「中川政七商店」工芸業界初のビジネスモデルを確立。 ブランドづくりの考え方、ヒントはこちら!

ゲスト:「中川政七商店」の代表取締役会長 中川政七さん



いらっしゃいませ!
事業投資家の三戸政和さんと、スマレジ代表の山本博士さんでお送りする『お店ラジオ』。
今回のゲストは、「中川政七商店」の代表取締役会長、中川政七(なかがわ・まさしち)さんでした。

今回は奈良での収録!なぜなら「中川政七商店」は、奈良で300年の歴史をもつ老舗なんです。
創業は享保元年=1716年、祖業は麻織物の問屋業。当時、この地には奈良晒(ならざらし)と呼ばれていた高級麻織物の問屋さんがたくさんあって、商売としてかなり繁盛していたそうです。
それが明治時代になって衰退し、現在まで続いているのは「中川政七商店」のみになりました。
そんな「中川政七商店」では、老舗ならではの温故知新の想いを根底に、品質やこだわりを大切にし、私たちの暮らしに根ざした機能的で美しい様々なアイテムを取りそろえています。

中川さんが家業の「中川政七商店」に“転職”したのは、ちょうど20年前の2002年。
大学卒業後は富士通で働いていましたが、「今後伸びそうな小さな会社」で働きたいと思ったことがきっかけです。
その頃は、父親が茶道具の事業をやっていて、母親が麻を使った雑貨の事業をやっていました。この中川さんのお母様がやっていた雑貨の事業が、現在の「中川政七商店」のベースになったわけなのですが、当時は赤字経営だったと言います。
「生産管理もろくにされていなくて、売れている商品は常に品切れ。売れない商品ばかり上がってきたりする。ただ、母のセンスが良かったので、雑誌に載ったり、東京に出店したり、少し伸び始めていたんです」と中川さん。
まだパソコンが当たり前ではなかった時代、生産を管理するような情報システムもなく、そういった部分から整備していくことにしました。
当時、父親が行う茶道具の事業は売上が9億くらい、一方、母親が行う雑貨の事業は3億円。周囲の重鎮の方々から「売り上げが逆転するわけがあらへん」と言われていたそうです。
しかし、その力関係が、なんと2~3年でひっくり返ったと言うから驚き!
これには三戸さんも思わず「え、すごい!」と声をあげていました。

現在では60店舗ほど展開している「中川政七商店」ですが、そのビジネスモデルは、製造から販売まで全て自分たちで行う、いわゆるSPA(製造小売)。
工芸の世界で、初めてSPAを確立させたのが、「中川政七商店」なんですよ。

というのも、工芸の世界は基本的に分業制で、私たち消費者の手に届くまで長い長い工程があります。例えば、焼き物一つ作るにも、生地(泥)の会社、型の会社、焼く会社、絵付けをする会社があって、そうやってできた商品を産地問屋が一気に買い上げて、さらに百貨店で流通させるための業者をはさんで、やっと都市部で流通するといったサプライチェーン。
これまでずっとそんな流れでしたが、生活様式が劇的に変化する中で、工芸の世界ではモノが変わらなかったため、売れなくなってきました。
すると、産地問屋は、安く作れる海外にどんどん行ってしまったんですね…。
産地でモノづくりをしていた職人さんたちにしたら、「どうやって食べていけばいいの?」という状態。
中川さん曰く、「この30年、色んな施策が取られているけど、今も相変わらず路頭に迷っているというのが今の状況かなと思います」。
こうした業界の事情を背景に、「中川政七商店」は、産地でモノづくりを行う色んな人から仕入れて直営店で売るという、業界初のSPAを確立させたということです。

以来、「中川政七商店」で様々なブランドを生み出してきた中川さん。
どういった部分から考え始めるのでしょうか?
「なんでこんな商品しかないんだろうなと思ったことから、次に業界を見てこんなことやったら面白いんじゃない?って考え方と、じゃあそれを中川政七商店がやる意味ってなんだろうね…という考え。この行ったり来たりをやって、一つのブランドが出来上がる感じ」とのこと。
例えば、あるとき中川さんは「いいハンカチがない」と気づきます。
かたい布で水を吸わない、かといってタオルハンカチは持ちたくない。じゃあ何か作ろう。でもそれって、なんで「中川政七商店」がハンカチをやるのか?という理由が必要。
色々調べていたら、1925年のパリ万博に「中川政七商店」が出品した商品が、まさにハンカチだった!
「これだなと思って、そこから紐づけてブランドの組み立てから考えていきました」。
こうした思考プロセスで、「中川政七商店」のハンカチブランドを作り上げていった中川さん。その時点ではビジョンなどなかったそうですが、「これ世の中にどういう意味があるんだろうな」と考えていくうちに「最近それが見えてきた」と言います。

曰く、「ハンカチって、優しいアイテムだと思っている」とのこと。
手を洗ったあとにハンカチで拭く丁寧さ、泣いている人がいたらハンカチを貸してあげる気遣いなど、ハンカチを使うシーンを思い浮かべると、確かにそうかもしれません。
「“優しい人を増やす”みたいなことなんじゃないか?と考えています。ハンカチって、ガサツな人は多分持たないと思うんですよ」。
これも確かに!
ちなみに、三戸さんはハンカチを持っていないそうです(笑)

ブランドを作る際には、まずモノのコミュニケーションから入って、次に世界観のコミュニケーションに入って、その先にビジョンがある、というのが中川さんのお考えでした。
最初から全て完璧に作り込まなきゃダメってわけではないんですね~。
「中川政七商店」のハンカチで、優しい人が増えることを願っています!


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それでは皆様、またのご来店お待ちしております!


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