声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。5月19日(木)~5月23日(月)の放送は、トライアスリートでオリンピアンの庭田清美(にわた・きよみ)さんをゲストに迎えてお届けしました。
野島裕史、庭田清美さん
◆トライアスロンにハマったきっかけは?
野島:庭田さんは高校卒業後、当時勤めていたフィットネスクラブでトライアスロンを勧められて始めたそうですね。このときは乗り気だったんですか?
庭田:いや、そうでもなかったです。「自転車を持っていない」と言ったら参加料8,000円のアクアスロン(水泳と長距離走を続けておこなう競技)を勧められて。1.5km泳いで、10km走るという大会だったんですけど、申し込み用紙を捨てちゃったんですよ。
野島:捨てちゃったんですか!?
庭田:8,000円あったら、焼き鳥屋で2回飲めますから(笑)。
野島:(笑)。高校時代は走ったことがなかったんですよね?
庭田:なかったです。フィットネスクラブの会員さんが大会に誘ってくれたんですけど、(申し込み用紙を)「捨てた」と言ったら怒られると思って「なくした」って言ったら「大丈夫、まだ持っているから」ということで、仕方なく(笑)。それで(参加料を)払ったからには“完走しないと!”と思って走り始めたんです。でも、10分走ったらダメでした……。
野島:10分走ってダメ!? そんな状態から始まったんですね。中学3年生まで水泳を続けていたから、スイムは楽勝だった?
庭田:いや、しばらく泳いでいなかったので、200mぐらいしか泳げなかったです。
野島:そうなんですね……それで本番に臨んだんですか?
庭田:“これはヤバイな”と思って。8,000円も払って完走できなかったら悔しいので、練習しました。
野島:練習した結果、完走は?
庭田:完走しました!
野島:そうなんですね。そのときはまだちょっと嫌々な感じは残っていたんですか?
庭田:いや、それよりも何よりも楽しかったのは、終わった後のビールが最高で(笑)。
野島:やっぱりそこなんですね(笑)。その後、オリンピックに出場するほどトライアスロンにハマっていったと。なぜこんなにハマったんでしょう?
庭田:自分の可能性がどこにあるのかなっていうことの積み重ねの先に、オリンピックがあっただけで。2000年シドニーオリンピックで、トライアスロンがオリンピックの正式種目になったとき、ローカルレースで優勝するぐらいになっていたので、周りの人から「オリンピックを目指しなよ」と言われたんですけど、私は全然オリンピックに興味がある子ではなくて(笑)。
野島:トライアスロンにハマったきっかけを伺っていますけど、あまり興味がないところから始まっているんですね?
庭田:まったくないですね(笑)。体を動かすことは好きだったというだけで。
野島:それほど興味を持たないまま始めて、すごい才能ですね。初めてロードバイクに乗ったときの印象はどうでした?
庭田:股が痛かった……(笑)。中古のサイズが合っていないものを2万円で買ったので、ビンディング(ペダルと靴を固定する器具)じゃないタイプだったんです。ペダルストラップが怖くて、5kmぐらい乗っただけで“もうダメ”って。
野島:はい。
庭田:これを40kmぐらい乗ると聞かされたときには、“いつやめようかな……”と思っていました。楽しかったのは、体を動かした後の“飲み”だけですよ(苦笑)。
◆「石垣島トライアスロン」で遭遇した2人
野島:続いては、4月17日(日)に開催された「石垣島トライアスロン」について伺いたいと思います。当日は、気温もそれほど暑くならず、風も穏やかで、コンディション的には特にスイムがよかったようですね。
庭田:昨年は意外と風が強くて、波が立っていたので苦労した選手も多かったですけど、今回は風が少なくて日差しもそれほどではなかったですから、みなさん走りやすいコンディションだったと思います。
野島:スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmで競う石垣島トライアスロン。今回、エイジ部門では957人が出場し、940人が完走ということで、完走率98.2%というのは、やはり好条件という背景があったんですかね。
庭田:そうですね、すごいですね。
野島:リレー部門は、56チームが出場し、全チームがゴールしました。
庭田:素晴らしい。
野島:そんななか、私はとにかくスイムが苦手で、3月下旬の段階で500mしか泳げなかったという……。スキップ前提で出場しようと(笑)。
庭田:もうちょっと早く呼んでくださいよ、私を(笑)!
