春に増える「自転車事故」…防ぐポイントは? 自転車ロードレースの元プロ選手・栗村修が解説!

声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。4月26日(木)~5月2日の放送は、自転車ロードレースの元プロ選手で、一般財団法人「日本自転車普及協会」の主幹調査役、国内最大規模の自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」大会ディレクターの栗村修(くりむら・おさむ)さんお届けしました。


栗村修さん、野島裕史



◆なぜ、5月は自転車月間なのか…
野島:毎年5月は自転車月間(5月1日~5月31日)ということで、自転車月間のお話をしていきたいと思います。5月5日の“自転車の日”を中心に全国各地でさまざまな行事をおこなっていますが、そもそもなぜ5月が自転車月間になったのか、あらためて説明をお願いできますでしょうか?

栗村:1981(昭和56)年に、自転車の安全利用の促進と自転車の駐輪場の整備に関する法律が施行されたことを記念して設定されました。期間中の祝日である5月5日が「自転車の日」に制定されています。私が本業としている国際レース「ツアー・オブ・ジャパン」も、自転車月間の主力事業ということになっています。

野島:ということは、より一層「5月=自転車」が盛り上がっていくということですね。ちなみに5月22日は「サイクリングの日」でもあるんですよね。 自転車に乗るにもいい季節ですから、より自転車というものを意識していくには、とてもいい月間だと思います。

4月には春の全国交通安全運動もありましたが、この時期、春の新生活で自転車に乗り始めた人も多くいらっしゃると思います。どうしても自転車の事故が増加傾向にあるということで、自転車通勤を始めた人の安全利用のためのアドバイスを伺いたいです。

栗村:自転車という乗り物は、やはり転ぶものなんですよね。2輪ですので、どれだけ注意していても、自転車のトッププロであっても転ぶときは転んでしまいます。やはり、“転ぶ”ことをしっかりと意識したうえで自転車に乗る。そうすれば安全意識が高まります。例えば、ヘルメットの重要性ですが、みなさん“転ばない”と思っているからヘルメットをかぶらないわけで、転ぶのが前提であればかぶると思います。

転ぶシチュエーションっていくつかあると思うんですけど、そうしたときに減速をしたり、状況によっては自転車から降りたり、そういう選択をすれば、転んでケガをする確率が減ります。ネガティブな考え方ではありますが、やはり2輪の乗り物は“転ぶ”ということを、まず認識していただきたいと思います。

野島:車と同じですね。事故がここで起こり得るというのを常に想定しながら乗ることが大事なのかもしれませんね。

栗村:そうですね。楽しむという意味では、ネガティブなことを考えたくない気持ちはわかるんですけど、その意識を持つだけで、実はけっこうな確率で事故は減らせられると思うんですよね。根底の考え方ってそこなのかなと。

野島:そういった面でも、ヘルメットの着用も大事ですし、自転車保険の加入なども大事ですよね。

栗村:何かあるということを前提にする意味では、今お話しされた2つは大事だと思います 。

◆自転車マナーをよくするために必要なこと
野島:栗村さんが「J SPORTS」のサイトで展開している「サイクル ロードレースのコラム」の「輪生相談」のなかでも、「首都圏の自転車マナーがあまりにもひどく、自転車の地位向上は遠いと思わざるを得ません」というような相談があったそうですね。確かに僕もそう思うことはありますね。

栗村:これは日本自転車普及協会の一員として、そのご指摘に“しっかりやらねば”という気持ちになる話題ですね。自転車という乗り物の法律上の立ち位置と現実の立ち位置、それは走る場所もそうですよね。「自転車は軽車両なので車道を走りなさい」とシンプルに言われていることなんですけど、実際はというと、スポーツバイクならいいんですけど、いわゆるママチャリで(車道を)全部走れと言われたら怖い場所がありますよね。

野島:そうですね。小さいお子さんの自転車とか。

栗村:お子さんやご年配の方もね。理想と現実の狭間、グレーゾーンがたくさんある状態なので、こういった声をコラムでいただいたときに、何か方向性は出さなきゃいけないんですけど、読む方によってはその答えが心地いいものであったり、そうじゃなかったりもするので、まだまだ議論を重ねつつ、あるべき方向に持っていかなきゃいけない過渡期なのかなと思っています。

野島:道路自体も自転車専用道路ですとか、自転車はここを走ってくださいという青いラインなども増えてきてはいるんですけど、まだまだ自転車はどこを走ったらいいんだろうと僕ですら悩むような道もありますよね。

栗村:はい。今回、自転車マナーがひどいという声でしたので、そこに関して言うと、もちろんお子さんやご年配の方などさまざまなパターンがあるので、すべてを一言で解決する言葉ってないんですけど、このときに答えたのは、やはり自転車は軽車両であると。

野島:はい。

栗村:日本では自転車は歩行者の延長という認識がまだまだ残っていますよね。なので、日本人の価値観的には、(自転車で)歩道を走っていい、ハイヘルメットもかぶらなくていい、右側通行も左側通行も関係ないし、一時停止もしないと。要するに、 歩行者として歩いている気分のまま自転車に乗っていると。これがやはりマナーの悪さにつながっている最大の原因だと私は考えています。

野島:なるほど。

栗村:自転車は軽車両です。わかりやすく言うと、例えば、(自転車は)50ccの原付バイクと同等であるという認識を持つと、スクーターが逆走してきたらヤバイですよね?

野島:相当ビックリしますね。

栗村:スクーターがノーヘル(ヘルメット未着用)で、無灯火で走っていたらかなりヤバイですよね。スクーターが赤信号を走って行ったら通報したくなりますよね。でも、今お話したのをいわゆるママチャリに置き換えたら、まぁまぁ見かけますよね。

野島:そうですね。けっこう日常的に見かけるので、慣れちゃっているところもありますよね。

栗村:まずは「自転車=軽車両ですよ」というところから始めて。ただ、そこはツッコミどころがあって、すべての自転車が車道に出なさいということなのかというと、やはり例外、お子さんやご年配の方、お子さんを乗せている女性など、グレーゾーンを解決していく。例えば、お子さんを前後に乗せて歩道をものすごいスピードで走っている方もよく見かけますよね?

野島:最近、特に電動アシストでかなりパワーが出るから、ちょっとスピード出し過ぎなんじゃないかなと思うことはありますね。

栗村:歩行者として自分が歩道を歩いているときも(そういう境遇に出くわすと)すごく怖いですね。なので、そういう多面的にいろいろなものを解決していかないといけないんですけど、最初にやはり自転車は軽車両であるということ。

野島:その意識が大事かもしれませんね。

栗村:教育を受けていない方もいらっしゃるので、まずはそこからなのかなと思います。

次回5月5日(木)~5月9日(月)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」も、引き続き栗村さんをゲストに迎えてお届けします。どうぞお楽しみに!

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