOW TO本だったんですが、
 会議を続けるうちに、そういう本だとおもしろくないので、
 もっと個人的な内容にしようと。1年がかりでした。」

鮮やかな青い表紙で目を引くこの本は、
”撮り下ろし作品紹介”、”絵本作りで大切にしている10の事”、
”絵本創作のワークショップについて” 、の3章に分かれており、
井上さんの”絵本の作り方・思い”が書かれています。

中でも、”絵本作りで大切にしている10の事”では、
井上さんならではの内容になっており、
最初に”物語を書く”と記されています。

「絵をずっと描いてきて、どうしても描きたいというものが
 今自分の中に無くて... でも、物語はどうしても書きたい物語が
 生まれる時があるので、その後にどう見せるか、と絵を描いていきます。」



3章で紹介されている ”絵本創作のワークショップ” は、
物語制作から製本までを全6回で絵本完成を目指すものです。

なんと、参加者が最初に行うのは、自己分析!

「絵本に作りたいと参加してくださるんですが、
 その思いの奥に、本当に描きたいものがあるな、と思っていて。
 絵本を通じて何を伝えたいのか、分析してもらいます。
 自己分析といっても、私との対話の中で見つけていくイメージです。」

年2回ほどのワークショップでは、脱落者は未だゼロ!
絵が描けない方でも、切り絵などに挑戦されているのだとか。
世界に1冊の本が出来上がり、ギャラリーで展示する喜びは、
なかなか味わえないものです。

東京・六本木『文喫』では、最新著書『星に絵本を繋ぐ』の
刊行記念特別展示が 10月31日まで開催中です。
今までの作品もすべて展示されています。

「私は、机に向かって物語ができるという事はなくて、
 『ちょうちょうなんなん』という作品は、友達と飲んでいる時に
 竜巻を巻き起こす”バタフライエフェクト”という現象って面白い、
 と思った事と、日常で蝶を見た時につながって、出来ました。
 日常の断片がつながって物語になったりします。」


来週も、井上さんにお話伺います。


【プレゼントのお知らせ】
最新著書『星に絵本を繋ぐ』(サイン入り)を、抽選で1名様にプレゼントします。
ご応募は、メールフォームよりお願いします。
当選者の発表は、プレゼントの発送をもって代えさせていただきます。


M. 楕円の夢 / 寺尾紗穂