■作者:藤原恵(ふじわら・めぐみ)
■タイトル:「オサムライ」
■画材・作成年など:ジャンル「コラージュ」 紙、水性ペン、セロテープ サイズ…高さ32cm ×幅18cm×奥行4.5cm 2021年度
■プロフィール
1992年生まれ。姫路市。
自分の心の中にある大事な出来事を紙に書き出し、セロテープでコーティングする、という創作活動を日々続けています。
■作品について
恵さんの作品は、【彼女が大切にしている記憶のかたまり】です。
最初は、一枚の紙に、大好きな職員の顔や、楽しみにしている予定、好きな食べ物、アニメのキャラクターなどをぎっしり書き込み、
これ以上書けなくなったら、セロテープで破れないように大事にコーティング。
さらに上に紙を貼って文字を書き、テープを貼り…と、どんどん紙を貼り重ねていきます。
そしてそれは、完成するまで、毎日どこに行くにも、お気に入りの手提げ袋に入れて持ち歩きます。
何日もかけて、まるで枕のように大きくなった、大事な大事なかたまり。
なのに彼女は、ある日突然ポイっとゴミ箱に捨ててしまいます。あんなに大事にしていたのに!
そしてその直後、また1 枚の紙から、新たなかたまりを作りはじめます。
そんな制作の日々を、誰に見せるでもなく、もう何年も続けておられます。
もともとは、紙に絵や字を描いていただけでしたが、テープで補強するようになったのは2015 年くらいからです。
お母さんいわく、書いた紙が破れてしまうのを防ぐために、補強の意味でテープを貼りはじめたようです。
巻きつけるテープの量が増え、今の形になりました。
みんなの家では、話を聞いてくれそうな人をつかまえて、好きなものについて話したり、予定の確認をしたり するのが日課です。
恵さんにとって、自分の頭の中に渦巻く大事なことや予定を、
①人に聞いてもらう
②紙に書き出す
ということが、心を落ち着かせる大事な作業なのではないか、と職員は想像しています。
話すだけでは足りない分を、紙に書くことで補っているのかもしれません。
この創作スタイルになってから、少しずつ精神的にも落ち着いてきた気がする、とお母さんは言われていました。
作品は、最後は自分でゴミ箱に捨ててしまいます。作品は、最後は自分でゴミ箱に捨ててしまいます。
捨てた作品を掘り出されることを以前は嫌がっていたため、今まで作られてきた膨大な作品は、残念ながらほとんど残っていません。
こころのアート展に出品するにあたって、
「藤原さんの作品はすてきだから、いろんな人に見せてあげたいから、貸してくれる?」と確認をすると、
初めて了解してくれたため、少しずつ作品を保存しているところです。
<受賞・出展歴>
こうべ市民福祉振興協会主催・第10 回「こころのアート展」にて入選。
【こころのアート展】
公式サイト:
https://kokoroart2011.info/