第318回 井上奈奈さん②

ゲストは先週に引き続き、画家で作家の井上奈奈さん。



井上さんは、国内外での個展・アートフェアなどで
作品発表を続けていらっしゃいます。
近年では、絵本作品も多く出版されており、
今月6日には、絵本以外では初となる
著書『星に絵本を繋ぐ』が発売されています。

井上さんは、京都府舞鶴市生まれで、
自然に囲まれ、活発な幼少期を過ごしていました。
お母様はギャラリーを経営しており、
アートが身近にあり、表現者に囲まれていたとのこと。

さらに、高校在学中の16歳の時には、
交換留学制度を使い渡米されています。

「京都府の舞鶴市の小さな町で育って、今ではものすごい愛していますが、
 子供の頃は窮屈に思っていたところがあって、
 1日でも早く町を出たい、と焦りのような気持ちがあって。
 それで、アメリカに行ったら、何か変わるような気持ちがして、
 制度を利用しました。アメリカに行ったら、
 夢に描くような生活ではなく、困難な日々でした(笑)」

トラブルが続き、1年間で6回の引越しを経験する留学生活を終え、
帰国後は、建築の専門学校に進学、武蔵野美術大学に編入・卒業されました。

井上さんは、2015年に
初めての絵本作品『さいごのぞう』を描かれています。
この絵本は、地球上でたった1頭になってしまったゾウを描いた作品。

製作のきっかけとなったのは、以前からアートで支援をしていた
『NPO法人トラ・ゾウ保護基金』からのある相談でした。

「彼らの団体が大きくなって、もっと保護することを訴えるための
 何かツールがほしいと相談をされたんです。
 そこで、最後の1頭になってしまったゾウの物語を絵本にしたらどうかと、
 絵を描いてお見せしたら、絵本にすることになりました。
 初めての絵本作品だったので、何回も描き直しをしました。」

作品の中のゾウの表情は、実際にスリランカやケニアに足を運び、
野生のゾウに出会ったことで生まれたものなのだとか。


絵本という存在について、井上さんに聞いてみました。

「絵本だけでなく、本そのものの力がすごくあると思っているんです。
 どんなに忙しくても、小説を1章だけでも読めば、途端にその世界に入って
 自分以外の人生をその一瞬歩めるんです。
 それって、いっぱいいっぱいになっている日常を解き放ってくれる瞬間で
 そういう旅が、自分を俯瞰で見れる時間になります。
 それが拠り所になっていくとおもいます。」


最後に、井上さんの元気の源について伺うと、『愛猫:キルグ』と即答!

井上さんは、絶滅危惧種のイリオモテヤマネコを題材にした
絵本作品『ウラオモテヤマネコ』も描かれています。
愛猫:キルグ(タガログ語 ”蝶が心の中を舞うような気持ち”)との生活は、
とても大切で学ぶことが多いのだとか。


2週にわたり、お話ありがとうございました!



M. いつか / 七尾旅人