言葉は通じなくても…優しさにあふれる“自転車旅”の出会いを綴った1冊に、野島裕史「 胸を打たれました」

声優界随一のサイクリスト・野島裕史が、自転車をテーマにお届けしている番組「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」。10月15日(土)~10月17日(月)の放送は、野島裕史のサイクルライブラリー、世界を巡るサイクリスト・友竹亮介さんの著書「二輪一会 二度と出会えない人」を紹介しました。

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友竹亮介さんの著書「二輪一会 二度と出会えない人」を紹介する、パーソナリティの野島裕史

 

◆野島裕史が太鼓判! 自転車旅の醍醐味が堪能できる1

 

野島:今回紹介する1冊は、みらいパブリッシングから発売中の、世界を巡るサイクリスト・友竹亮介さんの著書「二輪一会 二度と出会えない人」です。

 

友竹さんは、1988年生まれ、広島県出身。大学卒業後、営業マンとして3年間メーカーに勤務。その後、英語講師の職を経て、バックパッカーとして世界の魅力に圧倒される20代を過ごして脱サラ。2018年に世界を巡る自転車旅に出発し、30歳からサイクリスト、旅人として歩み出し、中国・上海からアフリカ・喜望峰へと至るおよそ25,000kmの道のりを573日かけて走破。

 

同書は、文芸書とビジュアル本の両面を持っていて、世界30ヵ国の印象的な風景・馴染みのない地域の日常を、友竹さんの丁寧な文章と豊富なカラー写真で堪能できます。

 

旅というのは、それぞれの楽しみ方、進め方がありますが、友竹流の自転車旅も大変興味深くて、一気にハマって一気に読んでしまいました。

 

文章の人間らしさや、情景描写が小説のような雰囲気を醸し出していて、“もともと文章を書くのが好きな人なのかな?”という印象を受けました。表現がすごく豊かで、それゆえに、旅の過酷さや人との出会いの感動が、より深く感じられた本でした。

 

特に僕が面白いなと思ったのは、自転車で地続きの旅をするなかで、国境を越えるごとに言語は当たり前で、人々の接し方だったり、建築だったり、食や宗教の移り変わりを事細かに書いているところです。

 

なかでも印象に残っているのが、イランの人々が優しかったということを多く書かれていて、読んでいる僕も感動できるぐらい優しい出来事がありました。その理由として、「旅人は優しくもてなしなさい」というイスラムの教えがあるそうなんですね。友竹さんは、「その教えだけでなく、慈悲あふれる瞳に見つめられると、宗教や規範を超えた心に深く根ざした優しさがあるように感じる」と書かれています。本当に優しさにあふれる出会いだったんだなと胸を打たれました。

 

そして、ふんだんに掲載されている風景の写真はもちろん、地域ごとの食べ物の写真がたくさん載っていて、どれもとてもおいしそうなんです。その写真の脇には、手書きで味や感想が書かれていて、初めて見る料理でもその味わいが伝わりました。

 

読み進めていて驚いたのが、アフリカのサハラ砂漠って何もない印象じゃないですか? だから、「こんなところを自転車で走り抜けるなんて、どうしているんだろう?」と思って読み進めていくと、道はしっかり整備されていて、しかも100 kmごとに集落があって、その集落ではどこも温水が出て、必ずWi-Fiがつながるそうなんです。サハラ砂漠のど真ん中でも、今はWi-Fiがつながるんですね。これは安心。「だったら僕も、サハラ砂漠を横断できるんじゃないかな?」という気分になりました(笑)

 

そして、本のタイトル(「二輪一会 二度と出会えない人」)にもなっている通り、人々の出会いにはさまざまなドラマがあり、やはり旅の醍醐味のひとつになっていますね。まったく言葉が通じず、「Hello」も「Thank you」もわからない国でも、困っていたら助けてくれたり、どうにかコミュニケーションを取ろうとしてくれたりする人の姿を読んでいると、地球の裏側やテレビでしか観たことのないような民族の方でも、日本人と同じように、その土地に根付いた文化で生活していて、優しさにあふれる“同じ人間なんだな”ということをあらためて感じることができました。

 

この本には、“新たな挑戦をする人の背中を押す”という裏テーマもあるそうです。僕も“自転車旅をしてみたいな”とすっかり背中を押されて、かなり心が揺さぶられてしまいました。

 

特に、「SURLY(サーリー)」の「Big Dummy(ビッグダミー)」という荷物がたくさん積めるロングテールバイクを最近入手したばかりですから、これは近場から自転車旅を始めてみようかなと。

 

友竹さんも、最初は四国のお遍路さん巡りを自転車で始めたところから自転車旅が始まったそうですし、(自転車冒険家の)小口良平さんも、最初は日本の自転車旅から始めていますので。(僕の仕事である)声優に定年はありませんが、ちょっと落ち着いたらテントや寝袋を積んで「Big Dummy」で走ってみたいなと背中を押されてしまいました。

 

この本は、1度読み進めると、小説のような情緒ある文章とドラマティックな展開に引き込まれます。そして、その国の空気やにおいを感じることができるような素晴らしい写真もたくさん掲載されていて、自転車が好きな人はもちろん、自転車に興味がない人もぜひ手に取ってもらいたいです。

 

次回1022日(土)~10月24日(月)の「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」は、野島裕史のサイクルコラム「Beeline Velo 2(ビーライン ヴェロ ツー)」をお届けします。お楽しみに!

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