2022年3月26日

西村由紀江のSmile Wind

スマイルピアノ500の活動をはじめて、もうすぐ11年。

東北に足を運ぶ中で、多くの人との出会いがありました。
そしてピアノを届けるにあたって、多くの人のお力もいただきました。

また、ピアノをお届けする中で改めて気づいたこと、学んだこともたくさんあります。

今回は、そんなピアノにフォーカスしてお話したいと思います。


1つ目は「ピアノの重さ」
アップライトピアノは約250キロ。
グランドピアノは、当然もっと重いです。約350キロ。
ちなみに、オスのライオンが最大で約250キロなので、
アップライトピアノは、オスのライオンとほぼ一緒。
グランドピアノは、オスのライオンより重いということになります。

2つ目は「運びやすさ」
実は、アップライトピアノよりグランドピアノの方が運びやすいんです。
グランドピアノは、3本の脚を取り外し、本体を縦にして運搬できるのに対し、
アップライトは持ったりひっかけたりするところがありません。
グランドピアノはコンサートでもよく使われるので、
運搬することを前提として作られているんですが、
アップライトピアノは家庭用なので運搬を想定していません。
スマイルピアノ500の活動では、そのアップライトピアノを1番需要が多く、
今までに48台をお届けしてきました。
これまで運んでくださったスタッフの皆さんに改めて感謝。

3つ目は「振動に強い」ということ
コンサートのステージ上で、10センチ移動させるだけでも
せっかくの調律が無駄になるという人もいますが、
移動はもちろん、振動にもわりと強いと言われています。
トラックで兵庫県の宝塚から岩手県の大槌町まで、
トラックで1000キロの道のりを運びましたが、
着いてすぐに弾いた時でも、さほど違和感がありませんでした。
それよりも、温度と湿度が大切。
倉庫に置きっぱなしで湿度の高いところに保管している方がよくないんです。
木材、木でできている楽器だから、乾燥している方がよいのですが、
急に乾燥したところに移動させると、まれに木が割れてしまうことも。

湿度といえば、葉加瀬太郎さんのトリオで演奏活動をしていますが、
冬の時期は、葉加瀬さんのヴァイオリンも柏木さんのチェロも、
ほぼ1曲ごとにチューニング(調弦)をしています。
(普段は1時間に数回)
乾燥する時期は音程が安定しないそうです。
その点、ピアノは曲ごとに調律することはないので、
そう考えると弦楽器ほどピアノはナイーブではないのかもしれませんね。

4つ目は「ピアノの弦は水洗いできる」ということ
これまで弦は水につかったら2度と音が鳴らないといわれていましたが、
いわき市の調律師の遠藤さんが実践、見事に音色を復活させました。
福島県の豊間中学校のピアノが被災、泥をかぶり海水に浸かり、
誰もが廃棄しかないと思ったのを、遠藤さんが少しでも可能性があるならと修復。
泥まみれの弦を水洗い、今も日本中、世界中の人に音色を届けています。
決して、水洗いを推奨している訳ではありませんので。

振動に強いことと弦の水洗いも可能なことは、震災を機にわかったこと。
ピアノの調律師さんも、震災で学んだことがたくさんあると話していました。

豊間中学校のピアノは「奇跡ピアノ」として復活しましたが、
今でも中から塩が出てくるということで、
遠藤さんが頻繁に丁寧なメンテナンスを続けているんだそうです。

本来なら、この「奇跡のピアノ」を
2月11日に福島の震災伝承館で演奏予定だったんですがコロナで中止に。
また奏でられる日を心待ちにしています。



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