野島:泳ぎを習ったこともなく、(トライアスロン挑戦に向けて)週に1~2度、ただひたすら区民プールで泳ぐだけで。それをしばらく続けていたらあるとき急に1時間以上かかるんですけど1.5km泳げるようになってから大会に臨んだので。
庭田:ウェットスーツは着ていないですよね?
野島:はい、大会のときに初めて着ました。
庭田:私、(スイムで会ったときに)質問しましたよね? 「ウェットスーツを着て泳ぐの、初めてですか?」って。「はい、初めてです」って言うから“やっぱりな”って(笑)。
野島:率直に伺いますけど、僕の泳ぎ、ひどかったですか?
庭田:ひどかったですね(笑)。ウェットスーツを着て、あそこまで足が沈む人、初めて見ましたよ。立ち泳ぎしているのかと思いました(笑)。
野島:そんなに斜めになっていました(笑)?
庭田:はい! “タツノオトシゴ”ですよ。
野島:(笑)! だから全然スピードが出ず、前に進まないんですね。
庭田:浮いていなかったですもんね。
野島:なぜ浮かないんでしょうか。
庭田:前を向いているからですね。(水が)怖い人は前を向いてしまうので、頭が上がっちゃうんですよ。足が沈んで、その状態で腕を回そうとすると、腕が上がらなくて、もがいているような感じというか。でも最後のストレートはちゃんと泳げていましたよ。
野島:「石垣島トライアスロン」では750mを2周するんですけど、1周目のときにわりと集団のなかでスタートしちゃったんです。
庭田:はい。
野島:あまりの泳ぎの遅さに、悪気はないんですけど後ろの人たちがクロールで漕ぐときの手で叩かれまくって……300mぐらい進んだときに息継ぎしようとするたびに(周囲の人の手が頭に当たって)2回息継ぎできなくてパニックになって。スイムは1時間以内にクリアしないといけなかったんですけど、1周目に35分かかっていたんです。
“頑張って泳ぎ切ろう!”と思って、2周目に差しかかったところで庭田さんとお会いしたんです。僕は断トツでビリだったんですけど、残り750m、庭田さんは僕のスーパースローなスイムに付き合ってくださって。今後、僕は何に気をつければいいですか?
庭田:練習していきましょう(笑)。週に1~2回泳げていれば十分なので、1年通して練習して、(大会までに)1回は海で泳いでみるメニューを入れるといいと思います。
野島:スイムで、“なぜこんなにスピードが出ないんだろう?”と思っていたんですけど、それは首が上がっていたのが問題だったんですね。
庭田:そうですね。恐怖心があるのはもちろんなんですけど、体がフラットに正しい位置で浮けていないので、ボディポジションが悪いのと、(水中での体の)動かし方をまだ理解できていないのが一番ですね。要は基本から(笑)。
野島:スイムの基本の“き”から(苦笑)。
庭田:スイムの基本からやるといいかもしれないですね。
野島:わかりました、ありがとうございます。僕はこれでめげることなく、とても楽しかったので、今後とも“トライアスロンに出たい”と思っています。来年もお会いできますかね?
庭田:はい。お声がかかれば飛んでいきます!
野島:そのときには、スイスイと泳ぐ姿を見ていただきたいと思うので、(来年の大会に向けて)頑張ります!
庭田:来年の野島さんの成長を、楽しみに待っています。
次回5月26日(木)~5月30日(月)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、野島裕史のサイクルコラム「まだまだ思い出がいっぱい! 石垣島トライアスロン」をお届けします。どうぞお楽しみに!