2022.04.13 ~ ゲスト:田丸雅智さん②

第394回 ゲストは先週に引き続き、ショートショート作家の田丸雅智さん。

http://masatomotamaru.com
https://twitter.com/tamaru_m



田丸さんは、1987年 愛媛県松山市生まれ。
大工の祖父と、造船業の祖父の影響を受け、
工作が大好きで、外遊びも好きなアクティブなお子さんだったそう。

杏子「表現の中に、THE昭和みたいな風景があるんですけど
   子供の時に体験されてるんですか?」

田丸「まさにそうです。松山はまだまだ当時は自然も多くて
   田んぼに囲まれていましたし、カエルの鳴き声を聴きながら寝る、
   といったところでした。」

松室「衝撃なのは、本を読まない子供だったんですよね?」

田丸「お恥ずかしながら、絵本は好きだったんですけど、
   うまく活字に移行できず...せっかちなので小説が苦手で。
   飛ばし読みをしてしまうとよく分からなくなって
   周りも”読まされる”というイメージに引っ張られて、
   苦手だ、という小学生時代になりました。」

読書が苦手だった田丸さんに、
ご両親は星新一さんの作品などのショートショートを勧めました。
短く、せっかちでも読み切れる、そして面白いと感じ、
中学・高校時代に読み漁るようになったのだとか。

そこから書き手となったのは、高校2年の時。
暇を持て余した時、工作のような”物作り”の気持ちで
ショートショート作品を書いてみたところ...

田丸「ルーズリーフに書いて、友人にたまたま見せたです。
   そしたら、面白いと言ってもらえて
   『小説って自分で書いていいんだ』と、衝撃を受けて
   そこで意識が変わりましたね。」

松室「最初に見せるの、勇気いりませんか?」

田丸「そうなんですよ、でも、そこもまだ曖昧で、自意識もなく。
   ”積み木したから、見てよ”くらいの感覚でした。」

杏子「そこで、友達が面白いって言ってくれたことが大きいですよね」

田丸「それで決まりましたよ!」


そんな中、物作りが好きだったことや、
宇宙の研究をしてみたいという憧れから、東京大学工学部に進学し、
同大学院工学系研究科卒業されました。

田丸「大学にはその道で行きましたが、違うなというとカッコいいですけど
   この道は無理だな、と...」

杏子「大学院まで行ったのに?!」

田丸「モラトリアムみたいな事で(笑)一応、最低限の研究はしました。」

また、親元を離れ生活する事で、自身が過去に体験した事は
親のおかげで経験させてもらっていた事だ、という有難さを知ると同時に、
”これからは自分で体験をしないといけない” という怖さも感じたそう。


研究者という道もあった田丸さんですが、
大学3年の20歳前後で、作家の道を決意されています。

田丸「物理法則、化学法則、自然法則っていうのが窮屈になりまして。
   例えば、ボールを投げた時、重力にしたがって落ちるんですけど
   僕がやりたかったのは、投げたボールがフワフワと空に舞い上がるのを
   許容してくれる世界だったんです。それが心地よくて。」

杏子/松室「おお~....かっこいい」

田丸「研究には、柔軟性と緻密なロジックが必要なんですけど、
   僕は、せっかちで雑なので、緻密なロジックがなかったんです(笑)」

杏子「おもしろいわ~仕上がりイイネ~(笑)」

そして、2011年、23歳の時に
『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され、作家デビューを果たしました。
地元の桜の景色を閉じ込めた、20歳ごろに書いた作品です。

松室「宇宙のことを、作品にしたいというのもありますよね?」

田丸「そうなんですよ。題材はジャンル関係ないはないですか。
   僕、不思議なんですけど、宇宙を元にしたお話をやったり
   今、大学の時に選考していた環境エネルギーの専門誌で
   ショートショートの連載させていただいたり...」

松室「全部繋がってますね!」

杏子「だから、田丸さんのストーリーって組み立て方が立体的で
   奥行きがあって風景が浮かんだり、香りがするんだね~」


来週は、なんと!ショートショートの書き方講座!
杏子と松室の作家デビュー?!

お楽しみに。


M1. TRICK ME / 秦基博
M2. Puzzle / 松室政哉