「スノーピーク」の永久的な熱意と保証。ブランドの価値を 伝える人材が重要

ゲスト:スノーピーク 代表取締役会長 山井太さん



『お店ラジオ』にようこそ!
パーソナリティは、事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さん。
ゲストは、新潟県三条市に本社を構える、アウトドアブランド「スノーピーク」の代表取締役会長・山井太さんでした。
早速、「私、沢登りをしているんですけど」という三戸さん。実は、「スノーピーク」のチタンのコップを愛用しているそうで、すごく頑丈とのこと。
山井会長がおっしゃるには、チタンの加工は難しくって、とくにマグカップのような形は技術が必要らしく、その技術自体は「金属加工の街・燕三条」で培われた技術なのだそうです。
チタンは非常に軽くて丈夫な金属。優れた素材であるがゆえ、コスト的にも高い。
そんなハイエンドのキャンプグッズを作っているブランドが「スノーピーク」であり、このこだわりがお店を大きくしていったポイントでもあります。
「キャンパーのための商品をキャンパーが作る」。
そう話す山井会長も、もちろんキャンパーで、なんと社員800人みんなキャンパーだそうです(笑)楽しそうな会社ですよね!
山井会長がお父様の会社に入社されたのが1986年。今でこそグランピングという言葉がありますが、当時のキャンプは“野営”という感じで、オシャレからは程遠いものでした。
そんな時代に、社内起業して、キャンプ用品の事業を立ち上げた山井会長。アウトドアを一つのライフスタイルと捉えて、オートキャンプを「安くてお手軽なレジャー」ではなく「かっこいい存在」と位置付け、人々の価値観を変えていきました。
その結果、1988年頃から、オートキャンプブームが到来。
入社当時は5億円ほどだった売り上げを、5年で25億円ぐらいにしました。社内起業としてはかなりの成功です。
現在、ラグジュアリーでハイエンドなキャンプ用品を展開する「スノーピーク」では、品質を徹底的に上げて、すべての製品に「永久保証」を付けています。この「永久保証」は、期限を設けず、製造上の欠陥であれば永遠に「スノーピーク」が修理もしくは交換します、といったもの。
でもこれって、会社目線でいうと、利益が出なくならないのでしょうか?
山井会長曰く、「おそらく修理件数でいうと1万件ぐらい頂いてるんですけども、でも価格に転嫁するぐらいの経費はかけていない」とのことでした。

こういった修理サービスは簡単な修理なら基本的にすべての店頭で可能なのですが、「スノーピーク」の売り場は、直営店以外でしたら、例えばスポーツ量販店の店舗の中にコーナーを設置して、社員が店長として1人配置されているような体制です。
コーナーを置かせてもらっている元の店舗に売り場を任せたほうが、スタッフの固定費がかからない気がするのですが…?
そこには「スノーピーク」だからこそのこだわりがありました。
無人の売り場だった場合、永久保証付きの高品質なテントと9,800円の雨漏りするテント、店頭に置いてあっても差異はわかりません。「この製品のどこがいいのか」「なぜいいのか」と伝えるのは販売員の接客しかない、と語る山井会長。
実際、スポーツ用品業界の1坪あたりの年間売り上げ95万〜105万円と比べると、「スノーピーク」のインストアは年坪で250万円。2.5倍です。
山井会長曰く、「それはキャンプへちゃんと誘える販売員がいるから」とのことで、このやり方はちゃんと数字に跳ね返っています。
しかし、好調だった「スノーピーク」も、オートキャンプブームが去ったあとは、売り上げが急激に落ちました。
山井会長が社長に就任したのは、ちょうどそんな時期。「まるでジェットコースターのように売り上げが落ちた」と言います。
そんなある日、営業職の社員から、「社長、我々の会社は社会的に存在理由があるんでしょうか」と真剣に聞かれたことがあったそうです。こ、これはツラい…。
どうやったら存在理由を確認できるのか。やっぱりユーザーの顔を見ないと確認できない。だったら、キャンプのイベントをやるしかないよね!
ということで、1998年に初めてキャンプのイベントを開催。
「スノーピーク」のお客様に集まってもらって、一緒にキャンプを行いました。そこから、“スノーピーカー”という熱狂的なファンの方が集まるコミュニティができたわけなのですが、当時初めてのイベントでユーザーヒアリングならぬ「焚き火トーク」をしたところ、30組のお客様が同じ不満をおっしゃったそうです。
それは「高い」「品揃えが悪い」でした。
その頃の「スノーピーク」は、1000店舗のお店に何らかの形で商品を提供していました。
そのうちザックリと200店舗が直接取引で、800店舗が問屋経由。どうやら、問屋さんにお願いしていた「スノーピーク」が求める基準、これに満たない店舗に製品が置かれている、と知った山井会長。
思い切って、問屋との取引については全廃。全てやめることに。例えば「この製品とこの製品を一緒に置いてくださいね」など、設定した条件をクリアしてくれるお店だけに製品を置くことにし、地域一番店で接客をちゃんとしてくださるようなお店を選んで、正規契約店にしました。
結果、問屋のマージンがなくなって、定価10万円で実売8万のテントが、5万9.800円になりました。これで、「高い」「品揃えが悪い」というユーザーの問題意識を一気に解決!
たった1年でこれを実現したというからすごいですよね。
モノがいいと高い。しかし、それはやり方次第。


「スノーピーク」の製品に関して、当初業界の方々には「オーバースペックだよ」と言われたそうですが、代わりに「消費者の方々が支持してくれた」という山井会長のお話から、そんなことを学びました。皆さんも是非、山井会長のお話からヒントを得てくださいね。

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